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【シーモア先行配信中☆】 『王太子の嫁な!』と遺言状に書いてありました。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/80

75:普通にしてほしい。

 



 実家をあとにし、デメトリオさんに王立庭園に行かないかと誘うと快諾してくれた。

 以前一緒に城下町巡りをしたピッタルーガ伯爵が監修している屋台が始まっている。デメトリオさんも私も結婚式の準備に追われていたので、まだ視察にいけていなかった。

 視察で向かうよりデートとして利用してみた方が、実際の使い方に近いしいいんじゃないかと思ったのだ。


「おぉ、結構人がいますね」

「盛況だとは聞いていたが、平日のこの時間にも人がいるのは驚きだな」


 私もデメトリオさんも、おじいちゃんと過ごした日々を覚えているので、人がいっぱいいることにちょっと違和感を覚えてしまっている。

 庭園の中をのんびり歩いていると、こちらを見て驚いている人や指さす人がいた。


「バレてしまいましたね、すみません。以前は気づかれてなかったのになぁ。あっ、王太子になったからですかねぇ?」

「……エマ、人のせいにするな。言っとくがエマの姿絵も出回っているからな?」

「描いてもらった記憶はありませんが……」


 どうやら、夜会に参加すると大体画家がいるから、描かれるのだとか。そういうの教えといてほしかった。そして、出回ってるのも教えといてほしかった。


「す、すまない」

「あっ、いえ、デメトリオさんのせいじゃないですよね。ごめんなさい」


 二人でアワアワと謝りあっていたら、近くにあったクレープ屋台の店主さんに声をかけられた。


「あ、この前の!」

「あのときは来店してくださってありがとうございました」

「出店してくれたんですね」

「はい!」


 ところで、何を謝られていたのですか、と聞かれた。

 聞こえていたのかと、ちょっと恥ずかしくなりつつも理由を話したら、「仲がよろしいですね」とくすりと笑われてしまった。

 うん、仲はすごくいいと思う。ケンカというか、すれ違いを起こしたりもあったけど、過ぎてみればいい思い出だし。


「あ、クレープ二つください」

「ありがとうございます!」


 結婚祝いにとプレゼントしようとしてくれたけど、美味しいものにお金はちゃんと払いたいので、その気持ちだけくださいとお願いした。あと、声をかけてくれた勇気にもお礼を言った。


 出来れば、これからも普通に話しかけてほしい。普通にお客さんとして扱って、お金を受け取ってほしい。

 クレープ屋さんにそうお願いしつつ、デメトリオさんをちらっと見ると、ふわりと微笑んで頷いてくれた。 

 きっとデメトリオさんもそれでいいと言ってくれると思っていた。


「皆が平等に穏やかに過ごせるようにと、前国王陛下がここを作った。この庭園にいる間は、どんな身分だろうと、利用者として過ごしたい」

「っ、はい! では、クレープ二つ――――」


 出来立てのクレープをもらい、ちゃんとお金も払い、庭園内の他の屋台に向かうことにした。




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✾ 10/25シーモア先行配信! ✾


『王太子の嫁な!』と遺言状に書いてありました。
貧乏男爵令嬢と王太子殿下の焦れったいほどの両片思いを強制成就!?
書籍表紙


表紙絵はm/g先生!
デメトリオさんがとにかくカッコイイ! そして、エマたんがもう撫で回したいくらい可愛い!

(作者がキモいのは横に置いて……!)

♣ 王太子の嫁な!ちゃん ♣
リブラノベル様より、11/15 配信です。コミックシーモアは、10/25先行配信!
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。


▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
あーホッとするぅ~(´∀`*)
平民のみんなも優しい世界(*´ω`*)
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