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第11話 孤児、やめたみたいです

2020/12/09 誤字を修正しました

2020/12/10 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました

「シャーッ」


 どうもこんにちは。ローザです。現在うちのユキちゃんに威嚇されています。


「ほらユキ。ビワはどうですか?」


 バシッ。


 いたた。ユキに猫パンチをくらってしまいました。仕方ありません。ゆっくりと慣れるしかないですね。


 あたしはちょっと離れた場所に草を敷いて、その上にビワの実を置いてあげます。昨日は食べましたし、きっと食べてくれることでしょう。


 それじゃあ、あたしは今のうちに捕まえたウサギの血抜きを済ませてしまおうと思います。昨日もやりましたしそんなに苦労することはありません。昨日と同じようにささっと毛皮を剥いで頭と尻尾を落とすと枝に吊るします。今日は拠点の近くなので川の上に吊るして滴り落ちた血で肉食獣を呼ばない様にしてあげます。


 血が垂れてこなくなったら完了なのであとはじっくり待つだけです。


 それまでの間は魔法の練習ですね。あたしも随分となれたもので、体の中の魔力もはっきり感じ取れるようになってきましたし、魔力を体のあちこちに循環させて練り上げていくのも得意になってきました。


 こうやってやればやるほど上手になっているのが感じられるって、すごいやる気がアップしますよね。


 それからしばらくして血抜きが終わったのであたしはウサギ肉を収納して拠点に戻りました。


 あ、食べてますね。あたしがあげたビワをちゃんと食べてくれたみたいです。それからウサギの毛皮の上で丸まって寝ています。


 かわいい!


****


 それから一週間ほど経ちました。今日、とっても嬉しいことがありました。


 なんと、ついにあたしの手からユキがウサギ肉を食べてくれたんです。もうシャーッって威嚇されないですし、これはもうあたしとユキはお友達ですよね?


 それにユキはあたしが食事を作れば隣に来て一緒に食べてくれるんです。


「ねえ、ユキ。あなたの名前はユキでいい?」

「ミャー」

「じゃあユキ。ずっとあたしのお友達として一緒にいてくれますか?」

「ミャー」


 ほんとに。あたしの言葉が分かっているみたいですよね。すごくないですか?


 あたしは腰を下ろすとユキの頭を撫でながら言いました。


「約束ですよ?」

「ミャー」


 ユキはそう返事をするとあたしの膝の上に乗ってきました。そして次の瞬間、突然力が抜けていくのを感じます。


 もしあたしが立っていたならきっとその場にへたり込んでしまった事でしょう。


 これは……そう、これはあたしの中にある魔力がまるで底に穴の開いたバケツの水のように抜けていっているのです。


「え? な、何?」


 あたしは後ろに倒れてしまわないように体を前に屈めます。すると視界の端にユキの体が淡く光っているのが映りました。


「え? ユキ?」


 あたしは何が起きているのか理解できずに呆然とその光景を見つめます。


 それからどれくらいの時間が経ったでしょうか。


 唐突にあたしの体から魔力が抜けていくのもユキの体が淡く光るのも終わりました。


「な、何が?」

「ミャー」


 ユキに何か変わったところは見当たりません。


「そうだ。鑑定を!」


 思いついたあたしは慌てて自分に鑑定をかけます。


────

名前:ローザ

種族:混血(人族、天空族、淫魔族)

性別:女性

年齢:11

職業:テイマー


HP:35/35

MP:3/85

STR():2

INT(知力):28

AGI(素早さ):3

DEX(器用さ):5

VIT(体力):3

MGK(魔力):37

MND(精神力):27

LUC():8

CHA(魅力):48


スキル:

鑑定:1

収納:1

魅惑:1

火属性魔法:1

風属性魔法:1

光属性魔法:1

無属性魔法:1

魔力操作:1

従魔契約:1


魔法適性:火、風、光、闇

称号:星に導かれし者

従魔:ユキ

────


 あれれ? 何だかおかしなことになってません?


 職業がテイマーになってますよ?


 ユキが従魔? え? あの子魔物だったんですか!?


 えっと、はい。ユキを鑑定してみましょう


────

名前:ユキ

種族:スノーリンクス(幼獣)

性別:メス

従属:ローザ

────


 やっぱり【鑑定】のスキルレベルが低いからなのでしょうか。あまり詳しい情報が見られませんでした。


 しかし、スノーリンクスって何でしょうか。聞いたこともない種族です。名前からすると寒い場所に住んでいそうな名前ですけどどうしてこんな場所にいたんでしょうね。


 なんとなく気になったあたしはつい聞いてみました。


「ユキって、どうしてここにいたんですか?」

「ミャー」

「本当はもっと北に住んでいるんじゃないんですか?」

「ミャー」


 ……そりゃそうですね。言葉が話せるわけじゃないんですから答えてくれるわけありません。


「そういえば、ユキのお父さんとお母さんは?」

「ミャー」


 同じように返事された気がしましたけど、何だかどことなく悲しげな声だった気がします。


「ユキもいないんですね。あたしもお父さんとお母さんがいないから一緒ですよ」

「ミャー」


 会話できているようなできていないような感じですけど、やっぱり話しかけると返事が帰ってくるのは良いものです。


「これからよろしくお願いしますね。ユキ」

「ミャー」

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