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プロローグ
此処に真実は存在せぬ。されど、この世の全ては此処にある。
無から有を生み出すことは出来ぬ。されど、有限変化は現世の領分。
ありとあらゆるものを断ち、削り、除き、繋げる。
創造幻想、それはまさに型を模倣したもの。
主は、何を以って其れを真か偽か見做す？
＿＿＿＿＿驚かせてしまったようですね、申し訳ありません。
この口上は、店の規則のようなもので。どうぞ、こちらにお掛け下さい。
改めまして、ここはミラージュ・ドゥ・シュヴァルツという魔導具店です。
ですが、この店の魔導具は一般的に使用されているものとは定義が異なります。業務中での手助けとなる、物理的に動く機械のようなものとは全くの別物だと捉えて下さい。
企業秘密ですが、そういったものとは刻み込まれている魔法の術式が違います。ですので、貸出を行っているのは、精神に直接作用する魔導具のみとなっております。
そのような魔法を行使するのは詐欺だと言われてしまえば、私達に出来ることはありません。それでも、それに縋らないと生きていけない方は、確かに存在します。そんな方々をこの魔導具でお救いできるのなら、それで結構です。
それに、お客様方のように、そういう人は大抵付き添いの方と一緒にご来店されることが多いです。なので、まずはきちんと付き添いの方に説明をする。その説明に納得した人にしか魔導具は譲渡しない。お客様が納得されないまま、どういう店か理解しないまま、騙すような真似は致しません。
さて、お客様。貴方の求める本物は、ここには存在しません。それでも、貴方は救われたいですか？
