第12話 マイホームが欲しいのです
2020/12/10 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました
2020/12/12 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました
どうもこんにちは。ローザです。今日も元気に森の中でサバイバルしています。
さて、今日はですね。マイホームの建築に挑戦しようと思います。
というのもですね。最近暖かくなってきたせいかちょっと虫が増えてきたんですよ。寝ている間に顔に止まられたりしてちょっと寝不足気味なんです。
それに、もうしばらくしたら雨の多い季節になりますから、今のままだとびしょ濡れになっちゃいますからね。
というわけで、それまでには床と壁と天井のある場所で快適に寝たいなと思ったんです。
それでは早速作っていきましょう。
どんな家が建てたいか、ですか?
そうですね。まず第一には、床が地面よりも高くなっていて雨が降っても浸水しないこととです。
あとは普通のお家のように壁があって屋根があって雨漏りしない、といったところでしょうか?
といってもあたしは大工さんではないですし力もないですから普通のやり方ではマイホームを建てることはできないでしょう。
ではどうするのか? そこで【無属性魔法】と【収納】の出番なのです。
その辺りにある大きな岩を【無属性魔法】で魔力の刃みたいなものを作って切り出し加工します。それを収納に入れて運び、マイホームの土台と壁にします。それからその土台の上に切り出した木をなめらかな板状に加工して渡せば床の完成です。
ふう、疲れました。
あ、もしかしてこれだけって思ったかもしれませんけど、結構しんどいんですよ?
きれいに石を切り出すのってすごく魔力をたくさん消費するので大変なんです。もしかしたらこれは普通な使い方じゃないのかもしれませんね。
あ、少し休んだら元気が出てきました。
それじゃあ次の作業に取り掛かります。次は屋根と壁を作るわけなんですけど、あたしの力じゃ柱を建てる事ができないのでちょっと工夫して既にある木を柱として利用してみることにしました。
ちょっとかわいそうですけど木に魔力弾で穴を開けてですね、そこに長い木の棒を、こう、よいしょっ、と差し込んでですね。
それで反対側の木にも魔力弾で穴を開けてここにも、よいしょ、あ、届きません。
えっと、下に石を置いて、よいしょ。はい。できました。
二本の木の間に木の棒を通して梁になりました。これを使って屋根を作るんです。
あ、壁はあたしじゃ作れないので土台の岩で床よりも高くなっている部分が壁です。壁の高さはあたしの腰くらいまでしか無いですけどこれ以上は作れませんからね。
そして木の板を岩と梁に立てかけて屋根にするんですが、長さが少し余ります。その長さの分地面を【無属性魔法】で頑張って掘り、そこに一部を埋めて長さをぴったりに揃えます。それから屋根の板が簡単に外れない様にツタで梁に結んだら完成です。
あとはこれを繰り返して……あ、ごめんなさい。ちょっともう魔力が限界っぽいので今日の建設はもうおしまいです。
それじゃあ、また明日がんばります。
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そんなこんなでマイホーム建設をはじめて三日が経ちました。
そうです。ついに完成しました。念願のマイホームです。
あ、屋根のうえには大きな葉っぱを使って雨漏りがしにくいようにしてみました。そのおかげでマイホームの外観は三角形の怪しい葉っぱの固まりになりましたけど、それでもあたしのはじめてのマイホームです。
えへへ。なんだか達成感がありますね。
それじゃあ、自慢の我が家にご招待します。
まずは出入り口です。ここは一枚の板で塞がれていて、入りたいときはこの板を収納に入れて扉を開けます。扉はどうやって作ればいいのか見当がつかなかったのでこういうやり方にしました。
だってあたししか入らないんですから、別に難しい仕組みは要らないと思うんですよね。
さて、それじゃあ中に入りますね。
じゃじゃん。
中はワンルームで、天井の高さは一番高いところであたしの頭が天井に着くくらいですね。
そして床にはウサギの毛皮が敷いてあります。一生懸命川で洗ったので臭くないですよ?
ちょっとゴワゴワになっちゃいましたけど。
それと出入口の向かい側の壁際には石で作った暖炉を用意しました。頑張って大きな岩を削り出して作ったんです。煙突もついているので、これでもし寒くなったとしても防寒対策はばっちりです。
さらに暖炉のある壁にはユキのための出入口としてちいさな穴を開けておきました。これでユキは自由に出入りできますし、もし寒かったり虫がたくさん入ってきたりしても内側から塞いじゃえばいいので問題ありません。
あ、トイレは残念ながらまだ外の茂みです。そのうちここもちゃんとしないとダメかもしれませんね。
それじゃあ、今日は早速マイホームでゆっくりゴロゴロしようと思います。