クリスマス特別編 ザ★クリスマス ③
今回はクリスマス前の冴ちゃんのお話(*^。^*)
お母さまが用意してくれたのは、アルパカと絹とカシミアの混紡の美しい手染め糸で、海外から取り寄せたものだ。
「この糸は元々、一甫堂の女将さん…あなたのおばあちゃまから教えてもらったのよ。だから英さんのプレゼントにはちょうどいいわね。」
「お母さま ありがとう すごくきれいな糸ですね。淡い色なのにほんのり艶がある…」
「それだけじゃなく、軽くて暖かいから…マフラーにはぴったりよ。この半年弱の…英さんとの事を思い出しながら、ひと編みひと編みしていきなさい。それが手編みのプレゼントの楽しみのひとつなのだから…」
お母さまのお言葉通り、覚えたてのゴム編みで一目一目編んで行ったこのマフラーも
『長めに編むと、英さんと繋がれるわよ』と言われた“下心満載”の十分な長さになった。
このマフラーに今、お母さまに教えてもらいながらフリンジを付けた。
「編み目もとてもきれいに仕上がったわね。さえが心を込めて丁寧に丁寧に編んだからよ」
お母さまは私を抱いて頭を撫でてくれる。
英さんのお嫁さんになるのと同じくらい、お母さまの子供になった事が
嬉しくて嬉しくて
涙が出る。
「私のお母さまになっていただいて、本当にありがとうございます。 私はとてもとても幸せです」
「さえ、それは私も…私たちも同じ… とてもとても幸せですよ… さっ! 午後は彩ちゃんと大樹くんが来るから… プレゼント包装したら、お昼にしましょう」
彩ちゃんと大樹くんはお兄様のお嫁さんと赤ちゃんで…二人とも、とても可愛い。
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彩ちゃんは、いつのまにか一人座りができるようになっていた大樹くんに安全そうなおもちゃを握らせる。
「こうしておくと、しばらくはひとり遊びしてくれるのよねー 大樹くん!おばあちゃまが戻ってくるまで少し待っててね~」
この、年下のお姉さまは、仕草の一つ一つが可愛い。
二人してクリスマスツリーに飾り付けをしているのだが、ガラスボールの根元に付けられた吊り下げ用のリングを通して大樹くんを覗いたり、ふわふわの綿の雪を顔にあててサンタに扮したりしている。
ん?
少し気配がしたので
「彩姉さま」と声を掛ける。
「はい、 なんですか? 冴ちゃん」
「大樹くん ウンチでは?」
「あらあらあら」
大樹くんが盛大に体をひねって逃げようとするので、カレの足を捕まえてお手伝いした。
彩姉さまは大樹くんのお尻を拭きながら、カレの足を掴んでいる私に声を掛ける。
「ねえ、冴ちゃん」
「なんですか?彩姉さま」
「その“彩姉さま”だけど… 二人だけの時は、“彩ちゃん”って呼んでくれませんか?」
「えっ?」
「私は一日中 “ママ”とか“奥様”とかなんです。その上、年上の冴ちゃんにまで“お姉さま”と呼ばれるの…正直、辛いんです…」
そういうものなのか… そんなことで困っている彩ちゃんはやっぱり可愛いので…大樹くんとの三人の時は、「彩ちゃん」と呼ばせてもらう事にした。
「彩ちゃん、飾り付け上手だね~ 私なんか、このリボン、どこに付けていいかも分からない」
「ふふ、ホントはね、その大きいリボンを最初に付ける方がやりやすいのよ。
こうして、大きいのをジグザグに付けてから、色を違えながら小物を付けていくの」
「ホントだ!可愛い!! 私、クリスマスツリーって、このあいだ、お店の片隅の物を少しいじったくらいだから…勉強になるよ」
「そう言えば、お店は年末年始、忙しいんでしょ?」
「私はまだ未経験なんだけど…29日から年末まではひたすら忙しいらしいの。 年始も2日からお店は開けます」
「じゃあ、今日の夜は英さんとの貴重な一夜ね♡」
「エヘヘヘ そうだね♡」
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イラストは冬の装いの冴ちゃんです。
2023.12.13更新
冴ちゃんのイラストを追加しました。
この鬼甘なお話は迷惑を顧みずまだ続けるつもりなのですが…
クリスマスに間に合うのだろうか?…(-_-;)
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