最終章 高校生編 14話 春になり…
無事に受験も終わり訪れた春。
キラキラと差し込む日差しの中、期待と不安を胸にA高校の門をくぐる美湖の姿があった。
美湖が真っ先に向かった先は、クラスが貼り出された掲示板。そして、自分の名前とともに彼の名前も探す。
“どうか……どうか山野くんと同じクラスになりますように!!!”
もう何度願ったかわからない願いを心のなかで繰り返す。
ドキドキしながら掲示板に目を向け自分の名前を探してみる。そして見つけた自分の名前のすぐ上に、ずっと願っていた彼の名前が書いてあった。
「あっ…」
思わず声が漏れる。本当は跳び上がって喜びたい気持ちを抑えながら、緩む頬を抑えながら、教室へと向かった。
教室へ入ると同じ中学の子はほとんどいなかった。一緒に受験勉強をがんばった親友も隣のクラスだ。そして宏斗の姿はなく、まだ来ていないようだった。
“山野くん…隣の席だよね……。どうしよう、もう2年くらい話してないけど……。ちゃんと話せるかな…。”
そんな事を考えていると、
「綿貫!おはよう!!これからよろしくな!」
横から声を掛けられた。
うわぁ!!!!
山野くんだぁ!!!!!
久々に近くでみる宏斗にドキドキしながら、
「あっ、山野くんおはよう。うん、これからまたよろしくね」
なんとか返事をした。




