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ある冒険者の復讐譚  作者: 昴
2/24

迷いの森

2話目です!

「あークソなんでこんな雑魚魔物ばっかりくるんだよ!寄ってくるなら食料になる普通の動物にしろっての!」


 魔物とは、通常の動物が周囲の魔力の影響により、


変質、または突然変異体として生まれてきたものをい


う。魔物は基本的に、普通の動物になぞらえた姿をし


ているものが多いが不自然に体が大きかったり、本来


ないはずの角や元より多い目などの特徴があり、元と


なる動物とは基本的に違う。そして、魔物を殺すには


二つの方法がある。魔物には体内に通常の動物にはな


い魔石が存在する。それを破壊すると、体が消滅す


る。もう一つは普通に、生命活動が停止するほど体を


損傷させる事。普通に殺すと魔石だけが残り体は消滅


する。

 

「腹立つ!ユリウス!燃やせ!」


 そう言って後ろに飛ぶ。


「「四大元素の一つたる、大いなる炎よ!我が力を糧とし、敵を燃やし尽くせ!インフェルノ!」」


 その詠唱と魔法名を言うとユリウスの手から火がでて、目の前の狼のような魔物が燃える。


「ギャアアアアアアアン」


 それが暴れて、他の魔物にも燃え移る。


「いつ見てもスッゲー光景…」


「……………………………確かに」


 そう言っている間にも暴れて燃え移り、またユリウスが放つ炎も別の魔物を襲う。


「ユリウスーもういいんじゃね?そろそろこっちに跳んで来そうだし。」


 とか言ってる間に一匹、また一匹とこっちに跳んでくる。


「うわ、きたし。「鎌鼬(かまいたち)」」


 手をかざしてスキルを使う。


「ギャッ!」


 風の刃を飛ばし、魔物を真っ二つにする。発声機関をやられたせいか、変な風に悲鳴が途切れる。


「残り速攻でやっちゃえよ。燃え尽きるまで待つのだるい。な?」


「…………………………………うん」


 あれ?間が長くね?不機嫌?なぜ


「そう?じゃあ スキル「詠唱省略」「鳥籠(とりかご)」「爆裂」!」


 燃えた魔物が魔力の壁に閉じ込められ、逃げ場が無


くなり、そして小規模の爆発かその内部で起きた。そ


れによって魔物は一瞬で絶命し、その体は消え去りそ


の場には無数の魔石と牙が落ちていた。


 魔物を倒すと魔石の他に、稀にその体の一部が落ち


ていることがある。基本的には爪や歯、鱗や目などが


ある。


「あー終わった。魔石だけ拾っておこーぜ。」


 牙はいらんだろ、と言って僕は魔石を拾い始める。


「ちょっと君ら俺に頼りすぎじゃないか?」


「いいだろー別に。こういうのは魔法の方が向いてる。」


「………………………適材適所」


 うんうん、その通り。


「その通りだよ、じゃあどんどん進もう!」


 いいように使われてるなー俺、と呟きながらもしっかりやってくれるユリウス。さすがです。


「つってももうまた鼻の先だけど。ちょっと休憩してくか、ユリウス消耗させちゃったし。てか歩き疲れたし。」


「そうだね、少し休もう。お茶入れてよフレイ。茶葉とお湯用意するから。」


「おっけー。ナターシャはなんか軽食の準備しとい「おわった」て…」


 相変わらずせっかちな子


「はやいなぁ、ちょっと待って」


 というとユリウスは自分の指をじっと見つめ始めた。


「おいユリウス早くおゆ…」


 とたんぼっと音を立ててあいつの指からマッチの火くらいの大きさの火が燃えていた。


「…は?なにそれ、完全無詠唱?」


「うん、最近練習してるんだよ、無詠唱。」


「ふつーはスキル持ってても魔法名は言わないとできないと思うんだけどな。」


「まぁこの程度はね。実戦で使うようなものは全然だよ。」


 あーこの天才腹立つわー


「………ねぇ、まだ?」


「ごめんごめん、ちょっと待ってねー。」


 ユリウスはそう言うとポットを手のひらの上にのせると


「四大元素の一つたる大いなる火よ、我が力を糧として、我らに恩恵を与えたまえ。「ファイア」」


 ポットと手のひらの隙間から火が全方位に小さく漏れ出す。10数えると火を消して、軽く沸騰しているお湯の入ったポットを僕に渡す。


「それくらいだと詠唱いるんだな、っと」


「そうなんだよー要練習だよなー」


 どんなに小さくても現象を起こすだけで十分すげーから。魔力操作ってそこまで便利じゃねーだろ


「よしっと。お茶入ったぞ。そして菓子くれ。」


 そういうと、ティーカップに手が伸びてくると同時にクッキーが入ってる皿が置かれた。


「お、サンキューナターシャ。これ好きなんだよね。毎度思うけど、これどこに売ってるんだ?」


「……秘密」


 ちょっと嬉しそうに言うナターシャ。


「えー、おしえてくれてもいいじゃん」


「…だめ、まだ内緒」


 頑なだなー。ま、いっか。


「見せつけてくれるなぁいつもいつも」


 な、ななにを言ってるんだこいつは!?


「な、なにいってんじゃよ!」


「じゃ、じゃよ…」


 こ、こいつ笑いやがって…


「あーもう終わり!休憩終わり!いくぞ!」


 全くこいつは…


「……フフ」


「お、お前まで…」


「!………………な、なんでもない」


 あ、このアマ目を逸らしたな。


「あーもう行くぞ行くぞ!さっさと終わらすぞ!」


「はいはい」


「ん。」


 間がないなんて珍しいこともあるもんだな


 そう思いながら出発した。


 そして10分。未確認モンスター確認地点目前の場所で、異変が起き始めた。




「ねぇ、なんか霧があきらか濃いような気がするんだけど、湿地だから?にしたってまだ日が傾いてすらいなよね?」


 すっごい嫌な予感…


「ね、ねぇナターシャちゃん?そういえば聞いてなかったけど、未確認モンスターの特徴は?依頼者にあったよね?確か」


 ビクッとするナターシャ。こいつ絶対見てないな。まぁ僕がギルドから説明受けてるからいいけど。


「………………き、霧が濃いね」


 ごまかし下手か。


「あー僕がするよ、説明。ギルドからちょっと聞いてるから。つってもほとんど未確認な上に曖昧なのが多いから微妙だけど。」


 こんなんで調査依頼出すなよギルド。そしてこんな情報量が不足してる依頼受けるなよ僕達。


「確か…遭遇時、見かける時には必ず霧が出ていた。逃げると甲高い音が確認される。見た目は大きいカメレオンのような感じ。色は紫…これくらい?」


「……いま、霧が出てるよな?」


 でてるねぇ


「カメレオンって、湿っぽいとこ好きだよな?確か。」


 そ、そうだねぇ


「カ、カメレオンって周囲の景色溶け込んで擬態…!危ない!」


 突然のことで驚き動けなかったが、ユリウスが僕とナターシャを無理矢理押し倒してくれたおかげで回避できた。


「た、助かった…ありがとうユリウス。」


 なんだ今の、あまりのことに捉えられなかった。


「礼はあと!とりあえず、こいつが例のモンスター…だよな?」


 こういうとこはさすがAランク、と思いながら体制を整えて正面を向くと、はっきりとは見えないが、一部景色がおかしい。明らかに景色に擬態した何がいる。


「こいつっぽいな…湿地帯にいて景色に擬態して獲物を捕食。カメレオンの魔物で間違いなさそうだ。」

 って事は…


「ナターシャ!紫電!」


「…言われなくても!「紫電」!」


 ギルドで僕にくらわせた威力とは比べものにならないほどの威力を秘めた紫の雷が目の前の歪んだ景色に向かっていく。


「キュアアアアアア!!」


 脳に直接響くような絶叫がほとばしる。


「このまま焼け死ね!」


 ナターシャが叫ぶ。すると


「キュア!キュアアアア!」


 と吠えて地面に四つの足跡がくっきり出たと思った瞬間どうっという衝撃が突き抜ける。


「くっ!」


 僕は紫電を放っているナターシャのお腹らへんに後


ろから手を回してそのまま自分の方に寄せると同時に


跳躍して衝撃をなんとか逃す。ユリウスも障壁を張っ


て凌いでいた。ユリウスの確認をして上を見るとある


一点から紫の煙が僕らに向かってきていた。


「!?まじかよ!「トルネード」!」


 僕は手を上にかざして、手を中心に空気を回転させて吹き散らす。


「ユリウス離れろ!」


「警告遅いよ!」


 咄嗟にやったのでユリウスにかかるかと思い声をかけたのだが、僕がいうより早く後退していた。


「これは…持続するようなものじゃなさそうだが、匂いからしても見た目からしてもあきらか毒だな。ユリウス、解毒薬あるよな?準備しといた方がいいかもしれん!」


「マジか!了解ってうわ!」


 と、ユリウスから悲鳴が聞こえてきたと思ったらユリウスめがけて紫のヘドロが落ちてきた。


「おいおいおい、これやばいな…」


「…いい加減離して!」


「!?っと悪い!」


 ナターシャを抱えていた手を離す。これはちょっとまずいな…霧程度ならともかくあんな濃いの吐かれると…


 そう考えてると


「!?おぇぇ!?」


 突然吐き気がくる。


「「フレイ!」」


 そう言ってナターシャが僕に寄り添い、ユリウスがこっちに駆け寄ってくるが、その間に奴が上から降りてきた。


「ぐぉ!くっそ、ナターシャちゃん!俺が引きつけるからその間にフレイを!」


「わかった!」


 ナターシャが了承する。


 くそ…なんだこれ…まさか!


「ユリウス気をつけろ!さっきの毒が空気を汚染してる!あまり長時間いると危ないぞ!」


「まじかよ、じゃあ引きつけるんじゃなくて俺がもうやる!剣よ!我が力を糧に燃え上がれ!「イグニッション」!」


 するとユリウスの剣が燃える。


「今度はこっちが上だ!」


 すると、足の防具の宝石部が緑色に光り出す。そして一気に10メートルほど跳び上がると


「くらえや!」


 落下速度に加えて剣を下に突き、ジャストで敵にあたり、剣の中ほどまでが背中に刺さりユリウスは上に乗ろうとするが


「うわっ!」


 表面にぬめりがあったのか、足を滑らせて剣から手を離してしまい、そのまま下に落ちる。


「キュアアアア!」


 敵は背中を刺されてかつ中を焼かれたために暴れている。このままいけば下に落ちた瞬間ユリウスは、踏み潰される。


「ナターシャ離れろ!間に合え!「スピードスター」!」


 僕はユリウスの方に急加速して間一髪のところで落ちる前に捕まえることができた。なんとか地面に転がりながら勢いを殺す。


「ユリウス大丈夫か!?」


「ああ、なんとか。お前は?」


「元気とは言い難いが、まだまだ戦える。」


 とは言ってもどうすれば…いや、僕とナターシャの、あれを使えば…でもユリウスが….


「フレイ!一旦戻って体制を…」


「それはだめだ、第一、こんな湿地帯であいつを撒くのは無理だ!」


 でもどうすれば…このままだとユリウスは剣での攻撃が出来なくなる。って事はユリウスには魔法による援護にまわってもらうか…でも確かこいつの魔法で個々の狙い撃ちはむずかしいか?


 そう考えてると


「フレイ!ユリウス!目を瞑って耳塞いで!」


「!?な、なにを」


「私のスキルで視覚を潰す!」


 そっか、それなら…


「いいぞ!やれ!やったらすぐにこっちに走ってこい!」


「「閃光」!」


 瞬間目を閉じていてもわかるほどの光が敵の目を潰す。そして


「行くよ!」


 声が聞こえた瞬間僕とユリウスとナターシャは、来た道を全力で引き返して途中で茂みに入る。




「いやぁ助かったよナターシャ、ありがとな」


 僕はナターシャの頭を撫でる。


「ふ、ふんっ!それはいいのよ、で?このあとどうする?」


 ちょっと嬉しそう。相変わらず大人ぶってるなぁ。昔からやってたんだから今更遠慮しなくても…


「全く窮地を抜けた瞬間イチャイチャされるとは思わなかったけど…それで、策はあるのかい?」


 前言撤回やめればよかった


「…………ナターシャ、わかるよな?このままじゃ…」


「うん、魔法が使えるユリウスはともかく私たちは毒で長時間動けない。」


「かと言って何かあるたびに魔法をかけてもらうわけにいかないし、薬を飲むわけにもいかない。」


 やっぱり、あれしかないのか


「ユリウス、お願いだ。これからのことは他言無用だ。絶対、何があっても。」


「な、なんだよ、そんな改まって。」


「ま、待ってフレイ!それって…」


 ああ。


「そうだナターシャ、奥の手を使う。」

 

 



 

 

 

 

 

 

眠いです

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