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第三章第7話 有名な湖に遊びに来ました

 あたしたちはガルヴェラ湖というとても有名らしい湖のほとりにやってきました。今日からここでキャンプをする予定なんです。


 一緒に来ているのはレジーナさんとネダさん、それからリリアちゃんとヴィーシャさんの四人です。


 あとはロバートさんを始めとする大勢の護衛さんと何人かのメイドさんです。


 メイドさんがいるといっても、キャンプらしくちゃんとたき火をして自炊するそうです。だから、きっとここはあたしの出番だと思うんです。みんなと培った森暮らしの腕を発揮しようと思います。


「さあ、今年も来ましたわね」

「ええ。楽しみですの。でも、殿下たちを誘わなくても本当に良かったんですの?」

「問題ありませんわ。どうせ胸ばかりジロジロ見てくるだけですもの」

「それもそうですの。それに今回はローザさん一人に被害が集中してとっても気持ち悪そうですの」


 ネダさんがあたしの胸をちらりと見てそう言いました。


「あら、学園でもそうでしたのよ? だからわたくしが保護したのですわ。これ以上殿下の被害者を増やしたくありませんわ」

「レジーナ様。素敵ですの」


 レジーナさんとネダさんが王太子様の悪口で延々と盛り上がっています。


 きっと、すごい鬱憤(うっぷん)が溜まっているんだと思います。そりゃあ、自分の婚約者が他の女性をいやらしい目でジロジロ見ていたらイヤですよね。


「ローザちゃん。すごいきれいだね! ここがあのガルヴェラ湖なんだぁ」

「うん。すごいね。私も来るのは初めてだけど、噂に聞くだけはあるよね」

「そんなに有名なんですか?」


 澄んだ水を(たた)えた湖とその周りに広がる白樺の林、そして遠くには山頂に雪を頂いた山並みがそびえていて、そのコントラストもとてもきれいだと思います。


「そりゃあ、もちろん。マレスティカ公爵家が管理するベアヌ高原のガルヴェラ湖といえば、王室御用達の避暑地だからね。お金があるだけではここガルヴェラ湖に近づくことすらできないんだ」

「そんなになんですか!?」

「そうだよ。マレスティカ公爵が家柄と人柄にも問題がないと認めた人や、あとは国賓クラスのお客様だけが立ち入りを許されるんだ」


 そ、そんなにすごい場所だったんですか。


「だから帰ったら私も両親と友達に自慢できるよ」

「あたしも、お父さんとお母さんにすごい羨ましがられたんだ」


 ヴィーシャさんリリアちゃんが嬉しそうにそう言って笑います。


 あたしは……そうですね。オフェリアさんにお手紙で書こうと思います。


「さあ、三人とも。水着に着替えますわよ?」


 レジーナさんがそう言ってあたしたちを湖畔にあるオシャレなコテージへと案内してくれます。


「み、水着ですか!? あたし、水着なんて持ってないです」

「大丈夫ですわ。ちゃんとローザたちの分も仕立てさせておきましたわ」

「え? ええっ?」


 こうしてあたしたちはレジーナさんの用意してくれた水着を着て、水遊びをすることになったのでした。


◆◇◆


「ローザちゃん? 早く出ておいでよ~。着替えは終わったんでしょ?」


 外からリリアちゃんがそう声をかけてきますが、あたしとしてはそれどころではありません。


「何かあったのかな? サイズが合わなかったとか?」

「あら、そんなはずはありませんわ。多少大きくなっていても大丈夫なように作らせましたもの」


 ヴィーシャさんとレジーナさんの話し声も聞こえてきます。


「ローザ様。大変お似合いですよ。さあ、お嬢様にも見せて差し上げましょう」


 着替えを手伝ってくれたメイドさんもそう言って、あたしに外へと出るよう促してきます。


「で、でも……その、恥ずかしいです……」

「大丈夫です。ここには殿方の目もございませんよ」

「でも……」

「大変似合ってらっしゃいますよ。ローザ様はとてもお美しいですし、女性としての魅力にあふれてらっしゃいます」

「ううっ」


 こうしてあたしはメイドさんに追い出されるようにしてコテージから出ました。


「あっ! ローザちゃんすごい……」

「すごいですの」

「わたくしよりも年下なのにそのスタイル……。やはりすごいですわね」

「ええと、ローザ。似合ってるよ」


 ううっ。やっぱり恥ずかしいです。だってこの水着、ビキニタイプっていうらしいんですけど、おへそが出てるんですよ?


 じろじろ見られて嫌な胸だってすごく強調されていて……。


 そりゃあ、ピンク色でひらひらもたくさんついてカワイイとは思いますけど。


 でも、リリアちゃんの着ているみたいな水着のほうが良かったです。布地も多いしひらひらもたくさんあって……。


「それにしても、似合いますわね」

「あ、ありがとう……ございます」

「ローザ。ここには胸ばかりジロジロ見てくるアレはいませんわ」

「は、はい……」


 たしかに王太子様はいません。だけど護衛をしてくれている男性たちが、遠巻きですけどずらりとあたしたちを取り囲んでいます。


 そんな護衛の人たちをちらりと見ると、彼らは慌てたような様子で後ろを向きました。


 あれ? なんだか股間を抑えているような……?


「っ!」


 あたしは恥ずかしさで顔が熱くなりました。


「さ、さあ! 遊びますわよ。ローザ。あの者たちのことは彫像か何かだとお思いなさい」

「そうですの。そんなことより早く湖で泳ぐんですの」


 ネダさんがあたしの腕を引っ張り、あたしはそのまま湖へと連れていかれるのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] おいおい…… お前らちゃんと護衛しろよ…… こいつら勝手に魅了にかかりやがったぞ……
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