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影狼の女王(裏)

妾は影狼の女王。

かつて我を女王と認め名をくれた魔王を思い出す。

我と共に戦場を駆け、人々を恐怖に陥れた魔王。

しかし、勇者と同士討ちになり、妾も勇者の仲間に敗北し、この極魔の森に封印された。


長い眠りから覚める感覚。

久しぶりに体が動く感覚が心地よい。

妾は目の前の封印を解いた者を見る。

妾を封印から解くというからには、あの魔王の血族の者だろう。

あの魔王は死んだが、次の魔王が生まれる。魔王とはそういう星の下に生まれるもの。


妾は目の前の者を見る。

どう見ても人間だった。しかも、かなり弱そうで、噛みつけば一瞬で肉塊に変えられそうな冴えない奴。

それが妾とミキヤとの初めての出会いだった。


妾は少し戸惑いながらも力を示す。

「妾の力を手に入れたくば、示せ、己が力を!!」


妾は力の限り吠える。

殺意を込め、並みの人間ならそれだけで魂がショック死するほどの威圧を込めた。


ビクリと揺れる人影。

だが萎縮する様子もなく、こちらを優しい目で見つめる。


なんだこやつ。

妾を恐れぬのか……。これはもしや今代の勇者か。

よく見ると妾を封印した剣を持っておる。その核心が強まる。

だが、何故に妾の封印を解く? そうか、妾を殺すためか。


すると人間は手に持っていた剣を捨てた。


は?


妾を殺すのに武器など不要ということか。

舐めてくれる。

その人間は妾に手を突き出す。

そのとたん、人間の右手からは凄まじい量の神力が溢れ出した。


まずい。このままでは消される。

何が勇者か、こやつ神兵ではないか。

妾は無意識に後ろへ下がる。


封印されていたせいでまだ魔力が完全に戻り切っておらん。

妾は咄嗟に影魔法で手を振り払おうとするも、神力の籠もった右手に魔法ごと掻き消される。


ぐぬぅ。


「あ~この狼人見知りするタイプだ。こういうのは距離を縮めて頭を撫でるに限る」


人間は呑気な笑顔でこちらに右手を伸ばしてくる。


人見知り?じゃと?何を……。

その右手を躱そうにも体が言うことを聞かない。

おのれ神力か。


その手は妾の頭を撫でる。


その瞬間、妾の体中を駆け巡る快感に声が出そうになる。

妾の頭が一気にぼやけて、この人間の手に集中していく。


やめろ……。

やめるんじゃ……。


体が痺れたように言うことを聞かず、まるで自分の体ではないような感覚に震える。


まずいのじゃ。このままでは……。

震えるしかできない妾に構わず、人間は左手で妾の顎下を撫でる。


ぐぅぅぅ。


抗えない快感の嵐が頭で暴れ狂う。

あああああああああ。

壊される。壊されるのじゃ。このままでは完全に……。


妾は全身の残る力を込めて必死に快感に抗う。心で抵抗しようとしても、体が服従せよと迫ってくる。それを必死で振り払う。


「妾を舐めるなぁああああああ!」


妾の本気の威圧【サウンドボルテックス:フィアー】をなんとか放ち、人間を睨みつける。


こやつは最早、冴えない人間などではない。神兵だ。間違いない。


人間は少しびっくりした表情で手を離しただけだった。


くぅ。ことごとく効果が無い。


「ツンデレか。これツンデレなのか?」


人間はまた訳の分からない言葉を言いながら手を伸ばす。


妾は必死に距離を取る。


まずい。もう次はない。


「お、なんだ。嫌か?」


こやつ、完全に自分の力を把握した上で妾に屈服せよと言っているのか?

嫌もなにも、次触られたら妾は堕ちる。


「きっとそう。さっきのはあまりの気持ちよさに、びっくりしただけだ」


人間はそう言って距離を詰めてくる。


まずい、もう後ろには下がれない。


手が近づいてくる。


妾を殺す手が……。


体をよじろうとするも全く動かない。


これは……もう。


人間の手が頭に触れる。


また、あの痺れるような感覚が全身を襲い、脳が焼かれる。


ああああああああ。


体が言うことを聞かない。震えるしかできない妾は目を閉じる事で小さく抵抗する。


あやつの手が頭から耳へと移動していく。


だめ。耳はダメじゃ。妾……耳は弱いの……。


そして容赦なく人間の手は妾の耳の後ろを攻め立てた。


「ダメええええ。でりゅううううう!」


頭が真っ白で何も考えられない。必死に快感から逃げるように頭を振ることしかできない。


お腹が熱い。ダメ。もう出てしまう。こんな人間に頭を撫でられて粗相してしまうぅぅぅ。


人間は妾の顎を掴んで逃げられないようにする。


こやつ……。


ぅううん。必死に許してと懇願するが、全く相手にしてくれない。


ああ。


自分の耳に水音が届く。


お腹の熱が外へどんどん放出されていく。


「お、嬉ションじゃん」


人間の言葉が耳に届く。


嬉ション……じゃと……。


妾が……嬉ション。


あまりの恥ずかしさと敗北感に必死で人間に突進する。


快楽に攻め立てられた妾の体は、子供のじゃれ合い程度の力しか出ていないが、一先ず窮地を脱した。


妾は人間の言葉が話せるように、人間状態に体を変化させて抗議する。


「何をしよるか貴様。妾を誰と心得る!」


もうこれは自尊心とプライドの問題だった。頭を撫でられて粗相させられたなんて、どう取り繕っても負け犬じゃ。だが、負け犬にも負け犬のプライドがある。震える体に必死で鞭を打って睨みつける。


「チェンジで」


本気で何を言っているのか分からなかった。


「は?何を言うておる」


「チェンジで。プリーズトランスフォームガォーン」


意味が分からないが、その目を見ると狼に戻れと言われている気がする。


妾は、少しだけ残ったプライドで歯向かう。


「妾は影狼の女王であるぞ。そんな……」


言葉には屈しないと言おうとした矢先、人間から凄まじい威圧感が迸る。


ひぐぅ。


「チェンジで」


恐ろしいまでの威圧。格が違う。妾は必死で耐える。最早睨むことすら出来ず、ただただ人間の目を見るしかなかった。その目は自分の楽しみを邪魔されたという苛立ちと、邪魔したものを排除するという明確な殺意。


もうどうしようもなくなった。妾は諦めた。


「くぅ。なぜ妾がこんな目に……」


悔しい。折角封印から解放されたのに、こんな惨めな目にあうなんて……。


狼の姿に戻った妾を見て、人間の殺気が消える。


どうやら正解だったようじゃ。


最早抵抗しても意味がないことを察して、妾は無抵抗で頭を差し出す。


直ぐに頭を襲う衝撃。とうとう体を支えていた四肢が崩れる。妾は地面に這いつくばる。そんな妾を見て嬉しそうに、今度は妾のお腹に手が……。


「ひぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」


声にならない悲鳴を上げる。我慢すらできない快感が体中を駆け回り、頭が痺れる。


そこから地獄の時間が続いた。


もうどんな条件でも承服して服従する気になっていた。妾だってもはや勝ち目のない戦だと分かっている。弱肉強食のルールで、なすがまま体中をまさぐられ、快楽の虜にされている自覚はある。


だが、この人間は一切服従の条件を言わない。ただただ、嬉しそうに妾を弄ぶだけだ。


ま……まさかこやつ……完全従魔契約をするつもりか……。


それに気づいた時の衝撃はあまりにも大きかった。


完全従魔契約とは命と命を結びつける契約のこと。それは一方が死ねば、もう一方も死ぬという、愛の究極系ともいえる契約。


その契約を妾に求めるのか、こやつは……。


そこで気づく。


人間の目が妾の尻尾に向いていることに。


まずい。本当にまずい。このままでは強制的に完全従魔契約される。


「おい。お主。分かった。妾の負けじゃ。負けじゃから。服従するから」


そう言って尻尾を人間から遠ざける。


「そもそも、お主、妾のことを知っておるのか?妾を好いておるのか?」


妾はもう訳が分からない状況に頭が混乱する。


そして人間は返事とばかりに顎を撫でる。


うひぃいいいいい。


そして顎から頬へ手は動き、そのまま目元へ。


ぁぁぁぁぁぁああああああ。


目元を揉まれる衝撃と視界が潰された驚きで体に力が入る。


ダメ。このままではダメじゃ。尻尾来る尻尾来る尻尾来る。


そして、容赦なく尻尾を掴む手の感触。


目を塞がれて、いつ来るかわからない快楽の濁流に怯える。


するすると尻尾の先までなめ回すように通り抜ける感覚に妾は正気を失う。


「ああああああ。い〇ぅう゛う゛う゛う゛う゛。だめえええええ。完全従魔契約されちゃううううのじゃああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」


頭が真っ白のまま息を荒くした妾は震えながら快楽に耐えることしかできない。それでもこの人間は一切手を緩めることなく、容赦なく妾に快楽を与え続ける。


「ぁぁぁっぁぁぁっぁっぁ」


妾は声にならない声を喉から漏らす。


そして、濁流に飲み込まれるように妾の意識は途切れた。



これ生き残れると思いますかねえ。そんなにHな感じにならなかったので大丈夫だと思います()

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