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テイマー少女の逃亡日記【コミカライズ連載中】  作者: 一色孝太郎
第三章

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第三章第14話 迎撃準備です

「ローザ! リリアとヴィクトリアも出てきましたわね。さあ、早くコテージに避難しますわよ」


 テントを飛び出すと、そこにはすでに身支度を終えたレジーナさんとネダさんが待っていました。


「え? 戦わないんですか?」

「相手はゴブリンですわよ? わたくしたちが前に出ては迷惑になりますわ」

「ええっ?」


 どういうことでしょうか? オーデルラーヴァではオフェリアさんたちと一緒に先頭で道を歩きましたよ。


「オーデルラーヴァのゴブリン退治はどうなっているんですの?」

「えっと、女性騎士だけの第七隊が先頭を歩いていました」

「第七隊といえば、天才魔法剣士オフェリア・ピャスクが率いる部隊ですわね。であれば一応理解はできますわね」

「だとしてもおかしいですの。ゴブリンの狙いは女性ですの。それなのに女性を前に出すなんて、女性を囮として利用しているようなものですの。そんな作戦を考えるなんて、騎士の風上にもおけませんの!」


 えっと、はい。多分囮にしていたんだと思います。オフェリアさんの手柄も横取りしていましたし。


 あ、なんだか思い出すだけで腹が立ってきました。


「ええ、そうですわね。オーデルラーヴァは問題が多そうですわね」


 そう呟いたレジーナさんは小さくため息を()きました。


「さあ、そんなことよりも早く避難しますわよ!」

「はい!」


 こうしてあたしたちはコテージへと向かったのでした。


◆◇◆


「ロバート、状況はどうなっているんですの? 報告なさい」

「ははっ! ゴブリンどもの数は不明ですが、かなり大規模な群れです。少なくとも五百はいるものと思われます」

「五百!? 五十ではなくて?」

「はい。五百は下りません。見間違いではないかと何度も確認させましたが、かなりの範囲に大量のゴブリンがおり、こちらに向かってきているのを確認しております」


 ロバートさんがレジーナさんに丁寧な口調で報告しています。


「……なぜ、それほど大規模な群れが見逃されたのだ?」


 そのやり取りに王太子様が割って入りました。さすがにこの緊急事態ですので、王太子様とドレスク先輩もこのコテージに集まってきています。


「殿下、申し訳ございません。お嬢様がいらっしゃる一か月前から総出で山狩りをしたのですが、力及ばず発見できませんでした」

「殿下、我が公爵家の騎士たちはそういったことに手を抜くようなことはありませんわ」

「そうは言うが現に……いや、今はそのようなことを言っても仕方がないな。五百以上ということは、その倍はいると想定しておいたほうがいいだろう。となると、確実に上位種がいるな」

「ええ。ホブゴブリン程度であればいいですわね」

「そうだな。だがもっとずる賢いのがいると考えたほうがいいだろう。最悪、変異種もいるかもしれん」

「そう、ですわね」


 変異種って、たしか親玉ゴブリンが大きくなった奴ですよね?


 でも、あいつはオフェリアさんたちが倒しました。それに死体だってちゃんと燃やしたんですから、あいつが生きていて追いかけてきたなんてことはないはずです。


「ローザ、大丈夫ですわよ。ここには我が公爵家の騎士たちがいますわ。それに、殿下の護衛騎士もいます。ゴブリンごとき、このコテージに近づくことすらできませんわ」

「はい……」


 そうかもしれませんけど、やっぱりゴブリンといわれるとどうしても不安になってしまいます。


「ローザの嬢ちゃん、良かったら魔法で支援してもらえないか?」

「な! ロバート!? 何を言っているんですの? 騎士ともあろう者が守るべき相手の力を当てにするなど!」

「お嬢様、申し訳ありません。ですが、ローザ嬢の魔術は遠距離から獲物を狩ることに特化したものです。現に、あれほど巨大なヘラジカを一撃で仕留めているんです。お嬢様、ギレカ伯爵令嬢、コドルツィ騎士爵令嬢、リリア嬢、さらに王太子殿下とドレスク侯爵令息までいらっしゃる。この状況で戦力を遊ばせる余裕などないはずです」

「う……」

「騎士ロバートの言うとおりだ。俺とエルネストも戦おう。ローザはこのコテージの屋根からゴブリンどもを狙え。それと、ヴィクトリア嬢はローザを守れ。リリア嬢は怪我人の手当だ。いいな?」

「は、はい!」


 珍しく王太子様がまともなことを言っています。もしかするとこういった緊急事態だけは普通になるのかもしれません。


 と、思っていたのですが言いたいことを言い終えたらしい王太子様の視線はあたしの胸に固定されました。


「いてっ! レジーナ!」

「踏んでいるんですわ! こんな時に、いい加減にしてくださる?」

「わ、わかった。わかったから……」


 ……やっぱりおっぱい王子はおっぱい王子でした。


 この国、大丈夫なんでしょうかね?

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