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エピローグ: 最愛と永遠の新婚旅行

 最愛のミシェルが悪役令嬢として王子と聖女の婚約を見届けたあと、私はカーディフ王から今回の目的を聞いた。


 魔族の聖女対策は、既に円熟期を迎え、国が揺るがされることがなくなった今、魔法国連盟の王たちは聖女との共生が可能かどうかに興味を持つようになった。


 このため、当代悪役令嬢は、これまでの聖女伝承をとりまとめ、情報を精査し、当代聖女で実証実験を行うことになった。


 聖女が好むとされる物語の舞台を学園に設け、聖女の行動にどれほどの再現性があるのかを調査した。


 他の魔法国の王たちもそれぞれの伝承を託した学生を留学生として派遣し、当代悪役令嬢に協力した。


 実証実験の精度を上げるため、聖女の相手役となる王子や貴族令息への情報提供は、慎重に行われた。つまり基本的に秘密にされた。


 今回の最大の発見は、聖女の異世界の記憶は、魔族にとっての急な設定変更にも対応しているという点だった。


 聖女の相手役の一人に指名された魔術師団長の令息は、急に一家で亡命し、魔術師団のエースが急遽代役に抜擢されたが、聖女の記憶はこの代役の方と合致していた。


 現在の魔族の科学技術では解明できない謎として、引き続き「神」と呼ばれる存在に対して警戒を続けて行くよう、カーディフ王から魔法国連盟に提案する予定だそうだ。


 聖女との共生については、引き続き個体依存であると報告されるとのことだ。


 カーディフ王としては、令息たちの中から真に聖女と心を通わせる者が現れれば、そのものを廃嫡せず第一線で活躍できるように見守り続ける計画だった。

 しかし、当代聖女については、愛によるものではなく、自分の身を守るために王子を選んだようにしか見えず、残念な結果となったようだ。


 ただし、王子も聖女を自身が庇護することに同意していることから、しばらくの間は廃嫡とせず、王子妃としての聖女が民からどのくらい受け入れられるのかを調べるため、経過を観察することになった。


 卒業パーティーで悪役令嬢ミシェルに不貞という瑕疵を付けたことについては、各所から大反発があって、速やかに取り下げられた。


 代わりに聖女と王子の間に「真実の愛」が芽生えたことになった。


 王と王子は、聖女が民に愛されるようにならない限り、スランダイルン公爵家に王位を譲ることを希望している。


 父も私も迷惑がって拒絶しているが、聖女が王妃になるにあたって暴動が起きるようであれば、受け入れざるを得なくなるかもしれない。


 そんな窮屈な未来が来るかもしれないと気付いた私は、今のうちにミシェルと存分に自由を堪能することにした。


 永遠の新婚旅行だ。


 実は、これは私たちが始めたことではない。


 ミシェルとの結婚式はダジマット王国で執り行われたのだが、その時に仲人をしていただいたセントリア帝国のリリィ皇后殿下から伺った話で、兄君のセオドア様が「永遠の新婚旅行」と称して、家族で世界中を旅してまわっているという逸話を真似しただけだ。


 セントリア皇帝のナサニエル様も、このセオドア様の真似をして、自分の日記をリリィ様の誕生日に送り続けたことで離れて育ったのにも関わらず愛を育んだとのことだ。


 大変ロマンチックな方だと感心していたら、剣術修行の旅に出ている間に手紙を書けと催促されるのが面倒になって、日記を送り付けたら奥方に喜ばれたことから始まっているらしい。


 永遠の新婚旅行も、永遠に剣術修行が終わらないセオドア様にキレた奥方が旅についていくようになっただけと聞いた。


 私は美談の方だけ覚えておくことにしようと思う。



 私とミシェルは、いつかは公爵家を継がねばならないだろうが、それまでは乗馬がえらく気に入ったミシェルが世界を旅してまわりたいというので、護衛を兼ねてお供している。


 最初の目的地は、ケットシーの里だ。

 ネコはもうそろそろ人語を話し始める頃だろうか?


 ミシェルと幽玄が魔素結晶を使って開発した「人をダメにする」ソファーや寝具が世界中の富裕層から人気を誇っている。

 どれも一点ものなので、ミシェルに遊びに来て欲しい王侯貴族が世界中にいて、どこへ行っても歓迎される素晴らしい妻を持った。


 私としては、家の中だろうが、馬の上だろうが、ミシェルが私の腕の中で楽しそうに笑っていれば、他はどうでもよいのだ。


 今、この瞬間のように、私の腕の中で眠っているミシェルを眺めているのも非常に気に入っている。


 ああ、お腹空いたときと同じ表情で、私の首元に遠慮がちに手を添えて私の唇を引き寄せるときのミシェルも素晴らしいな。


 まだお腹が空いているのか私が欲しいのか判別がつかないことが多いが、もう少し経験を積めばそのうちわかるようになるだろう。


 端的に言うと、幸せだ。




最後までお読みいただきありがとうございました。


本編がもたつかないように削除した内容を王子の失恋譚(別作品・全4話)として明日から公開しますので、よかったら読んでみてください。


暑くなってきましたので、夏バテにお気をつけてお過ごしくださいませ。


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