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嘘告白されてみんなの前でバラされたので、僕は屋上から飛んだ  作者: 万和彁了


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第2話 翠

 彼女が出来た。でも何をすればいいのか俺は知らない。だからとりあえず。


「一緒に帰ろう」


「うん。いいよ」


 紫吹さんは頷いてくれた。聞いてみると最寄りの駅から途中までは同じ駅らしい。電車デートなのか?だけど女の子との会話に俺はなれてない。


「紫吹さんって趣味とかある?」


「ないよー」


 話が途切れてしまった。だけど彼女の方から話を振ってくれた。


「天羽はある?」


「え、えーとプログラミングとかかな」


「情報の授業でやってるやつ?」


「まあそんな感じ」


 とくに何もなく会話はやっぱり途切れる。本当はゲーム作ったりスマホアプリ作ったりしてるけど。そこに突っ込んでも面白くはないだろう。


「駅の中にアイス屋あるから行く?」


 途切れた会話の中で紫吹さんが提案してくれた。僕はそれに頷いた。


「どれにしようかな?」


 紫吹さんは楽し気に悩んでいる。こういう時は男が奢るのがいいってどこかに書いてあった気がする。


「ねぇねぇストロベリーとラズベリーどっちがいいと思う?」


 これがどっちが良いか問題ってやつなのかな?ハズレを選ぶと好感度が下がるって噂の。だが僕はその時店のメニューをみて閃いた。


「ダブルにすればいいんじゃない?」


「え?それだと高くなっちゃうよ」


 彼女はちょっと不満げに口を尖らせた。やば。失敗だった?!


「まあでも大した額じゃないしいいか」


 彼女は店員さんに注文する。僕も一緒に注文して財布を出す。しまった?!僕の財布はべりべりマジックテープだ?!だけどデビットカードならある!普通の高校生だと持てないようなちょっとリッチな特典がついているブランドカードだ!


「え?天羽が払うの?」


「え?そうだけど」


「別に無理しなくていいよ。別会計にしよ」


 天使だった。お言葉に甘えることにする。


そしてアイスを受け取ってテーブルに着く。


「さっきプログラミングって言ってたけど、それで何してるの?」


 さっき深堀を避けた話を彼女が降ってきた。これなら話してもいいかな。


「ゲームとかデータ解析ツールとか生活用の便利アプリとか、あとは」


「あとは」


「いや。最近ちょっと詰まってるからそれはちょっと」


 作ったものはgithubにアップしてる。ライブラリを結構いろんな人が使ってくれてるみたいで割と嬉しい。


「ゲーム作ってるんだ。あたしゲーム苦手で。なんか画面とにらめっこするの好きじゃないんだ」


 ま、マイナス評価?!僕は少し焦る。


「でも作れるのってすごいね」


 褒められた。思わず笑みがこぼれる。今まで一人で作ってた。画面越しに面白いってコメントは貰ってたけど、対面で褒められるとすごく嬉しい。


「なんだちゃんと笑えるんだね。ずっとなんか真剣な表情してたからちょっと怖かったけど。天羽は顔いいんだから笑ってた方がいいよ」


 すこしずきっと胸が疼いた。でも笑顔は続ける。顔は僕にとってはコンプレックスだ。


「あれ?なんか悪いこと言っちゃった?」


「え。いやそんなことないよ」


「でも曇ってる。怒らせるようなことしっちゃった?」


「いやそんなことないよ。ただ僕の問題……」


 コンプレックスを悟られたくはなかった。だけど知らなかった。人間は案外自分のことを見抜いているんだなって。


「それ言ってほしいな。地雷踏みたくないじゃん。一緒にいるなら相手のこと笑わせた方が絶対いいもん」


 真剣な目で促される。だけどそこには今まで出会ってきた人たちと違って嫌な感情はなかった。そう思う。


「母が外国人。だから見た目が他と違う。本当は目の色も違うんだ」


 僕はつけてるカラコンを片目だけ外す。


「緑……」


 彼女は少し驚いていた。僕はカラコンを戻そうとした。だけどその手を掴まれた。


「その色綺麗だよ。だから隠さないで」


 綺麗と言われたのは初めてだった。胸が痺れた。手から力が抜ける。


「片方もそうなうなんでしょ。外してよ」


「だけど」


「天羽が考えてることはわからないけど。でも綺麗だから」


 僕はその言葉にのり、もう片方の目のカラコンも外す。


「うん。その方がずっといいよ」


 彼女は優しく微笑んだ。僕はその時、本当に恋に落ちたんだと理解した。















 アイス屋でのおしゃべりが終わった後、すぐに解散になった。あたしは家に帰ってすぐにお風呂に浸かった。


「知ってる男子と全然違ったなぁ」


 物静かで大人しい。でもとびきり綺麗な男の子。アンバランスなちぐはぐさがとても印象に残った。


「でも本当のお付き合いじゃないんだよね」


 まだ彼のことはよくわからない。嫌な奴でもないし、キモくもない。いい人だとは思った。だけどあの瞳は。


「あの目は本当に綺麗だったなぁ」


 もしかしたら彼は特別な男の子なのかもしれない。だけどこれはウソコク。深入りはどうせしない。だけどあたしにはあの色だけは忘れられなかった。


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