卒業試験と私
「第142期騎士団訓練生!前へ!」
「「「はいっっ!」」」
指揮官の声に負けぬよう42名の訓練生が息を揃え綺麗に敬礼をする。
「お前達訓練生はこの3ヶ月間、基礎的な座学や剣術、体術や魔法などの訓練を行ってきた。そして、本日から行われる最終試験の結果で配属先が決定される。学んできた成果を全て出し切れ!また本日の試験は本番同様である。ありとあらゆる危険から弱き者を守り、生きて帰るのがお前たちの使命だ!心得よ!!」
「「はいっ!!」」
「各自、グループに別れた後、担当指導官から試験内容を確認すること。解散!!」
今日、私たち142期生は配属先決定の為の大切な最終試験とやらがある。
42名を1つ5〜6人のグループに分け、各グループ事に課題が出るのだ。
この3ヶ月、一般教養から簡単な野草を使った傷薬の精製なんていう座学から、基礎剣術、基礎体術、基礎魔法など様々な事を分刻みでねじ込まれた。
私はあれから轟音を響かせながら、魔法を小さく放つコツを何とか掴んだのだ!
いやー快挙ですよ!凄くないですか?
因みにコツと言うのはですね?
見えない騎士団の服の中で、肌を鱗じょうにしてついでに髪を発光させる事で、翼出したい!角を生やしたい!なんていうトンデモ衝動をほのかに逃がすことに成功したのです!
しゅごい!私!えらい!私!
ただ……ちょっとでも気を抜くと翼や角が
ハァイ〜ってなりそうなので魔法の使用は制限されます。冷静な時じゃないと使えないと思うのです。。
そんなこんながありまして、落ちこぼれ気味ではありましたが私もこの最終試験になんとか滑り込むことが出来たわけです!
「おーい!特殊班集まれー!」
「行こう?スノー、教官が呼んでるよ。」
優しく耳元で声がします!
うっウィル様!お声良いですね!
びっくりするのでヤメテください!!
「いっ行きましょう!」
謎に恥ずかしい気持ちになりながら、ウィル様に連れられて教官の元に行く。
「特殊班員、全員集まったな。さて、この顔ぶれを見るとお前たちが何故特殊班なんて呼ばれるかわかるか?」
はて……?何故?私はよくわからずキョロキョロと見回しましたが……理由とは?
横並びに皆はピシッと立っていてキョロキョロしてるのは……私だけですね、はい。
皆、理由がわかってらっしゃる?
「なんだよ、わかってない奴がいるな?じゃー優しい俺様が説明してやるよ。」
そう言ってお話し始めたのは2人いる教官のうちの1人、2番隊副隊長のゼファー様だ。
赤褐色の髪に鍛えた体のいかにも強そうな御仁だ。
「この特殊班は入団試験の際に、最終面接で副長クラスの騎士相手と戦ったエリートちゃん達を集めた班だ。この班は他の班と違い、高難易度の…というかちょっと手が回らないから普段は冒険者なんかに調査依頼を回してるような訳あり案件を担当してもらう。他の班みたいにちょっとした要人警護だとか、物取りの取締だとかじゃねーから覚悟しとけ。」
えぇーなんで私たちだけ内容が違うんですか!?
「どの隊からも熱望されるお前達を各隊に預ける前に体良く使ってやろうって話だ。喜んで業務に当たるように。」
ケラケラ笑いながら言うゼファー副隊長を見ながら私は呆れた顔をしていました。
「まず、ここにいる10名を2班に分ける。真ん中から分けるか……じゃあここより右に居るものは俺の班だ。こっちにこい、任務内容を教えてやる。残りはそこにいるレナードから話をきくように。以上!」
ゼファー副隊長はそう言って、自分たちの班員を連れて行ってしまった。
そしてここに残ったのは、私とウィル様と他3名…
ひぃっ……皆強そうです。
「はいはーい、じゃあここにいる皆が特殊班第2グループって事で。僕が担当教官の第8騎士団所属、小隊長のレナードだよ、よろしくね。本当は副隊長のレスター様が来る予定だったんだけどちょっと忙しいみたいで、僕が代役となりました。」
ニッコリ笑うその顔は朗らかで、殺伐としている騎士団では、珍しいタイプに見えます。
線も細そうなこの柔和な人も騎士……うーん、基準がどうにも戦闘狂の13番隊で固定されてますね。
偏見良くないです私!
「さて、なんで忙しいかと言うとなんだけど……王都近郊にある静寂の森で異変があったみたいなんだよね。と言うことで、君たちには我が第8が担当している静寂の森の異変探索に参加してもらう。」
「異変の内容をお聞かせ頂けますか。」
質問したのは、名前の知らない班員だった。
「トロワ・ソルアーク君だよね。いいよ、教えてあげよう。静寂の森はね?まぁ魔物もいる森ではあるが比較的温厚な魔物が多くてね。人を襲ったりする事がなく、小さい幼子が入っても問題ないと言われているくらい静かな森だったんだーー2ヶ月前まではね。ここ1ヶ月で森の空気が変わった。本来居なかった魔物が住み着き、静かだった森を変えてしまったのさ」
「その魔物と言うのは……?」
「アンデットの王ーーリッチだよ。」




