第二章 中学生編 5話 再び同じクラスへ
桜の花びらが舞い散る中、私たちは新品の制服を身につけて中学生になった。小学校の同級生はほぼ同じ中学に進むため見慣れた顔ぶれだが、みんなの制服姿が新鮮である。
掲示板に貼り出されたクラス分けで、私は真っ先に彼の名前を探す。
『山野宏斗
渡貫美湖』
2つ並んだ名前を見て、同じクラスになれたことに胸を弾ませ教室へと向かった。
その頃の彼の身長は平均より少し高いほうだった。毎日牛乳を2本飲んだ成果があらわれたのかもしれない。
教室に向かう途中、彼の姿を見つけると、彼も私に気がついたようで走り寄って来る。そしてこっそり「お前の牛乳、中学でもまた飲んでいい?」と聞いてきた。耳元で周りに聞こえないように言われたため、顔の近さに思わずうつむく。
彼は、私が頷いたと思ったようだ。
「よっしゃ!まだまだ身長伸ばすぜ!!渡貫、ありがとうな!!!」
そう言って走って行った。
“秘密の約束、まだ続いてたんだ⋯⋯”
心のなかで呟き、嬉しさでほころぶ顔を引き締めつつ教室へと向かった。
教室へ入って自分の席を確認すると、隣の席には彼が座っていた。
「一年間よろしくね」
と声を掛けると、出会ったときと変わらない笑顔で
「おう!」
と答えてくれた。
中学生活が、楽しみになった。