13話 離れたままのふたり
2年生になりクラスが離れると、学校行事でも接点が無くなってしまう。
美湖は、修学旅行も文化祭も、宏斗を視線の先で追う事で精一杯だった。
友達の恋愛話を聞き羨ましく思うも、想いを伝える勇気が出ないでいた。
そして彼との繋がりは牛乳だけだったのだと改めて思い知る。
2年生も後半になると、進路を考える時期になる。
もうすぐ受験生。
高校生になったら同じ学校に通うことすら出来なくなる。
彼はどこを受験するのだろう。
卒業したら…
もう会えなくなるのかな……
『それならいっそ、当たって砕けろ!!思い切ってこの気持ちを伝えてしまおう』と、鼓舞する心の声が聴こえる。
それと同時に『でも、今よりもっと距離が出来るのは辛い』と弱気な自分もいる。
身動きが取れないまま、ただただ宏斗を視線の先で追いかけるだけの日々がしばらく続いた。
中学生になって三度目の春。
一縷の望みをかけて迎えたクラス替えも、撃沈に終わる。美湖は、『これはきっと神様が、受験に集中しなさいってことだよね』と自分に言い聞かせ、勉学に励む。風の噂で、宏斗も自分と同じA高校を受験すると知った。
……頑張ろう。もしかしたら同じ高校に通えるかもしれない。受験がおわったら……その時はきちんと自分の気持ちを伝えよう……
美湖は強く心に誓った。