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こんな故郷の片隅で 終点とその後  作者: しまうまかえで
33/47

“もうひとつの” Sailing ①

一夜明けた加奈子さんと社長です(#^.^#)

何か音がして


()()()()()()()()私は再起動した。


膝をわずかに動かすと

緩い痛みが起こり

髪の毛ほどの僅かな差ではあったけれど意識より先に体が記憶を呼び起こした。


昨夜

このベッドの上で私は

激しく、溶けた


体の中に強烈に残っている

感覚


それとは別の

予想だにしなかった箇所の関節の痛みや擦り傷が

愛おしい


でも…


私は素肌に毛布だけなのに!


今はベッドに独り…


やっと、音のありかに目をやると


カレがスボンプレッサーを開いていた。


その足元には、抜け殻になった下着とワイシャツのパッケージや間紙


ベルトの音を鳴らし、ザクっ!とズボンを履くカレは、昨日はしていなかったネクタイを手に取る。


その姿は精悍だ。


精悍だけど…


()()()はズルい


裸の()()()の目の前で


さっさと

こんな事をする。


私は既に“過去のオンナ”


ああ


とても“うっかり”とは言えない。


このベッドの上で


何度も何度も


『愛している』『大好き』

と叫んでしまったから


この

甘く切ない罰を


きっと私は

一生忘れないのだろう


涙が

溢れて来る


寝返りを打つふりをして


涙を毛布で抑える。


「加奈ちゃん」

背中にカレの声を聞く。


声が出せない。


気配が近づいて来て


カレの手が私の髪を撫でる。


全身が切なくなって


“やめさせたい”のと“やめさせたくない”のとが、相混ぜになる


私は

毛布に顔を埋めたまま、応える


「なあに? 社長」


「つれないなあ 統括」

と髪をワシャワシャやられて


思わず声が出る。


仕方ないので頭を起こして

くぐもった目でカレを見る。


カレは人の気も知らないで少年の笑顔を向けて来る。

「寝顔、可愛かったよ」


ホントに! コイツは!!


私は視線を合わさないよう、自分にかかっている毛布を見つめた。

「賢ちゃんは…カッコいいね。やっぱりモテるオトコは違うね」


「…また言ってるよ」


「だって! 事実だもん」


賢ちゃんは軽くため息をついて今度はこんな事を聞いてくる。

「加奈ちゃん、アクセサリーしないよね。なぜ?」


「…しないって事は…ないよ」


「まさか他にオトコが居て…指輪とかを」


「オトコいない!! 離婚してから一切!何もない!!」


「そうか…なら、良かった」


「そうなんだ、賢ちゃんに都合いいことなんだ」


「ああ、これでひとつクリアだ!」


ダメだ!!


私、

この人の事

どうしようもなく好きだ。


でも都合のいいオンナは

悲しすぎて

やっぱり

イヤだ!!

だから


「もう…」

と言い掛けた時、また思いもかけない事を言われる

「着替えて、ネクタイも締めたけど… おとうさんどう思うかな?」

「お父さん?! 賢ちゃんのお父さん 亡くなったんじゃないの?」


「いや、加奈ちゃんのおとうさん」


「えっ?! ウチの父?! ウチの父は… 賢ちゃんの事、ベタ褒めしてたよ」


「ホントか?! よしっ!!」


「何が『よしっ!!』よ!! お父さんが良いって言ったって私は“統括”なんか、やんないからね!!」

不覚にも涙声になってしまい、毛布に顔を埋めた。


その毛布ごと、カレにガバッ!と抱きしめられた。

「オレはもう嫌だ!! 金輪際!! 欲しい物を手放すのは!!」


私は毛布ごと押し付けられたカレの胸に抵抗した。

「私はモノじゃない!!」


腕に力を込めようするがすぐに萎えてしまう。


ダメだダメだダメだ。


私はエビのように後ろに下がって

毛布を脱皮した。


剝き出しになった心を、カラダを、

カレに見られてしまった


「ゴメン!! 順番が違った!!」

頭を下げて、カレは言葉を継ぐ

「決していい加減じゃない!! これから先のオレの一生をすべてあなたに捧げます。

オレと! 結婚してください」


あまりの事に

私はベッドの上に座り込んだ。


何、これ


頭の中が


カオスだ!!


ただ、涙がボロボロ止まらなくて


両手の小指球で交互に拭ってしまう


ふと

椅子の上に脱ぎっぱなしになっているカレのワイシャツと下着が目につく。


私は飛びついて、それを裸の胸に抱き込んだ。

「じゃあこれだって!未来永劫私のモノだ!! 誰にも渡さない!」


満面の笑みのカレの胸に

私は飛び込もうとした!


「ちょっと待った!!」

カレの両手に肩を掴まれ、阻まれてしまう


「これからお父さんのところに挨拶行きたいんだ!! その前にワイシャツがヨレちゃマズい」


私はカレの手をはねのけた。

「だったら!脱いで!! 私だけハダカはズルい!!」


私はハダカのカレの胸に飛び込んで

ドラキュラになって、カレの首筋に吸い付き

誰にでもわかるように

噛み跡を残した。


で、その後


やっぱり


シた。


挿絵(By みてみん)

えっと、加奈子さんのラフ画をこちらへ引っ越ししました。<m(__)m>


この回はもう、しろかえでのターンなのですが、

『うわっ!!こいつら、“鬼甘”!!』と黒楓は申しております(^^;)



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、切に切にお待ちしております♡

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