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242 武辺者と、朝の一番鐘

 レオダムが釈放されてしばらく経った頃。


 夕鐘が鳴ったので領主館の受付業務を終えたネリスとクイラの二人はカウンターから立ち上がり、軽く伸びをすると【通常受付終了】の札を立てた。二人の左腕は相変わらずアームスリングで吊られているが、今のところ痛む事も不便も少ない。だが問題はそこで、痛くないからこそ身体を動かしたい、しっかりと筋トレや走り込みをしたい、早く身体を作りたいという欲求がむくむくと頭をもたげてるのだ。


「……ねぇクイラ、ちょっとだけ行かない?」


 ネリスが右手をぐいぐいと動かしながら声を潜めて言うと、クイラはこくりと頷いた。


「軽いトレーニングなら……もう大丈夫じゃないかな?」


 二人は三階のメイド控室にて夜勤者との交代点呼を終えると自室で着替え、静かに階段を下り、夕暮れ色の渡り廊下を抜け、旧練兵所へと小走りで向かった。大体の部隊や営舎は新しい練兵所へと移っているが、トレーニングをするための女性専用部屋は旧所に残ったままだ。扉の前で深呼吸し、いざ中へ──と手をかけた瞬間、鋭い声が飛ぶ。


「あなたたち、何してるの!」


 二人はびくりと肩を震わせ固まった。そしてゆっくりと振り向くと後ろにはユリカ・ヴィンターガルテンが立っていた。汗で湿った髪を後ろに束ね、首には手拭いが掛かってる所を見ると日頃の鍛錬を終えたばかりなのだろう。それに肩にはネリスやクイラたち女性兵には"身体を壊すから使ってはいけない”と厳命されてる男性兵士用の鉄製短槍を担いでいた。二人は慌てて跪こうとするが、ユリカは片手でそれを制する。


「それよりあなたたち。ランバー先生からトレーニング許可、まだ下りてないでしょ?」


「で、ですがユリカ様……どうしても身体が鈍っちゃって」


 ネリスが声を上げ、横に立つクイラもコクコクと必死で頷く。しかしユリカは「焦る気持ちは判るわよ」と漏らすと深々とため息を吐いた。


「あのね、『痛くない=治った』って訳じゃないし、その考えが一番危険なのよ。二人とも全治三ヶ月以上って言われてるのに、まだ一ヶ月とちょっとしか経ってないじゃない」


「ですが、オーリキュラ隊長は全治六ヶ月って言われてたのが三ヶ月に──」


「それはそれよ!」


 ユリカはネリスの言葉を遮り、ピシャリと言い放った。「──確かにオーリキュラ隊長の回復は早いって医官もランバー先生も非常に驚いていたわ。だけど完治については相当に時間がかかってるって報告が上がってるの」


 ネリスとクイラが新兵訓練を受けてた時に補助指導員として立ち会っていたオーリキュラは、今年の春過ぎに野盗との遭遇戦で負傷し全治六ヶ月と診断、休職を余儀なくされた。しかし三ヶ月ぐらいで彼女は復職し、今では工兵隊を率いていると二人の耳にも入っている。


「勝手にトレーニングを開始して治りが遅くなりました、リハビリが長く伸びましたって悲しい結末になるぐらいなら、今は療養に専念なさい。ただでさえ二人は三か月の自宅療養って言われてたのを、働きたいってワガママ言って今の立場があるんだからさ……。まぁ、でも、どうしてもっていうなら──ランバー先生のところへ行って、今出来るトレーニングを習ってきなさい」


 現にクイラはギプスは外されたが左手が使えないよう吊ってあるし、ネリスに至っては肩周辺は数日毎にテーピングでギッチギチに固められて吊ってある。そもそも二人が自宅療養を拒絶したのも、話によるとクイラもネリスも『帰る家がないから』だったという。──自宅療養ってそういう意味じゃないんだけどねぇと武官たちで話になったという。


 しかし二人にとっては息苦しい生活だろう。ランバーからは「とにかく左手は使うな、動かすな、勝手に運動するな」と何度も念押されている。毎日のように走り込み、休日ともなれば一日中身体を鍛えてたのだ。だけどユリカの言うことはごもっともだと理解し、二人は肩を落としつつもどこか希望を捨てきれず旧練兵所を後にしたのだった。


『焦る気持ち、ねぇ。──この中で頑張ってるオーリキュラちゃんの姿を見せるのは、武士の情けというべきか、忍びないもんね』


 ユリカは静かにそう心の中で呟いた。扉の向こうからはかすかな息遣いが聞こえている。思うように動かない身体、鈍った筋肉と敏捷性を必死に取り戻そうと彼女は黙々といじめ抜いているのだ。再び“女傑”と呼ばれる日を取り戻すため──このトレーニング部屋では、夕鐘が鳴り終わってから深夜までオーリキュラの必死な身体づくりとリハビリが続けられているのだった。



 ランバー接骨院では身体に不具合を感じる労働者が通いやすいようにと夜ふけまで診療してくれている。その診療室の扉を看護師が開けてくれると、院長のランバーがカルテを引っ張り出しながら笑顔で振り返った。その横では骨格模型のホネ先生がカタカタと顎を鳴らして出迎える。


「やあ、君たち。──どうした、痛むか?」


「先生、私たちの左腕、ほんと痛くないんです! だから少しだけなら──」


 ネリスとクイラが診療椅子に座るまでもなく前のめりで言うと、ランバーは苦笑いを浮かべてしまう。


「痛くないからといってしっかり治ったってわけじゃないんだよ。腱も骨も、まだまだ回復途上、慌てちゃ駄目だよ」


 ホネ先生も同意するように再びカタカタと顎を揺らし、両手で“落ち着け”とジェスチャする。


 ランバーには若い患者によくある"焦り"に気づいていた。負傷した事を不甲斐ない気持ちと、早く駆け出したいという思いを理解した上で、笑顔を絶やさずに続けた。


「だがね、今、過負荷をかけて受傷部が腫れてしまったら治療のやり直しだ。そうなったら治療期間はぐんと伸びるし、変な癖がついて体幹が狂ってしまう。そっちの方がもっと厄介な事になるんだよ」


 それを聞いて二人はしゅんと項垂れてしまった、だがどうしても諦めきれない。


「先生……せめて、走るのは?」


「腕を今のように吊って、きっちり固定して、まあ軽く流す程度なら……、でも勧められないな。転んで左手を着いた瞬間、どうなるか判るでしょ?」


 むぅ、ネリスは表情に出ていたのだろう、クイラが右肩を軽く押して窘める。ネリスは思ってる事がすぐに表情に出てしまうようだ。


「じゃ、じゃあ筋トレは?」


「下半身と体幹トレーニング程度なら、まぁ良いよ。だけど上半身はまだダメ」


「片手懸垂とか、ぶら下がり健康き──」


「論外だ!」


 即答されて二人は声も出なかった。「──てか"ぶら下がり健康器"なんて君たち世代じゃ、まず知らないでしょうが!」


 ちなみに余談だが、キュリクスの銭湯には"ぶら下がり健康器"がだいたいの脱衣所に設置されているが、若い子はバスタオル掛けだと思っているらしい。



 そのとき診療室の扉がガチャリと開くとユリカが顔を覗かせた。シャワーを浴びてきたばかりなのか香油の甘い香りが僅かに漂っている。


「ねぇ先生──そういえば司祭様がギックリ腰で倒れたって本当?」


「えぇ、今日の昼前に椅子から立ち上がった瞬間に“バチンと来た”と言って助祭さんとシスターに担がれて来ましたねぇ」


 正午の時鐘が鳴らなかったということで街ではちょっとした騒ぎになっていた。「故障か?」と何人もが領主館へと問い合わせに来て、ネリスたちが応対したのだ。だが実際には鐘衝役である月信教の司祭様が直前にぎっくり腰を起こしてしまい、鐘を撞けにいけなかったのが理由だという。夕鐘こそ助祭さんとシスターの二人でなんとか鳴らしたのだが、彼らも随分な高齢だ。鐘楼へ登るために百段近い螺旋階段を上り、さらに真麻の太いロープを引いて鐘を操作するのは相当に困難だったらしい。そのため夜鐘──入場門を閉めたり、昼と夜を完全に区切る鐘──はちょっと鳴らせないと領主館に申し出があったため、この日の鐘撞き担当としてメイド隊からプリスカとロゼットが派遣されることになったと、ネリスたちは交代点呼で聞かされている。


 ユリカはネリスたちを見て、腕を組んだまま静かに言った。


「だったら明朝からこの二人に鐘楼の鐘撞きを任せてみません? 鐘楼の階段の上り下りだけなら腕肩は痛めないでしょうし、鐘撞きも右手でロープを引くだけでしたら負荷も軽い。──いいリハビリになるんじゃないかと」


「なるほど……左肩に無理な負荷をかけずにできるなら許可しましょう」


 二人は目を瞬かせ、ぱっと顔を上げた。


「「……やった!」」 


 だがユリカは一本指を立てて二人を睨みつけた。


「ただ、患部が痛むとか炎症がひどくなったら即交代よ。分かったわね?」


「「はい!」」


 二人の目には、ようやく運動らしい運動が出来るという嬉しさ、喜びが満ち満ちていた。


「いやはや……ここまで真面目な兵がいるなんてねぇ」


 ランバーが呟くと、ホネ先生が「若いね」とでも言いたげに顎をカタカタ鳴らしたのだった。


 *


 翌朝──というかまだ夜は明けていない、東の空はまだまだ暗く、満天の星が光り輝いている。領主館内では夜哨メイドが静かに見廻りしている時間にネリスとクイラは領主館の裏門から外へ出た。服装自由と言われていたが二人ともメイド服に袖を通している。左腕は吊ってあるが気分や表情は晴れやかだった。毎日のように郵便の仕分けをしたり、留置所への食事運搬とあまりにも軽易な仕事が続いて気が滅入っていたところでもあったのだ。周りに取り残されてると感じ始めていた二人にとっては良い気分転換になる仕事だろう。おかげで昨夜はほとんど寝られなかった。


「……なんか、久々に仕事するって気分」


「あぁ……なんか楽しみ」


 ネリスが白い息を吐きながら静かに言うとクイラも小さく頷いた。一番鐘はキュリクスに朝を知らせる大事な仕事だ。そんな仕事を任されたからか二人はどこか楽しげであった。



 月信教教会に併設されている、時を告げる鐘楼はキュリクスの街では一番高い建物だ。この街で生まれ育ったネリスですらいつから建っているかすら知らないほどに古い石造りで、外壁には蔦や葛がいくつか絡みついている。ネリスの家は月信教徒だがこの鐘楼には入ったことはない。


 教会の裏に鐘楼へと昇る小さな入口があり、年老いたシスターが既に立って待っていた。「もうじき一番鐘の時間ですから、一緒に参りましょう」と言い扉を開けてくれた。するとひんやりとした空気が流れ出てきた。


「……これ、けっこう……急な階段よね」


「はぁ……はぁ……ネリス、息……上がってる……でしょ」


「いやいや、まだ、まだ……大丈夫」


 たった半分登っただけなのに早くも息が上がり始めていた。腕が振れないからか脚ばかりに負荷が掛かるし、足腰にも疲労が溜まる。それに運動を止められているから基礎体力が落ちているのだ。ただ、ひんやりとした空気のせいか汗はかかない。


「やっぱ……走らない期間……長いって……地味に……来るよね……」


「うん……身体って、正直……ここまで……重いとは」


 だがネリスたちよりもさらに深刻なのはシスターだった。


「私も、普段はここまで……動けませんから……はぁはぁ」


 年老いた彼女は完全に立ち止まってしまった。二人で引っ張って上がろうかとも考えたが、蹴躓いて転んだら大変ということで仕方なくクイラが背負い、階段を駆け上がる。


「クイラ……無理……すんな」


「うるせぇ……ネリスに……負けられんのよ」


「ま、負けず嫌いめ」


 クイラはシスターを背負ったまま平然とした顔で駆けあがっていったが、ネリスには負けたくないって気持ちだけで足を動かしていた。ネリスもクイラには負けたくないって気持ちが強いため、平静を装って螺旋階段を駆け上がっていく。


 そしてようやく最上階にたどり着くと、頭上には青銅製の大小の鐘が二つぶら下がっていた。きっとこの場所でキュリクスをずっと見守り、時を告げてきたのだろう。その最上部の部屋の隅には二本の太いロープが垂れ下がっており、交互に引っ張ると二つの鐘が左右に振れてカランコロンと街中に響き渡るという。


「これを……右手だけで?」


 ネリスやクイラが握ったロープは太く、ざらついた真麻の繊維が手のひらにひしひしと食い込んでくる。このロープを引くことで鐘が左右に揺れ、内側にぶら下がる分銅(ベロ)に当たって鐘の音が響くのだ。


「司祭様はこの二本のロープを交互にタイミングよく引くことで街の時を告げておりました。そこまで力は要りませぬが、しっかり引かないと昨夜の夕鐘のようになってしまいまする。ただ、夜鐘は静かに鳴らさないと……」


 シスターが静かに告げた。

 昨夜の夕鐘は這々の体で鐘楼に上がった助祭さんとシスターが息も絶え絶えながらもなんとかロープを引いて鳴らしたのだが軽く乾いた音しか響かず、民衆からは「司祭様、相当に調子が悪いのかしら」と逆に心配されたほどである。夜鐘に至ってはプリスカたちが調子に乗ってガンガン鳴らしたところ「夜鐘がうるさくてかなわん」「寝かしつけた子どもが目を覚ました」と領主館や教会に文句が来たのだとか。どうやらこの鐘撞きにはそれなりの加減が大事らしい。


「朝の一番鐘は皆さまに朝をお知らせするための大事な鐘でありますし、市場が開く合図でもありますから思いっきり鳴らしてくださいまし」


 そういうとシスターが階段近くのクランクを廻すと、横引きの木板がぱたぱた閉まり頭上の双鐘が見えなくなってしまった。紐を引いて鐘を鳴らした際、耳を痛めないようにするための遮音板のようだ。「──そういえば、この機構を作ったのは若き頃のレオダム師でしたね」とシスターが懐かしそうに漏らす。


「あ、それうちのじいちゃん」


「えぇ、えぇ、たまに点検に来てくださるんですよ」


「……へぇ、じいちゃんって教会に行くんだ」


「レオダム師は面白いことを仰ってました。"錬金の真意に近づこうと研究すればするほど、主神はそばに居る気がする”って──あらら、年を取ると無駄話が多くなっちゃって……そろそろ一番鐘の時間だから、元気よく鳴らしてくれないかしら?」


 シスターがそう言うと、笑顔で天井を指差した。


 *


「せーの……!」


 クイラがロープを引くが、鐘はわずかに揺れただけで乾いた音が小さくなるだけだった。


「もういっちょ……!」


 ネリスが力任せに引くと鐘が横揺れする音が聞こえるが、「カン……コン……」と、乾いた音が響くだけ。


「へ、変な音……!」


 クイラが思わず吹き出すとネリスは耳まで真っ赤になる。


「ネリス、まだ眠い?」


「うるせぇ! クイラが気合い入れて引かないからよ」


 二人が言い合いを始めそうになるが、シスターは笑いながら「最初から力むとそうなるんですよ」と言う。


「──最初は二人息を合わせて軽く引いて、鐘を揺らして、また軽く引いて、揺らして……と、鐘が気持ちよくスイングし始めた時にぐっと引くんですよ」


 シスターからのアドバイスを受けてネリスとクイラはそっとロープを握り軽く息を整える。そして小さく腰を落とし、一定のリズムでロープを軽く引いた。二度、三度、四度と引いたあとに二人はロープを強く引く。


「……っ!」


 鐘はゆっくりと揺れ、やがて大きな身体を震わせる。


 ゴォォォォン……

 ──カァァァァン……

 ゴォォォォン……

 ──カァァァァン……


 深く、澄むような音が朝の空に響き渡った。


「やった……!!」

「すげぇじゃん、クイラ!」


 しかし喜んだのも束の間。右腕だけを使う動作は体幹と脚腰に負荷が集中するし、階段を駆け上がってきてるから二人とも息が切れている。そして吊った左腕が揺れるたび僅かな痛みが走るのだ。


「……結構キツい……」


「でも……やれる……!」


 二人は痛みと辛さに顔をしかめながらもロープを引いて一番鐘を鳴らし続けたのだった。


 *


 鐘楼の下ではユリカが腕を組みながら空を見上げていた。


「ふん……いいわね、新しい朝が来たって感じがするわ」


 続いて助祭さんとランバーも空を見上げ、鐘楼から揺れる鐘を見つめる。


「本当に……若いってのは良いですねぇ……」


 ランバーが漏らすと助祭さんは「同感です」と相槌を打つ。


「無理してなきゃいいんだけど」


 ユリカの言葉に助祭さんは穏やかに応えた。


「無理や無茶をしちゃうことこそ、若さじゃないんでしょうか?」


 それを聞いてユリカは「まぁ、なんとなく判るわ」と漏らすと、ランバーは「助祭さんも足腰に不安があったらいつでも来院してくださいね」と笑いながら言った。


「さすがに鐘楼に登っての鐘撞きなんて、この老体には相当に応えましたね」


 *


 鐘楼の階段を下りてくる頃には二人の脚は震えていた。


「……はぁっ、はぁっ……っ、きつ……」


「右手も膝も……プルプルする……」


 しかしその顔はどこか誇らしげだった。そんな二人をユリカとランバー、そして助祭さんが出迎えた。


「君たちよくやった、でも今日はここまでだ。朝ごはんを食べに行こう」


 そう言うランバーにネリスは「二番鐘は?」と尋ねる。


「二番と三番は衛兵隊から活きの良いのを借りたから大丈夫よ」


 ユリカがそう言うと、助祭さんが「ご迷惑おかけします」と頭を下げる。


「もうそろそろ接骨院が開くから、一緒に朝ごはんを食べてから肩や腕の具合を見ようか?」


「「はいッ!」」


 そう言ってランバーたちと共に鐘楼を後にするのであった。


 二人の朝一番の鐘撞き業務はその後もしばらく続いたという。


 *


「そういえば朝の“一番鐘”の音、変わったよな?」


「あぁ、鐘撞き担当が司祭様じゃなくなったんだよ」


 後にこんな話が街中で囁かれるようになったという。というのも寝たきり生活二週間、ギックリ腰から快復した司祭様は勢い勇んで塔楼へ昇ってる最中に再びギックリ腰を起こしたという。どうやらギックリ腰が癖になってしまったようで、再び司祭様は寝たきり生活を送っているという。もちろんその日の一番鐘は鳴らなかった。すると「朝寝坊した、遅刻した、市場が開けなかった」という苦情が領主館や教会に届いたという。


 その苦情を受けて領主ヴァルトアはこう漏らしたそうだ。


「──なんでもかんでも領主に文句言うの、辞めてくれん?」

・作者註

「ぶら下がり健康器」


今もア●ゾンで販売してた事にビックリ


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