表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第四話

 銀河帝国歴三八四三年五月十二日


 ミト達一行は、定期便に乗っていた。乗ってきた宇宙船の燃料漏れの修理は、カーマン宇宙港のゴタゴタで一週間かかるからだ。そこで宇宙船に迎えに来てもらう事にした。その為に、カーマン発の定期便で宇宙ステーション、バップまで行く事にした。故障している宇宙船は、別途宇宙船用貨物船で運ぶ手筈になっている。

 そしてエルとエムを加えた一行は今、バップへ向かう定期便のファーストクラスにいる。

「お前さん方二人には聞きたい事が多くあるのだが」

 ハチベイがエルとエムに切りだす。エルがエムの顔色を窺う。

「答えられる事なら構いません。難しい話なら、エルに聞いてください」

 エムはそう言うと腕組する。

「と言う事です」

 エルはニコリとしながら言った。

 するとスケタやカクまで機関銃のように質問をぶつけて来る。

「一つずつでお願いします。クッマイア様みたいに複数の質問を一回で聞き分けられませんので」

「クッマイアって一体何者だ」

 ハチベイが聞く。

「クッマイアと言うのは偽名で、本当の名前は私達も知りませんが、通り名はエルフなら皆知っている『長老』です」

「長老?」

 ハチベイが聞き返す。

「あ、あの人が長老様なのですか!」

 カクが驚く。

「知っているのか?」

 ハチベイがカクに尋ねる。

「エルフなら誰でも知っていますよ。と言うか正体は誰も知らないのですが」

「正体を知らなければ意味がないだろ」

「正体を知らないのは私達も同じです。あの方が私達エルフに長老と呼ばれている方だと事実は保障します」

 エルが答える。

「そんな事を保障されてもな、地球人にどの程度の影響力があって、どんな能力を持っているのかが知りたい」

「影響力と言っても、権力はお持ちではありませんが、地球人なら大概長老様を敬愛しています。能力は変身する能力と魔法とほぼ不老不死ですね」

「そのほぼ不老不死ってどういう意味だ」

 ハチベイは頭を抱えて尋ねた。

「肉体を一瞬で蒸発させない限り死なないレベルの事をほぼ不老不死と定義しています。神に等しい不死性です」

 エルが真顔で言っているので、これ以上聞くのを止める。

「では、ソードチャリオットが、別のアーマードバトルスーツ、ゴットオブゴッズへ変身して、また元に戻ったのは?」

「わたしもわかりません。神の鎧ですから何が起こっても不思議はありません」

 エルは真顔で言う。

「不思議だろう」

「いえ」

 ハチベイはまた諦めるしかなかった。

「では、なぜミトは起きない」

「この前説明したと思いますが、魔法力を使い果たし、スリープモードに移行したと思われます」

「なんだか曖昧だな」

「私達は医者ではありませんから、推測で答えるしかありません」

「それで、その魔法力を使い果たした、あのサイバーナーブパラライズの術は何なんだ? 敵にだけ効果があり、俺のクティーガルには影響が全くなかった」

「呪文を聞いていないので詳しくはわかりませんが、おそらく、サイバーエネミーナープパラライズの術だと思います。その術だと味方には影響なく使えます。サイバーナーブパラライズの魔法より、かなり高度なので魔法力を大量に消費すると思いますけど」

「それで魔法力を使い果たしたと言う事か……それじゃあ、最後、どうやったら起こせるんだ」

「起こしたいんですか?」

「起こさない訳にも行くまい。それにお前はこいつを導くのが任務なんだろ。起こさないでどうやるんだ」

「簡単ですよ。食べ物を与え続けるか、点滴でエネルギーを与え続けると良いです」

「この前食べてたメルドネル人のお菓子を口に突っ込めば良いんじゃないの」

 エムが口を挟む。

「寝ている奴にどうやって食べさせるんだ」

 ハチベイが聞く。

「大丈夫よ。口に入れた瞬間に魔法エネルギーに変換されるから」

 この前宇宙港で買ったお菓子をカクが準備する。そして、エルが無造作に口に突っ込む。

「確かに菓子が口の中で消えた」

 ハチベイも感心する。

「この調子でいろいろ突っ込んじゃえ」

 スケタがお菓子をミトの口に突っ込む。

 ミトが全然目覚めないので、全部突っ込んでしまった。

「おい。全然目覚めないじゃないか」

 ハチベイがジト眼でエルを見る。

「おかしいわね」

 エルが首を傾げる。

「一つ、私の推論を言って良い?」

 エムが尋ねた。

「なに?」

「スリープモードが解除された後、そのまま寝ているだけじゃないかしら」

「お腹減ったー」

 ミトが寝言を言った。

「まだ腹減っているんかい!」

 ハチベイが突っ込むと、ミトが目を覚ます。

「ここはどこじゃ。お腹が減った何か食べ物はないか?」

 仕方なくカクがスチュワーデスを呼ぶ。

「ご用は何でしょうか?」

 スチュワーデスはニッコリほほ笑む。

「あれ、あなたはカーマン宇宙港の売店で売り子をしていませんでしたか?」

 スケタが気が付く。

 スチュワーデスは、売店ヤスカロウで、売り子をしていたピィだった。

「今は、本船の客席乗務員をしております」

 ピィはそう言うと、お得意の営業スマイルをする。

「メルドネル人用のお菓子ないですか?」

 スケタはピィの手を取り尋ねる。

「メルドネル人用のですか?」

 ピィは尋ね返す。

「はいはい~。お持ちしました~」

 チーデスがメルドネル人用のお菓子を持って登場する。

「あるだけ頂くよ」

 スケタが景気良く買う。

「経費で落ちるからって」

 カクが呆れながら言う。

 チーデスが全部持ってくる。

「結構置いてあるんだねえ」

 スケタの額に汗が流れる。

 「あれ、君もカーマン宇宙港の売店で売り子やっていたよね」

 スケタは驚きながら尋ねる。

 その会話の間にミトはメルドネル人用のお菓子を食べ始めた。

「こら、金払う前に食べるなー」

 落ち着きのない一行にハチベイは溜め息を吐く。

 こんな感じにミト達一行の旅は続くのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ