冴ちゃんのお買い物 <スイカ>
“この街”に冴ちゃんが戻ってきて、英さんと二人の生活を始め…
加奈子さんが賢ちゃんのパートナーになって、空いた冴ちゃんのマンションで同棲を始めて間もなくの頃の
ある日の冴ちゃんの“お買い物”の光景です。(#^.^#)
「大将! こんにちは!」
「おう!冴ちゃん!らっしゃい!」
馴染みの八百屋の前に、私は大きめのバッグを持って立っていた。
女将さんも奥からニコニコと出て来る。
「こんにちは冴ちゃん! そのバッグ、たくさん買ってくれるの? サービスするわよ」
「母ちゃん! んな事言うんじゃねえ! 冴ちゃんは、今はスグルと二人きりの新婚さんだぞ! 冴ちゃん! 必要なものだけ買いな! 置きっぱなしじゃ野菜も可哀想だ」
「ありがと、大将! まろやか音の調子はどう?」
「おう! それよ! いいよ!まろやか音!! 麦茶がよう! うめえんだ。 母ちゃん! 冴ちゃんに出してやんな!」
「あいよ」と女将さんはグラスに麦茶を入れて持ってきてくれた。
お昼の陽ざしが強く照り返し、その光をコップが弾く
私はそれを一気に飲み干した。
「とっても美味しいです」
「ねえ、冴ちゃん!冴茶ソの麦茶は作らないの?」
「えっ?! あ、そうですね! いいですね! 女将さんから名案をいただいちゃった! “まろやか音”にピッタリの麦茶を色々探してみます。楽しみにしていて下さい。」
「で、冴ちゃん! 今日は何にする?」
「あは! そうそう! 今日、賢兄と加奈姉が帰って来るので、みんなでスイカを食べようと思うんです。で、まだシーズン間に合うかなって?」
「その為のバッグってわけか? 嬉しいね。 この“お花沢”、いいぞ、待ってな!選んでやっから!」
大将はスイカの模様やお尻を確認して、最後にコンコン叩いた。
「いい音だろ?! 食べ頃だ!」
「はい、私のアタマを叩いても決して出ない様な、いい音です。試しに叩いてみます?」
と二人に向かって少し頭を傾けてみせた。
「アハハ! 冴ちゃんのアタマの音は分からないけど…お声は鈴の音を鳴らしたみたいだよ、うん“まろやか音”の音より可愛い」
「えへへへ、“まろやか音”に勝った!」と力こぶを作ってみせる。
「冴ちゃん! 賢ちゃんはいつまで、こっちに居る?」
「イカ釣りですか?」
「おうよ! スグルと3人で行く約束だ」
「いいですね! 今度の水曜、賢兄と英さんの体、空けましょうか? 箭内のお父さんも連れていってあげてください。加奈姉と打ち合わせしておきます」
「悪いなあ 冴ちゃん!」
「いいえ、水曜は商店街自体が結構お休みだから… 私と加奈姉でうまく回せますよ」
こんな楽しい会話を…至極当たり前にしている日常…
ほんの数か月前までは
こんな未来が私に訪れるなんて思いもしなかった。
これは、カノジョが私に
くれたもの
ありがとう
あかり!
私は、買ったスイカを抱きかかえ
幸せの重さを感じる。
ふふ、
赤ちゃんの重さみたい
でもきっと
お腹の中で抱きしめている時は
もっと重いんだろうなあ
早くおいで
あかり
。。。。。。。。。
2022.3.11
イラスト追加しました。
“この街”は海辺の街でもあります。
英さんに誘われての近場デートでの1コマ
2023.12.5追加
スイカを買いに来た冴ちゃん
鬼甘の冴ちゃんのお話を書くのも、冴ちゃんの画を描くのも
私はとても好きです(*^。^*)
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