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中に入っていたものは

短編です

 祖母の家の、古い箪笥が目の前にある。懐かしい。一番下の引き出しが開いている。中をのぞくと、端っこに小さなシールが貼ってある。これ、私が貼ったんだっけ。

 幼い頃、シールがとにかく大好きだった私は、買ってもらったり、病院でもらったりしたキャラクターもののシールを所かまわず貼りまくる女の子だった。それを聞いた、祖母は、私にその箪笥に触らない様に、ときつく言い含められていた。遊びに行くと、いつも箪笥に触れていないかを監視されていた気がする。

 一度だけ、祖母の目を盗んで、小さなシールを箪笥の内側に貼ったのだ。いつ気が付くかとワクワクしていたのだが、シール自体が小さかったし、内側に貼ってしまったせいで、気づかれることは無かった。

 そのうち私も張ったことをすっかり忘れてしまっていた。

 その箪笥が、今、私の目の前にある。真っ白な空間にポツンと鎮座するその箪笥は、なんだか異様に見えた。

 そういえば、この一番下の引き出しには、祖母の物と思しき洋服がたくさん入っていたんだっけ。私はそれをかき分けて、シールを張ったんだけど、身長が届かなかったせいもあって、他の段を開けたことは無かった。

 祖母には開けるなと言われていたし、古い箪笥だから、何か子供にとって良いモノが入っている様には見えなかったから、次第に興味もなくなっていったんだっけ。

 少し気になって、思わず、私は下から二段目の引き出しに手を伸ばした。


 途端、目が覚めた。

「・・・・夢?」

 なんか奇妙な夢だった。あの箪笥、というか祖母は今どうしているんだろう。

 上京してから、実家にもほとんど帰っていなくて、祖母の様子なんて微塵も興味が無くなっていた。

 久しぶりに夢ではあるけど、祖母の箪笥をみたから、ちょっとあの家に行きたくなってきた。何か面白いものがあるわけじゃないだろうけど。

 仕事のシフトに三泊四日分の有休を申請して、両親に[今度実家帰ったら一緒におばあちゃんの家行かない?]とメッセージを送った。なんとなく、あの家に行きたい気がしていた。

 両親からの返信を待つ間、布団を干したり、洗濯物を干したりして、有意義な休日を楽しむ。天気の良い日は清々しい気持ちになるものだ。

夕方になって、夕飯を買いに出かけるころ、両親から返事が来た。

[おばあちゃんの家って、何の話?」

[あの大きな古い箪笥があった家だよ!]

[箪笥?]

 両親の返信が何かおかしい。

[あなたのおばあちゃんは両家とも、あなたが生まれてすぐに亡くなってるわよ]

 母の返信に、血の気が引いた。では、あの時の記憶は一体何なのか。

[え、ごめん、意味わかんない。とりあえず来月一旦実家帰るよ]

 思い出してみると、祖母の家には、何故か幼い私しか行っていない。記憶の中に両親が祖母と過ごしている姿を見ていない。いったいなんだと言うのだろうか。


 実家に帰って、私の記憶を頼りに、祖母の家に向かった。

「ここ・・・のはず」

 確かに家は有ったのだが、あまりに荒廃していて、記憶との齟齬がある。

 中を見ると、あの箪笥が鎮座していた。

「あれ!あのタンス!」

 私は慌てて家の中に入っていって、その箪笥の一番下の引き出しを開け、中を覗き込んだ。

シールは貼っていなかった。

 不思議に思った私は、下から二番目の引き出しに手を伸ばした。



——中に入っていたものは——

引き出しの中身はなんじゃろな?

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