表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
245/298

第四章第95話 ゴーレムと戦います

 あたしはびっくりして、思わず悲鳴をあげちゃいました。


 今回の爆発はかなり近そうです。


 あたしはそーっと爆発音が聞こえてきたほうを見てみます。といっても、聞こえてきたのは闘技場の外からなので何が起きているのかはわからないんですけど……。


 ただ、ユキとピーちゃんも音が聞こえたほうをじっと見ています。ホーちゃんは……空を飛んでいるはずなので大丈夫だと思いますけど、やっぱり心配です。巻き込まれていないといいんですけど。


「お嬢様、お気を付けください」

「はい」


 ラダさんの声もどこか緊張の色を帯びています。


 ドォォォォォォン!


 また爆発が起きて、今度はなんと選手の入場口のところが崩れ落ちました。そしてそこからどこかで見たことのあるゴーレムがぞろぞろと姿を現しました。


「えっ!? あのときの?」

「でも、あのときのより大きいよ?」

「そうですけど、でも形はすごく似てませんか?」

「うん。そうだね。ってことは、ローザの魔法で頭を?」

「そうですね。やってみます……って、あれ!?」


 なんと剣術部の人たちが観客席から降り、ゴーレムに向かっていったではありませんか!


「行くぞ! あの木偶人形どもを切り刻んでやる!」

「よく俺たちの闘技場を!」


 剣術部の人たちは素早く近づくと、ゴーレムのパンチを見事に(かわ)してすれ違いざまに切り付けていきます。


 す、すごいです。やっぱり剣術部の人たち、毎日練習しているだけあって動きが……じゃなくって! そんなことをしたら!


 やがて剣術部の人たちは一体のゴーレムの足を切断しました。


「どうだ!」

「この木偶人形どもが!」


 剣術部の人たちは得意げになっていますが……ああ、やっぱり。


 二つに分かれたゴーレムはそれぞれから再生し、二体に増えてしまいました。


「それじゃダメだ! 頭にあるコアを狙って!」


 ヴィーシャさんがそう叫びますが、もう遅いかもしれません。


 あちこちでゴーレムはバラバラになっていて、次々と再生して増えていきます。そして増えたゴーレムに囲まれて剣術部の人たちがやられていきます。


「あっ! ヴァシリオスさん、アイオネルさんも……」


 二人もやられてしまいました。


「あ、あたしが……」


 魔力弾の狙いをつけようと指を構えたのですが……。


「負け犬の剣術部は引っ込んでろ! 俺たち実戦魔術部がやってやる!」


 そう言って十人ほどの人たちが観客席から降りていきました。


 あっ! ちょっと! 射線に入ってこないでください! もうっ! これじゃ撃てないじゃないですか!


「ちょっと! 皆さん! 勝手に戦ってはいけません! 避難しますから一か所に集まりなさい!」


 そんな叫び声が聞こえてきたのでそちらを見ると、初めて見る先生っぽい人が顔を真っ赤にしながら必死に呼びかけています。でも実戦魔術部の人たちは無視しています。


 そんな実戦魔術部の人たちは……一体のゴーレムを取り囲んでいます。水と土の魔術で動きを止めて、ゴーレムの頭に火の魔術をぶつけました。


 すごい息がぴったり合っていてすごいです。すごいんですけど……。


 ゴーレムはその火を振り払い、足止めをしていた一人にずんずんと近づいていきます。


「あ」

「逃げろ! パヴェル!」

「ひっ!?」


 パヴェルさん? パヴェルさんってたしかクラスメイトであたしの胸をジロジロと――


 じゃないです! 助けなきゃ!


「魔力弾!」


 あたしは急いで狙いをつけ、魔力弾でそのゴーレムの頭のコアを撃ち抜きました。ゴーレムはすぐにその場に崩れ落ちます。


「ぎゃっ!?」

「パヴェル!」


 あ、パヴェルさんが下敷きになっちゃいました。でも、部員の人たちが助けようとしていますし、きっと大丈夫ですよね?


「ラダさん! あたしが倒します!」

「背後はお任せください。ヴィクトリア、周囲を警戒しなさい」

「はい!」


 ヴィーシャさんも勢いよく返事をします。


「ありがとうございます。ユキ、ゴーレムたちの動きを止められますか?」

「……」


 あ、あれ?


 ユキはなぜか壁のほうを見ています。ピーちゃんまで?


「あ、あの? ユキ? ピーちゃん?」

「……ミャ?」

「ピッ。ピピッ」

「ミャー」


 なんでしょう? ユキとピーちゃんで何か話していたような?


「ミャー?」

「あ、えっと、あのゴーレムの動き、止められますか?」

「ミャッ!」


 ユキは短く返事をすると、ものすごい速さで観客席から飛び降りました。目にも止まらない速さで舞台を駆け回り、次々とゴーレムを胴体まですっぽりと氷漬けにしていきます。


 これなら!


「魔力弾! 魔力弾! 魔力弾!」


 あたしはユキが凍らせてくれたゴーレムたちの頭のコアを撃ち抜いていきます。そうして無心になってゴーレムを倒し、残りが五体になりました。


 あと少し!


 と、思ったのですが、なぜかユキを追いかけていたゴーレムたちが一斉に止まったかと思うとそのまま地面に倒れました。


「えっ?」

「あれ? 止まった?」

 次回更新は通常どおり、2024/09/28 (土) 20:00 を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ