表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
牛乳の王子様☆   作者: 梅花 かえで
8/13

8話 募る想い

入学から数ヶ月経つ頃には、彼の周りにはいつも人が多く集まり、人気の高さがうかがえる。自分とは牛乳だけの繋がりだったんだと改めて実感する。


相変わらず給食の時間になると女の子たちが、

「牛乳あげる」

「私のも飲んで」

「ずるい!私のも」

と彼に牛乳を渡しに行く。みんな彼の特別になりたいのだ。

けれど、彼はいつも

「そんなに飲めないから。みんなごめんな。」

と言って、誰のも受け取らない。そんなやり取りがしばらく続いた。


秋になる頃には、彼の身長はぐんと伸びていた。

いわゆる成長期というやつだ。

彼は女の子たちに

「もう身長伸ばす必要なくなったから」

と伝えると、給食の時間に牛乳を渡しに行く女の子はいなくなった。

しかし、彼の特別になりたいという気持ちを持っている子は、増えている。それもそのはず。

山野くんは日を増すごとにかっこよくなっているのだから。

さり気なく優しいし、あの人懐っこい笑顔を向けられたら、好きになってしまうだろう。

休み時間に男の子とよくゲームや漫画の話で盛り上がっているが、その笑い声を聞くだけで、なんだか元気が出てくる。


彼が身長を伸ばす必要がなくなった今、私との『秘密の約束』が再び訪れる日はないだろうが、それでもいつか、あの屈託のない笑顔を私に向けてほしいと願ってやまない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ