いやなのに
やだやだやだ!
くびをぶんぶんしたけど、ママはきいてくれない。
いつもはたのしいくるまのなかも、きょうだけはちがう。
はいしゃはいやだ、こわいよぉ!
むしばがみつかっちゃったから、つれていかれる。
にげられないように、ママにがっしりつかまえられてる。
とうとうはいしゃのまえにきた。
いやだ、いやだ、いやだ!
さわぐぼくを、うけつけのひとがしんぱいそうにみてる。
おきゃくさんもみてるけど、かまうもんか!
あれ、みんな、ぼくをみてないぞ。
あっ、おんなのこがないてる。
いやだいやだって、ないてる。
ぼくよりちいさなこだ。
ぼく、きゅうにはずかしくなって、さわぐのやめた。
おおまたにあるいて、おんなのこのとなりにすわる。
おんなのこがなきやんだ。
ぼくのことみてる。
ぼくは、こわいのをひっしにがまんして、わらったんだ。
おんなのこのちりょうがおわり、つぎはぼくのばんだ。
こわいモンスターがひそんでそうな、とびらをくぐる。
でも、あのこもがんばったんだ。
ぼくだってできるよ。
そう、ぼくはいまからぼうけんにいくんだ!
ますいをしてくれたから、いたくなかった。
かえりのくるまで、ママはぼくをなでてくれた。
またぼうけんにいくときは、こんどはもうなかないぞ!