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第四章第84話 みんなを治してあげました

 それからあたしたちは重症者の部屋にいた四人を治療しました。四人とも傷が深く、化膿していたり腐りかけていたりと危険な状態でしたが、今回はMP切れになることなく治してあげられました。


 それでわかったんですけど、どうやら手足を生やしてあげるのにはものすごくMPを使うみたいです。


 あ、もちろんピーちゃんがいなければ誰も治してあげられなかったと思いますけどね。


 えへへ。やっぱりピーちゃんはすごいですね!


「お嬢様、お疲れ様でした。お体は大丈夫でしょうか? ご無理はなさっていませんか?」


 あっと、メラニアさんに心配を掛けちゃいました。


「はい。大丈夫です。ラダさんに比べたら全然でしたから」

「左様でございますか」

「はい。だから軽傷の人たちも治して――」

「お嬢様!? お体は平気なのですか!?」

「ひゃっ!?」


 メラニアさんがいきなり大声になったのでびっくりしちゃいました。


「あ、申し訳ございません」

「いえ……」


 やっぱり昨日はかなり心配を掛けちゃったんですね。


「えっと、はい。大丈夫です。辛いときはちゃんと言いますから」

「かしこまりました。では参りましょう。こちらです」


 メラニアさんがあたしたちを、ここに来たとき最初に通された部屋に案内してくれました。ラダさんも後ろから一緒について来てくれています。


 部屋の中に入ると、昨日あたしに重症者の部屋に行けと言ってくれた人が声を掛けてきます。


「あ! 公爵令嬢」

「こんにちは」

「はっ! お目に……え? な……」


 その人が突然目を見開いて、口をパクパクさせ始めました。


 え? え? 一体何が?


 あたしはキョロキョロと周りを見回しますが、特におかしなことはありません。


「えっと……」

「お嬢様、どうぞお気になさらず。治療をなさるのですよね?」

「あ、はい。そうでした。えっと、みなさんを治療しますね」


 こうしてあたしは呆然としているこの人の怪我を治療してあげました。


 続いて他の人たちも治療したんですけど、それで気付いたことがあります。


 皆さんもかなりの大怪我ではあったんですけど、どうやら重症者の部屋に入れられた人との違いは、傷口が腐っているかどうかだったみたいです。


 もちろん傷は多少化膿してはいましたけど……。


 ただ、気になるのは皆さん、あたしたちが治療している間もずっと驚いて口をパクパクさせていたりうわの空でポカンとしていたりだったんですよね。


 一体なんなんでしょうね? あ! もしかして! あたしの顔に何か付いていたんでしょうか?


◆◇◆


 それからあたしはミツカイ、ミツカイとよく分からない名前で呼んできくる神父様たちを振り切り、今は馬車に乗ってガブラス伯爵のお屋敷へと向かっています。


 車内にはあたしとメラニアさんの他に、ラダさんが乗っています。


「あの、ラダさん」

「なんでしょうか? 御使い様」

「えっと、そのミツカイ? というのなんですけど……」

「はい」

「えっと、あたしはミツカイ? ではないのでやめてほしいんですけど……」

「かしこまりました。主様」

「えっ? えっと、ある……じ?」

「はい」

「えっと、ラダさんはマレスティカ公爵家の騎士ですよね? ということは、本当の主はお義父さまなんじゃないですか?」

「はい。ですが、私はローザお嬢様に剣を捧げたいのです。戻り次第、マレスティカ公爵閣下にはそのようにお願いするつもりです」

「はぁ……えっと、メラニアさん……」


 助けを求めてメラニアさんを見ると、メラニアさんはニッコリと微笑みました。


「ラダ卿はローザお嬢様に命を救われたのです。騎士たる者、その恩義に報いるのは突然のことです。きっと公爵閣下も快く認めてくださいますよ」

「えっと……はい……」


 よく分からないですけど、そんなものなんでしょうか?


「ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。主様」

「え、えっと……その、主様っていうのも恥ずかしいので今までどおり名前で……」

「かしこまりました。ローザ様」

「は、はい……」

 次回更新は通常どおり、2024/07/13 (土) 18:00 を予定しております。

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