シーツもよう その②
今回は加奈子さんの…英さんとの過去バナと、賢ちゃんとのクリスマスイヴの夜の甘いお話です。
『ねーちゃんのいたずらってかなりエグくて…それも“ここぞ”ってタイミングでやるから!!…結構キツかった』
いつだったかスグルからそんな事を言われて…
「失礼ね!! 私がかわいい“弟”にいつ、そんなを事をした!!?」
って気色ばんだら…
スグルは「ヤレヤレ」と肩を竦めた。
後で振り返ってみると…
かわいいスグルをいじりたくてチョコチョコいたずらを仕掛けてたなあ…
でも一番大掛かりなのは…
スグルをクソ女に寝取られた時!!
あ、この表現!!
まさしく当時の私の気持ちだ!!
あの時は言葉にできなかったけど…
私はスグルを愛していて…それを高校時代の同級生に寝取られた!!
その女がスグルの子供を産むかもしれないって騒ぎになって
まだ中三だったスグルはウチのお父さんに弟子入りしたんだ。
『“家族”を食わせる為に和菓子職人になって一甫堂を継ぎたい』って
結局、クソ女は妊娠する事なく…元よりスグルはその責任から解放されたのだけど…
一途なカレの…和菓子職人への情熱は消えなかった。
高校へは進学したけれど…朝は3時半にボイラー点けて学校へ行くまでお父さんに付いてお店の下働き、学校が終わると飛んで帰ってきて、接客や片付け。店を閉めてからようやく和菓子の仕込みの勉強…という日課を変えようとしなかった。
そんなカレを見ているのも辛かったし、事の発端の一因となった自分の事も許せなくて…私に言い寄って来た男たちの中で一番最低なヤツに体を投げ出して私の“初めて”を奪わせ…
私は自虐の結婚生活に入った。
ちょうどその頃の事で…
結婚式の招待状を送るのに住所録を見ていたらひとりの後輩の名前に目が止まった。
「この子、スグルの通う“湯の町高校”の生徒だったよね…」
この時、私はあるいたずらを思い付いたのだ。
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その日は日勤夜勤明けで…気分もハイテンションだった。
私は予め後輩から借りていた湯の町高校の制服に袖を通し…校門近くでスグルを待ち伏せしていた。
ちょうど「4丁目のしいちゃん」が他の二人と連れ立って出て来たので捕まえて、スカート丈を今のトレンドに合うようにウェストを折り込んで調整してもらい、まるで彼女達のクラスメートの様に振る舞ってスグルを待った。
じきに急ぎ足のスグルが出て来て、私にまったく気づかず目の前を通り過ぎようとしたので
「ちょっと!! カノジョを無視するなんてどういう事!!」
と腕を掴んでやったら
スグル、怪訝な顔の後、「ギャッ!!」と驚いた。
「カノジョの顔見て何驚いてるの!! 分かった! やましい事があるんだ!!」
「ね、姉ちゃん!!」
いたずらは見事に成功!!
しかも…
「え~!!! この人がおねーさんの弟??!!」
目が♡になってしまった2人のJKとしいちゃんに囲まれて…
スグルはその後、大変だったそうだ。
こんな殊勝な姉心も叶わず、カノジョの“カ”の字もできないまま高校を卒業、そのまま職人人生に突入したスグル…釣りの他は貯金が趣味か?と言いたくなるようなコだったのに…
ばあちゃんが見初めた冴にぞっこんになっちゃって!!
随分とヤキモチ焼かされた…
あれ?
どっちにだろう…
最初、冴に…と思ったのに…
スグルにヤキモチ焼いてた??
…私も冴にぞっこんだったからなあ…
あのままだったら
結局私は
愛しくてならないふたりにヤキモチ焼き続けて
とても苦しい思いをしたのかも…
でも私にはこの世で一番の賢ちゃんが居る!!
私は裸の賢ちゃんの胸にウリウリと顔を押し付ける。
嬉し涙がまつげを濡らす。
「加奈ちゃん! どうした?」
嬉し涙を見られるのはちょっと恥ずかしいので胸に顔を伏せたままごまかしちゃう
「―ん、賢者タイム」
「“賢ちゃん”タイム?? いや、オレもう動いてないし、チャージ中だぜ!」
「ヤダ!もう!!」
パン!と賢ちゃんを叩きながらも私は吹き出し笑いだ。
「なにスケベな聞き間違いしてんの!『賢ちゃん』じゃなくて『賢者』よ! ケ・ン・ジャ!!」
「ああ…それって女の子にもあるんだ…」
「え~!! じゃあ!私とのエッチの直後にも賢ちゃんは賢者タイムになっちゃうのっ?!!」
「オレがなるのは『賢ちゃんタイム』! 賢者タイムとは似て非なるものだ!」
「なにそれ!私の事、ディスってる?!」
「違うよ! 頭の中が加奈ちゃんでいっぱいになるって事!」
その言葉に…もう私の胸はキューン!!がいっぱいになってしまうのだけど…アマノジャクな私は…
「っんとに口がうまいんだから!! この女ゴロシ!!」とほっぺをつねってやろうとベッドの上で身を起こした。
「あっ!!」
私の声の響きにただならない雰囲気を感じたのだろう。賢ちゃんは私をそおっと抱き寄せた。
「どうした?」
「うん…あのね…」
あっ!
その前に…
皆様に状況説明を…
。。。。
今日12月24日は土曜日で…
賢ちゃんとふたり『ながら仕事の本社でデート』だった。
おのおのの案件を片付けて、“イチャコラ”しながら打ち合わせをして…会社を閉めてから最近行きつけになったビストロでクリスマスディナーを取った。
ここで私達は思いがけないクリスマスプレゼントを受け取った。
なんと!お店に『まろやか音』が設置してあったのだ!!
もちろん私達はこのお店になんの営業もしていない。
でも、含んだお水の口当たりにピン!と来て…“舞台裏”を見せてもらった。
「こんなに丁寧な設置仕事は…師匠か冴ちゃんだな…」とつぶやいた賢ちゃんの袖を引っ張って私はフレームの裏側に見え隠れしているポインセチアのイラストを指し示した。
冴は組み立ての時、裏表が判別できるようにと…部材の端っこによくイラストを描いている…そのイラストがあまりにも見事なので、私達社員にとっては『冴ちゃソを見つけろ!!』と言う密かな楽しみになっているのだ。
「あの子、お店の改築や年の瀬で自分達が忙しいはずなのに…その合間を縫って…売り込みから始めてここまで漕ぎ着けたのね…」
「オレも何も聞いてなかった! 完全にサプライズをやられたよ!!」
「あの二人に…何かお返しをしてあげなきゃね…」
冴の温かい気持ちと美味しい料理に身も心もポカポカになって店を出て
少しそぞろ歩きして…
私達の現在の“愛の巣”(うわぁ!響きがエロい!)である冴のマンションに到着!!
その時はもう二人とも我慢できずにシャワーもそこそこに(と言うか二人一緒に大まかに洗いっこした)銭湯もとい!戦闘開始!!
それから私は叫びっぱなしで今に至る…
。。。。
「うん…あのね…」
お察しの通り、シーツの上に直接“素肌”を乗っけている私には…それがシーツに沁みてゆく感覚が分かった。
「…賢ちゃんのが…出ちゃった…」
「えっ?!」
思わず覗き込もうとする賢ちゃんを慌てて押し留める。
「ダメっ!恥ずかしい…」
「なんか…ごめんな…」
「えへへ 仕方ないよ。私達、子作りには不慣れなんだから…」
私の物言いに賢ちゃんは照れ隠しに笑い…私は賢ちゃんがくれたティッシュとタオルで汚してしまった箇所をそっと拭いた。
「あちらもまだ起きてるかもしれないから…謝りのメッセだけ入れておくわ」
メッセを発信したスマホにピンポン玉を打ち返すようにすぐメッセが返って来た。
『今、電話大丈夫ですか?』
“OK”のスタンプを送ると秒でスマホが鳴った!
『おねーちゃん!!』
冴だ。
「うん! ごめんね。冴のベッド、汚しちゃって…」
『ううん!!違うの! すっごく嬉しくって!! ベッドを使ってくれてるのもそうだけど…実は私もさっき同じ失敗をしたの!!』
「えっ?! マジ?!」
『マジ!マジ! でね! 私も同じ様にお母様に謝ったの! そしたら…』
『そしたら?…』
『“こうした失敗はすべて幸せを紡ぐ糸なのだから思いっ切り仲良くしなさい”って!!』
何という優しい言葉だろう!!
この言葉をくれた人が…冴と“あかり”のお母様なんだ!!
「素敵! とっても素敵!! いいなあ…」
『なに言ってるの! 加奈姉は私のおねーちゃんなんだから、お母様の子供でもあるのよ! お母様は事あるごとに言ってるよ“加奈ちゃんは今度いつ来るのかな”って』
「冴!本当にありがとう!! あ、ビストロで『まろやか音』見たよ!素敵なサプライズ! 感激した!! ありがとう!」
『あははは バレちゃいましたか…ちなみに…ふふふ! 私達これからまたしますけど…』
「キャハハハ 賢ちゃんはやる気満々!」
『良かった! 気にせずガンガンやって下さい!!って!…ククク…キャハハハ!!』
「ハハハハハ! そっちも頑張って! 早く“あかりちゃん”を呼び戻してね」
『は~い! 賢兄にも宜しく!!』
温かくなったスマホを胸にしっかり抱きしめた時、
『!!』
と、賢ちゃんへのいたずらが閃いて…
甘え猫になった私は賢ちゃんのお腹めがけて飛び込んで行った。
加奈子さんと賢二さんのカップル!
私は大好きなのです。(#^.^#)
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