桃太郎的な何かリターンズ
【キャスト】
桃太郎 →由貴
おじいさん →敦
おあばさん →蕎
鬼 →緋岐
ナレーション→紗貴
犬・猿・雉 →???
開演5分前となりました。御着席下さい。
開演に先立ちまして、皆様にお願い申し上げます。会場内は禁煙となっております。
スマートフォンなど音の鳴る機器は、マナーモードにするか、または電源をお切り下さい。また、飲食は禁止されております。
ご協力、お願いいたします。
それでは間もなく開演です。開演まで、いましばらくお待ち下さい。
それでは、桃太郎の始まり始まり。
司会は、私 紗貴が勤めさせて頂きます。って言うか【桃太郎】じゃなくてさ、【馬鹿太郎】の方が良くない?うん【馬鹿太郎】にしちゃえ♪
【桃太郎】改めて【馬鹿太郎】
【緋岐】……ついに“桃太郎”ですらなくなったか……
【由貴】とりあえず、この簀巻き状態を何とかしてくれ……
【紗貴】あんたは、黙って流されなさい!(押す)
【由貴】ぎゃぁあぁぁ!!
【緋岐】崖から……落としたのか?
【紗貴】先人は名言を残した……曰く「可愛い子には旅をさせよ。」ライオンなんて、崖から子供突き落とすのよ?
【緋岐】いやいや!実際に実行するのはどうかと思うぞ?
【紗貴】滝にでも落ちない限り、大丈夫でしょ
【緋岐】……あ、滝壺落ちた………
【由貴】ああぁぁぁ(フェードアウト)
【紗貴】……人生、い・ろ・い・ろ♪グッドラック!
【緋岐】……(ため息)先に進めるぞ?桃は、とりあえず川を流されて行きました。その川のほとりでおばあさんは、捨てた筈の大きな桃を拾いました
【 敦 】あれ翠琉じゃん
【 蕎 】桃太郎、あんさんやったかいな?
【翠琉】うむ。私にもいまいち理解出来んのだが……世話になる
【緋岐】……この場合、桃太郎の性別にツッコミを入れるべきか、それとも簀巻きにされていた桃太郎がどこに行ったのか問いただすべきか、ほんの少しミジンコほど迷いましたが可愛い桃太郎に主役交代したので、俺としては万々歳……ということで、サクサク進めます。
【紗貴】しかも、拾った時点で桃じゃないしね(笑)
【緋岐】それは……あれだ。桃のように可愛いって意味なんだよ!
【翠琉】その前に性別が……
【 敦 】いいじゃん……俺なんか性別に加えて年齢まで……“ばあさん”扱いだぞ?
【緋岐】それまで子供がいなかったおじいさんとおばあさんは、その可愛い女の子に“桃子”と名付け、蝶よ花よとそれはそれは大切に育ててほしいな。むしろ、大切に育てろ!
【紗貴】いつの間にか、ナレーションジャックされちゃった……
【 敦 】っていうか、私情挟みまくりじゃね?
【 蕎 】その前に“桃子”って……すでに“桃太郎”じゃないし……
【 敦 】スナックのママっぽいよなぁ
【緋岐】桃子は、大変正義感の強い良い子にすくすく育ちました。そこで、最近悪さを働いている鬼を退治しに行く事に……
……
………
…………
……………
桃子、危ない!そんな危険な真似、させられるか!
【紗貴】緋岐くん、落ち着いて!こういう時のあのお助けマンはいるのよっ!
【由貴】!?えっ……まさかの俺!?
【 敦 】げっ……また馬鹿の大飯喰らいが戻って来た
【 蕎 】よし……また簀巻きにして流すか
【由貴】ちょっ……待った!もう流されないからなっ!
【 敦 】判った……なら道は一つだ
【由貴】……えっと……これは……?
【 敦 】吉備団子だ!
【 蕎 】これ全部売れるまで帰って来るんやないで
【由貴】Σ!?えっ……こんなに沢山!?
【紗貴】こうして、馬鹿太郎は泣く泣く引き止める、お婆さんとお爺さんを残して一人、鬼ヶ島へと向かったのでした
【由貴】いやいや……何か話が違って来てないか?確実にこれは“マッチ売りの少女じゃ……
【紗貴】鬼ヶ島へ鬼退治に向かったのでしたっ!
【 蕎 】何が何でも路線は【桃太郎】で行くつもりやな
【 敦 】“馬鹿太郎”になった時点で、終わってるんだけどな(笑)
【由貴】Σえ!?一人はやだよ(汗)敦ぃ……蕎ぅ……一緒行こうぜ?俺達友達だろ~
【 敦 】やだねったら、やだね
【由貴】ぇえ~……歌にあるじゃんか。「愛と勇気だけが友達さ♪」
【 蕎 】それ、空飛ぶあんぱんのテーマソングやないか
【 敦 】とにかく!一人で頑張れ!
【由貴】ぇえ~……行こうよ……
【紗貴】仕方ないなあ。紆余曲折を経て、馬鹿太郎は犬猿雉の三匹を仲間にしました
【いぬ(蕎)】……は?
【さる(敦)】Σえ!?
【きじ(緋岐)】ちょっと待て!俺の役は鬼だろ!?
【紗貴】まあまあ、そこは気合いと根性でっ!
【きじ】まあ、紗貴がそう言うなら
【さる】ちょっ!先輩弱いよ!弱すぎだよっ!そこは少し強気に反対しようよ!
【いぬ】せやで。色々すっ飛ばしていきなり犬猿雉が仲間になるとか、有り得へんわ……ものには順序っちゅうもんがやな
【さる】それも何か気にするとこが違うけどな?
【きじ】とりあえず、きび団子売ってくればいいんだろ?
【さる】目的違って来てるから!っていうか……緋岐先輩と紗貴姉の力関係が今垣間見えた気がする(汗)
【いぬ】将来「かかあでんか」間違いなしやな
【馬鹿太郎】よし、行こう!皆できび団子を売り捌こう!
【紗貴】こうして、桃太郎一味は鬼ヶ島に鬼退治へ向かったのでした。
【きじ】鬼役がいなくなったのに鬼退治か……
【さる】先輩、その前に旅の目的が違うから
【いぬ】団子売りに行くんやろ?
【紗貴】そこに困っている村人が……
【さる】まさかの急展開だな……
【村人:将】きび団子一つ下さい
【さる】……って客かよ!
【いぬ】流石、将先輩や。このまんまやといつまでも売れ残る思たんやろ
【馬鹿太郎】はい、毎度!“桃太郎じるしのきび団子”幾ついりますか?
【さる】“桃太郎じるしのきび団子”いきなり、桃太郎ネタ出て来たな……
【 将 】じゃあ……18個お願いしようかな
【馬鹿太郎】はい、まいど♪……………………………………えっと………
【きじ】どうした?
【馬鹿太郎】一個135円って事は……
【きじ】まさか……お代の計算が判らないのか?
【馬鹿太郎】うん
【きじ】……135円は、税込み価格なのか?
【馬鹿太郎】(滝汗)えっと……
【きじ】(怒)ものを売るなら、そこから考えろ!いいか、仮に税込みだとしたら……18×135。これを解けっ!
【馬鹿太郎】ぇえ……無理!
【きじ→鬼】いい度胸だ今日はたっぷり教えてやる……覚悟しろ!
【紗貴】そう……仲間だと信じていた雉が、実は鬼だったのです。
【いぬ】せやなくて、きじが鬼に豹変したんやけどな?
【さる】そうそう。余りの馬鹿太郎の馬鹿さ加減に
【馬鹿太郎】やだ!絶対いやだ!
【 鬼 】あっ!こら逃げるな!っていうか、この掛け算は昨日教えたばっかりだろうがっ!!
【紗貴】こうして、馬鹿太郎と鬼は和睦を経て、末永く仲良く暮らしましたとさ。
【閉幕】
【 敦 】はちゃめちゃな話だったな……
【 蕎 】まあ、ええんちゃうか?
END
◆次回予告・マッチ裏話
【由貴】……どうしよう……宿題が……
【紗貴】今何て言った……?
【由貴】あっ……姉ちゃん……今のは違うんだっ!
【紗貴】な・ん・て・言・っ・た?
【由貴】すみません……
【紗貴】何このプリントの山はぁ!仕上げるよ!
※こうして由貴の修行の旅は始まった。
お読みいただきありがとうございました!