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ショートショート4月~

ぶつ、ぶつ、ぶつ。

作者: たかさば
掲載日:2020/04/09

僕は今日も、指先でつぶやく。


スマホ画面に向かって指でつぶやく。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


今日も、かなりつぶやいた。


指先が疲れたな。

ああ、爪を切っておかないと。


パチン、パチン、パチン。


無言で爪を切っていく。


指先でつぶやくたびに、スマホ画面が、カツ、カツ、カツと鳴っていたけれど、それは今日まで。

無音で、心おきなく、つぶやける、この幸せ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


再び指先が騒ぎ出す。




朝から晩まで、


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


夜中の三時に、


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


朝一番に、


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


夢の中でも、


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


夢から覚めたら、夢の中の出来事を、


ぶつ、ぶつ、ぶつ。




おしゃべりな指先とは裏腹に、僕の口は閉じられたまま。


そういえば、食事をしてない。


開いた口の中に、焼き立てパンを放り込む。


もぐ、もぐ、もぐ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


もぐ、もぐ、もぐ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。




大丈夫、僕の口は、ちゃんと役目をこなしている。


食べ物を、食べている。




ぶつ、ぶつ、ぶつ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


おしゃべりな指先とは裏腹に、僕の口は閉じられたまま。


そういえば、声を出していない。


「ぶつ、ぶつ、ぶつ。」


大丈夫、僕の声は、ちゃんと出る。




ぶつ、ぶつ、ぶつ。


強気な僕の指先は、かなりおしゃべり。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。




僕の口は、今日、ぶつ、ぶつ、ぶつ、と、呟いた。


恥ずかしがり屋の僕に、ちょうどいい。


六文字くらいで、ちょうどいい。


明日も同じだけ、呟けばいい。




ぶつ、ぶつ、ぶつ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


こんなにコミュニケーションは取れているというのに。


なぜか、胸騒ぎがする。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


不安を指で、つぶいやいた。


瞬く間に返ってくる、優しい言葉。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


感謝の気持ちを込めて、


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


大丈夫だ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


僕はここに、存在している。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


確かにスマホの中に、存在している。


ぶつぶつぶつ。

ぶつぶつぶつ。

ぶつぶつぶつ。


ぶつぶつぶつ。


ぶつ、ぶつ、ぶつ。


あ。


充電、切れた。





僕の指は、いきなり、静かになった。


「静寂の奏、今ここに、極まれり。」


代わりに僕の口が、騒ぎ出した。


「ああそうだ、新聞縛らないと。」

「ヤバイ、歯磨き粉ないんだった。」

「散歩はどこに行こうかな!」

「げげ、靴下穴開いてんじゃん!」

「ちょ!このパソコン、おもっ!!!」

「はーれたそらーっ!!」

「ひゃっほうひゃっほうひゃっほほーい」


今からしばらく、独り言の宴が開かれる。

誰もいないこの部屋で、僕一人の宴は開かれた。



僕は結局、呟かずには、いられない。


充電完了まであとわずか。


僕は自分の口で、思うまま、気ままに、呟き続ける。


返事のない呟きを、たった一人で、ぶつぶつぶつ。


ぶつぶつぶつ。


ぶつぶつぶつ…



ついってると、たまにおかしなテンションになりがちですな(´▽`;)ゞ

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