シンデレラ的な何か(~白雪姫・続編~)
間もなく、開演でございます。
ホワイエにおいでのお客さまは、お席についてお待ちください。
白雪姫こと馬鹿由貴姫が味方だと思っていたドワーフ(小人) は、実は意地悪な継母だったのです。
【紗貴】ほら、お茶ついで!
【由貴】はい!ただいま!
【紗貴】馬鹿由貴!ここ、埃が溜まってるわよ!
【由貴】細かい事気にしてると禿げるぞ、姉ちゃん
【紗貴】あらぁ~……言うじゃない?あんたを城に突き出してもいいのよ?(ニッコリ)
【由貴】スミマセン。ボクが悪かったです
【紗貴】判ればよろしい
馬鹿由貴姫は、それから毎日ドワーフ(継母)と楽しく暮らしました。
【由貴】楽しくないっ……楽しくないよ!
継母にこき使われていた馬鹿由貴姫。毎日毎日埃にまみれて、灰にまみれて働く姫は、いつしか“灰かぶり”という意味の“シンデレラ”と呼ばれるようになってしまいました。
【由貴】そこは原作通りなんだ
【紗貴】さあて、私はちょっとお城の舞踏会に行って来るけど、あんたはしっかり勉強してるのよ?
【由貴】ぇえっ!?俺もお祭り行きたいよっ!
【紗貴】何言ってんの。せめて自分の名前のローマ字を間違えないで書けるようになってから言いなさい!何よこれは!
Yuki Mini“由貴 ミニ”
【紗貴】……って誰よ!明らかに文字数が少ないでしょ!?
【由貴】日本人は、日本語が出来ればいいんだ
【紗貴】“正義”を“止義”って書いた人間が何を言うか(怒) とにかく、あんたは留守番!いいわね?
こうして、継母はシンデレラだけ家に残して、一人でお城へ出掛けて行きました。
一人残ったシンデレラは、窓からお城を眺めました。
【由貴】っていうか、俺城から逃げて来たんだった……舞踏会行かなくて良かった!“飛んで気に入る 夏の虫”になるとこだった!
【??】それ言うんやったら、“飛んで火にいる 夏の虫”やろ
【由貴】おっ!? 蕎じゃんか
【 蕎 】“蕎”とちゃう。“魔女”や
【由貴】……はっ?
そう、シンデレラの前に現れたのは、魔女だったのです。
【 蕎 】ようやく見付けたで…馬鹿由貴姫……
【由貴】なっ……何の事アルカ?ワタシの名前は“シンデレラ”あるよ
【 蕎 】何で、エセ中国人なんか、判らへんわ。とりあえず城に帰るで
【由貴】やだよ、帰んないよ!だいたい“シンデレラ”って、カボチャの馬車とかガラスの靴とか出て来る、夢に溢れた物語だろ!? 何で、サバイバルになってるんだよ
【 蕎 】カボチャの馬車やら出せば、城に戻るんやな?
【由貴】違うっ!違うから!
【 蕎 】どんなに逃げても無駄やけどな。今頃、全国指命手配のチラシが配分されとる
色々あって、シンデレラを捜す為に王子は全国に渡り、捜しだそうと躍起になっていました。
【由貴】色々飛ばし過ぎだろ!!?何か“シンデレラ”でまとめようとしてるけど、完全に道外れてるから!俺は捕まらないからっ!
【 蕎 】ああ、それ無理や。姐さんが、お前ん情報横流しして賞金がっぽりもらっとったさかい
【由貴】何ですとー!?
【翠琉】見付けたぞ姫
そして、ついに王子はシンデレラを見付けたのです。
【由貴】いやいやいや!翠琉は“お妃様”じゃなかったか!?
【翠琉】気にするな
【由貴】駄目だろっ……何かちょっと嬉しいけど!原作通りに行けば…この後は……
「そして、王子と姫はラブラブで末永く幸せに暮ら……」
何と、王子だけでなく王様までシンデレラを迎えに来ていました。
【由貴】……え……?
【緋岐】人の妹に色目使ってみろ、地獄見せてやる
【由貴】怖いっ……怖いよ!っていうか、話が脱線し過ぎだろ!王子と姫は、幸せに暮らすのがセロリだろ!?
お妃様も、来ていました。
【由貴】まさか……
【紗貴】その、まさかよ。逃がす訳がないでしょう?それから“セロリ”じゃなくて“セオリー”だからね?
【由貴】ひいぃぃ!!!
こうして、シンデレラは末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
【終幕】
【 敦 】相変わらずの脱線ぷりだな
【 蕎 】まあ、良かったんやないか?希望通り“末永く幸せに”暮らしたっちゅう終わり方やしな
【由貴】よくないっ……全然良くないよ!
◆次回予告・裏島太郎
【 敦 】なっ?頼むよ、この通り!3on3 の勝負するんだけど……人数足りないんだよ
【由貴】ぇえ~……でもなぁ……
【 敦 】おまっ……昔、近所のゴウ君にイジメられた時、助けてやった恩を忘れたのかっ!?
【由貴】いや……そうじゃないけどさぁ~……
【 敦 】そんな薄情な子に育てた覚えはありませんっ!
【由貴】育てられた覚えもないしなぁ~……
【 敦 】よし、判った……もしも試合に出てくれて勝ったら……“竜宮キャッスル”で奢ってやるよ!
【由貴】よし乗った
お読みいただきありがとうございました!