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【電子書籍11/15】 『王太子の嫁な!』と遺言状に書いてありました。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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42/81

41:王城を抜け出して

 



 二月一四日の早朝。

 カサンドラさんと二人、こっそりと実家に帰って、キッチンを占拠している。

 王城の厨房は朝食の準備で忙しいから、流石に邪魔をしたくなかった。


「さ、始めよ!」

「ええ」


 先ずは果物の水分取り。これをサボると、ベチャベチャになってしまう。

 水気が多いものは、前日に母が下処理してくれていた。とても助かる。


「パイナップルとかカット系はほんと失敗しがちなのよねぇ。懐かしいわね」


 母のその言葉にうんうんと頷いていると、計画時も失敗しやすいと聞いていたけれど、それならなぜ敢えてカットフルーツもいれるのかとカサンドラさんに聞かれた。


「え? だって陛下はパインが好きなんでしょ?」

「っ……はい」


 そう言うだけで、ちょっと俯くカサンドラさんが可愛くてたまらない。


 気を取り直して、水気を取ったフルーツをピンチョス用の串に刺していく。

 イチゴなど少し大きいものは一粒だけ、ブドウや小さいものは二個三個と調整しつつ刺していく。

 下準備が終わったら、飴作り。

 お鍋にグラニュー糖を入れて、少量のお水を上からかける。全体に水分が行き渡ってから火にかけて、しっかりと溶かす。この時に絶対に混ぜたりしてはいけない。気泡が大量に入ったり、艶やかさが損なわれる。これで何度しょんぼりしたことか。


「うん、良さそう! どんどん絡めていこう」


 カサンドラさんと二人でせっせと果物たちを飴でコーティング。

 果物を下にしてピンチョスの串を持ち、くるくると回して余分な飴を落とすことも忘れてはいけない。

 

「このくらいでしょうか?」

「うん! 大丈夫そう。バットに置いてね」

「はい」


 お昼には完成させて渡したいので、コーティングし終えてバットに並べたら、王城に戻る。なぜなら、王城には大きな氷が置いてあるアイスハウスがあるので、そこにちょっと入れさせてもらいたいのだ。冷たい方が美味しいから。




 今日の朝食は要らないと伝えていた。外出することも伝えていた。そして、使用人さんたちのかなりの数がグルだった。おかげでデメトリオさんは、私がいないのは『ルシエンテス男爵が国外のチェス大会に出るから見送りにいく』という理由だと思っていたようだった。


「ん? もう帰ってきたのか? 卿とは挨拶できたか?」

「あ、はい」

 

 厨房のアイスハウスに立ち寄ってから部屋に戻る途中で、デメトリオさんと出会った。


 騙して非常に申し訳ない。

 父は普通にだらっと家で寝てました。仕上がったフルーツ飴を誰よりも早く母と食べてました。そこは本当に、ごめんなさい。


「……なんで、後ろめたそうなんだ?」

「え、あ……」

「エマは本当に嘘が苦手だな」


 仕方なさそうな、ちょっと呆れ気味みたいな、ため息混じりの微笑みをデメトリオさんに零されてしまった。


 ――――あれ? これ、なんかバレてない!?




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✾ 10/25シーモア先行配信! ✾


『王太子の嫁な!』と遺言状に書いてありました。
貧乏男爵令嬢と王太子殿下の焦れったいほどの両片思いを強制成就!?
書籍表紙


表紙絵はm/g先生!
デメトリオさんがとにかくカッコイイ! そして、エマたんがもう撫で回したいくらい可愛い!

(作者がキモいのは横に置いて……!)

♣ 王太子の嫁な!ちゃん ♣
リブラノベル様より、11/15 配信です。コミックシーモアは、10/25先行配信!
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。


▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
あれかな…この時期だけはパパンもママンから愛あるお菓子を貰うために遠征行かないことは調査済みであるとか そしてエマたん、少しおっちょこちょいだからそのことを忘れてるとか だから嘘ついてるってバレてると…
サプライズを計画するエマちゃんが可愛くて可愛くてしかたないんだろーなー
あらあら、バレテーラw
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