表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【シーモア先行配信中☆】 『王太子の嫁な!』と遺言状に書いてありました。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/80

29:恋バナ

 



 カサンドラさんに悶えつつ、もっと教えてとお願いすると、ぽつりぽつりと話してくれた。


 お妃様が亡くなられたとき、デメトリオさんが少し塞ぎ気味になっていた時期があったらしい。陛下――ヴィクトル様もつらいはずなのに、いつも笑顔を絶やさずデメトリオさんに話しかけ、思い出話をしたりしていたそう。


「デメトリオ様が母をそんなに過去の人にしたいのかと、怒ったことがあったのですが……」

「うん」

「凄く淋しそうな顔で笑われたんです。忘れないために話すんだよ、と」


 カサンドラさんはその瞬間恋に落ちて、失恋を味わったのだという。何となく、私と似ている。知ったそのときには既に遅いと痛感したのよね。


「いつからかという明確なものはありません。ただ、憧れのようなものはずっとあって、そんな人にも弱い部分はあるのだなと知ったら、さらに心が苦しくなりました」

「っ……うん。苦しいよね。わけもわからず、泣きたくなるときがあるよね」

「はい…………当時は、苦しくて息もできませんでした」


 一度、気持ちを告げたことがあったらしい。


「えっ!?」

「小娘の戯言だと受け取ってもらって構わないと思っていたのですが、ヴィクトル様は真摯に答えを出してくださいました」


 断られたあと、近くで働くことのつらさを思い知ったらしい。それでも、側にいたいという思いから、ずっとデメトリオさんの侍女として働いていたそう。


「え……あっ…………ごめんなさいっ!」

「はい?」

「私のせいで側に――――」


 いられなくなった、ごめんなさい、と言おうとしていたら、カサンドラさんの人差し指で唇を塞がれた。なんてエロい黙らせ方をするんだこの人は。


「私から頼んだのです。国王陛下……前ですね。前国王陛下が亡くなられて、色々なことが動き出しました。ヴィクトル様は今までは断っていましたが、国王となった今は、王妃陛下を娶らねばなりません」


 デメトリオ様はいるものの、王子が一人だけなのはマズいということだった。王弟殿下がいるのでいいだろうと言っているのは国王陛下とデメトリオさんだけらしい。


「え、王弟殿下もダメって言ってるの?」

「はい。次期国王はデメトリオ様で確定だろうとも、兄弟としてサポートしてくれる者は必要になると」


 私には分からない世界だなぁと思う。でも、いつかそこに立つのだから知らなければならない。なぜダメなのかは、今度デメトリオさんに聞いてみよう。


「誰かと結婚しちゃうんだね……陛下」

「ええ、きっと。なので、私は私が今できることは何かと考えました。一つでもあの方の憂いを払いたいのです。不純な動機からエマ様に仕え始めたこと、お許しください」

「えー? そんなの別にいいよ」


 不純だろうとなんだろうと、カサンドラさんは驚くほど私たち家族を見てくれていて、怖ろしいほどに働いてくれてる。なんの問題もない。


 それより、国王陛下の憂いってなにか気になるんですけど。カサンドラさんに聞くと、ほんの些細なことなんです、と前置きして教えてくれた。


「デメトリオ様がグイグイ行き過ぎて、エマ様に逃げられないか心配だ、と」

「っ、あははははは! なにそれ!」


 まさかそんな心配をされているとは思ってもいなかった。あまりにもおかしくて笑い転げそうになっていたら、カサンドラさんが真面目な顔で思い出してくださいと言った。

 両家での話し合いのとき、デメトリオさんが軽く暴走をしていたのを、と。


 ――――あ。


「それだけではございません。前国王陛下とエマ様が会われていたとき、もう白だと分かっているのに、ずっとエマ様に逢いに行かれていました。色んな言い訳を並べ立てて。全員が生温い視線になっているのにも気付かず…………」


 えっ……そんなことになってたの!? なんか恥ずかしい。っていうか、デメトリオさんってやっぱり可愛いくない? 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

✾ 10/25シーモア先行配信! ✾


『王太子の嫁な!』と遺言状に書いてありました。
貧乏男爵令嬢と王太子殿下の焦れったいほどの両片思いを強制成就!?
書籍表紙


表紙絵はm/g先生!
デメトリオさんがとにかくカッコイイ! そして、エマたんがもう撫で回したいくらい可愛い!

(作者がキモいのは横に置いて……!)

♣ 王太子の嫁な!ちゃん ♣
リブラノベル様より、11/15 配信です。コミックシーモアは、10/25先行配信!
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。


▷▶▷ シーモア

― 新着の感想 ―
デメ様が間もなく結婚と言う歳になってからの兄弟なんて、2人の子供と変わらない年齢になるよね?次の王太子争いで派閥が割れる元にしかならない気がするけど…この国はホンワカそうだから大丈夫なのかな?w
エマちゃんを嫁に指定するほどの前国王。 それをみんな否定しない。 きっと国王陛下の幸せも願っているのでは・・・ カサンドラさんの幸せもきっと。 毎日最初から読み返してます。 いい人しか出てこない幸せ…
イヤ、キミタチ、ゼンイン、カワイイヨ( ´ᯅ` )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ