プロローグ
転生モノを書きたくなったけど、うまくできず中途半端な死に戻りストーリーに…
楽しんでもらえたら幸いです。
「あなたの本当の名前は…」
震える声で伝える母を私は冷静な目で見ていた
何となく言いたい事がわかった気がしたからだ。
「あなたは…あなたは本当は…」
あなたの本当の名前は…
それを伝えて彼女は息絶えた。
名前に何の意味があるのだろう…
必死に伝えてくれたものは
確かに私に強く残ったけど
私は…そんな言葉を聞きたいわけではなかったのに。
彼女が私の本当の意味での母ではないって
そんなのとうにわかっていた。
だって似ても似つかないから。
チャコールブラウンの髪色の母と
白金色の髪の私。
黒目の母と
紫色の瞳の私。
顔の造形も異なる私と母の血縁関係を
疑う事はあまりにもたやすかった。
それでも…それでも私は
目の前で息を途絶えたこの人を母だと言いたかった。
どんな時でも一緒に居てくれた。
山奥での暮らしで不自由も多かったし、裕福ではなかった。
食べ物が二日程入手できない時も笑いながら
「大丈夫!そんな直ぐには餓死しないから!」
なんて焦りながら笑う人だった。そんな彼女の顔が好きだった。
ニコニコと常に優しい笑顔だった。私に色んな事を教えてくれた。
優しく私を呼んでくれた…母さん。
少し変わってて不思議な人だった。
そんな母が大好きだったのに。
たとえ血が繋がってなくても、私は貴女が大好きだったのに。
1人にしないで欲しかった。
もっと一緒にいたかった。
それなのに…病気になって二ヶ月、手を尽くす事ができなかった。
「早すぎるよ…母さん…」
私は母の亡骸の前で1人呟き涙をこぼした。