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3話 初めての席替え
彼と秘密の約束をして2ヶ月が経つ頃、席替えをすることになった。隣同士じゃなくなったら⋯、席が離れてしまったらもう今までのようにはいかなくなる。私は不安でいっぱいだった。
“神様!!どうか、また隣の席になりますように⋯”
私は精一杯願ったが、願いは叶わなかった。
彼の席は2列向こうの3つ後ろ。
“さすがにこんなに離れたらどうしようもないよね⋯”
私にとっては牛乳を飲むことよりも、彼との秘密の約束が終わってしまうことのほうが辛かった。
気持ちが晴れないまま給食の時間になった。
いつまでも彼に甘えるわけにはいかないと思いつつ、なかなか牛乳瓶に手が伸びず、深い溜息がこぼれる。
しばらく牛乳瓶を眺めていると、不意に誰かの腕が視界に入り素早い動きで空き瓶と入れ替えられた。
驚いて顔を上げると、彼がニコッと笑って通り過ぎる。
彼はおかわりをすると言って席を立ち、横を通りすぎる時にこっそり瓶を入れ替えてくれたのだ。
ありがとうの気持ちを込めて、私も微笑む。
気持ちがすーっと晴れ渡り、心がぽかぽか温かくなった。