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テイマー少女の逃亡日記【コミカライズ連載中】  作者: 一色孝太郎
第五章

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第五章第6話 お手紙を受け取りました

 顔を合わせるたびにフランツに言い寄られて本当に大変ですが、なんとか頑張って断り続けているうちに、王太子様が帰って来たという報せが届きました。


 しかもなんと! シルヴィエさんからの手紙まで運んでくれていたんです。


 それをお義姉様から受け取ったので、さっそく読んでみようと思います。


 えっと……はい。シルヴィエさんは騎士団に復帰したみたいです。ただ、騎士団はほとんど壊滅状態になっちゃったらしいです。特に魔術を使える人がほとんどいなくなったって書いてあります。それで、このままじゃ魔物に対抗できないのでマルダキアとベルーシの騎士たちにお願いして警護をしてもらっているんだそうです。


 ……やっぱり騎士の人たち、たくさん死んじゃったんでしょうか?


 そうですよね。やっぱり魔術を使える騎士ってそれだけで強いですもんね。


 あれ? でもオーデルラーヴァの騎士で魔術を使えるのって、たしかレオシュのいた部隊ですよね?


 第七隊で魔術が使えるのってたしか、オフェリアさんとシルヴィエさんだけだったと思います。


 だったら別に……はぁ。一瞬でもそう考えてちょっと自己嫌悪に陥ってしまいました。


 たしかに第一隊の人たちはあたしに、第七隊の皆さんにひどいことをしていました。でも、会ったことのない人もたくさんいるはずですし、そうじゃない人だっていたはずですよね。


 それに偉い人の中にだって、司書さんのようないい人もいましたし。


 はい。続きを読みましょう。


 ……そうですか。オフェリアさんはまだ行方不明なんですね。ただ、レオシュがハプルッセンに逃げて、そのときに一緒に連れて行ったっていう証言があるそうです。


 ……はぁ。そんなわけないじゃないですか。オフェリアさんがレオシュなんかと一緒に逃げるわけありません。オフェリアさんだったら絶対に、間違っているって言って、自首するように言ったはずです。


 特に王太子様とお義兄様が攻めてきていたんですから。


 だから、これは絶対嘘の証言です。間違いありません!


 あ……! えっと、すみません。取り乱してしまいました。


 はい。それで……はい。オーデルラーヴァでもルクシアの奴らは邪教扱いになったらしいです。


 ……それで、ルクシアに寝返った人たちは全員国外追放になるらしいです。


 え? あの司書さんが今、オーデルラーヴァの市長さんになったんですか!?


 へぇぇ。あの司書さん、レオシュたちに地下牢に閉じ込められていたんだそうです。


 そこから出てすぐに市長さんになったんですって。なんだかすごいですね。やっぱりちゃんとした人は人望も厚いんですね。


 それに司書さんをしていたくらいですから知識も豊富なんでしょうし、きっとピッタリなんだと思います。


 はい。続きを読んでいきますね。


 ……あ、学業の心配をされちゃいました。


 えへへ。頑張っていますよ。はい。今年で卒業です……したいです。


 そのためには特に数学を頑張らないといけませんけど……。


 それから、卒業したら遊びに来るように誘われちゃいました。


 はい。きっと遊びに行きます。


 あ、でも護衛を山ほど連れてくるようにって言われちゃいました。


 はい。ラダさんとヴィーシャさんと、それから公爵家の騎士の人たちと一緒に遊びに行きます。


 はぁ。読み終わっちゃいました。


 すぐにお返事を書かないと。


 そうですね。まずは近況報告から……。


◆◇◆


 王太子様が戻ってきてからひと月ほどが経ちました。今日の最初の授業は属性魔術③(光)です。


 まだ魅了解除の魔術を発動できる気配はありませんが、これができないと落第なので頑張らないといけません。


 というわけで、あたしはいつもの教室にやってきました。そこで少し待っていると、ツェツィーリエ先生が入ってきました。


「ローザちゃん、おはよう」

「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

「はい。ただ、その前にお話があります」


 ツェツィーリエ先生は真剣な目であたしの目を見つめてきます。


「ローザちゃんには次の夏休みに、親善交流という建前でハプルッセン帝国に行ってもらうことになりました」


 へ? ど、どういうことですか?


「え、えっと……」

「もう一度言うわね。次の夏休みに、親善交流という建前でハプルッセン帝国の帝都に行ってもらうことになったの」

「ど、ど、どうしてですか!? ハプルッセン帝国って!」

「ええ。そうね。でもフランツ殿下が留学してきていることからも分かるでしょう? 私たちのマルダキアはハプルッセン帝国との国交を正常化させました」

「……はい。でも、ルクシアの奴らがいるんですよね?」

「……そうね。私もそれは心配しているわ。だから陛下とマレスティカ公爵が強く要請して、こちら側に宮殿内での帯剣を許可させたそうよ」

「え? えっと……」


 それってどういうことでしょうか?


「ローザちゃん、普通はね。他国のお城に入るときは帯剣を許可しないの。その人たちが敵だった場合、大変なことになるでしょう?」

「は、はい……」


 それはたしかにそうですね。


「それにね。この話を言い出したのはハプルッセン帝国ではないのよ」

「えっ? そうなんですか?」

「ええ、そう」


 じゃあ、一体誰が……?

 次回更新は通常どおり、2025/04/26 (土) 20:00 を予定しております。

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