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今回は短めです。
「………ただいま帰りました。…お母様」
「あら!お帰りなさい!エレンちゃん」
「…マリエレおばさま。お邪魔しますわ」
「あらー!オリビエちゃん いらっしゃい!」
私はオリビエとはしゃぐお母様を眺めていました。
……妙に肌艶の良い……。
うん。これ、あれだな。
完全にヤったな。
お父様は仕事に向かったみたいだけど…。
朝からか。元気だなぁ。うちの両親。
あ、何をヤったかは言いませんよ?
「あれ、事後ね」
オリビエさん。ご令嬢が事後なんて言ったらいけませんよ…。
私達は今、私の家の鮮やかな花咲く中庭でお茶会をしていますの。…なんてね。
お茶会と言う名のただのお喋り会です。
「あ、ねぇ。エレンさん 王子様といい雰囲気だったけど、どう?恋、芽生えちゃった?!」
オリビエが少し興奮したように言ってきた。
「え、何処が?何処がいい雰囲気だったの?」
私は問い詰めるように聞いた。
「え?だって、終始ニッコニコだったじゃない。王子が」
「ねぇ、私は?」
「エレンはずっと社交辞令と言う名の笑顔を貼り付けてたわね。本当に尊敬するわ。その笑顔」
「でしょ?お母様の教えよ。女は笑ってればどうにでもなる」
私は無い胸を張る。
「うわぁ。男に聞かせたいわぁ。女の笑顔は花のようなんて思ってる人たちに」
「失礼な。心から笑ってる時もありますぅ」
まぁ、王子の前で心から笑うなんて絶対にないけど。
だって面倒くさいんだもん。あの王子様。
見た目は完璧王子様。ちょーいけめん。多方面で優秀なんだけど……性格…属性?が、さ。
軽い束縛野郎って言うの?
今まで執着出来るものがなくて、色々なことに無関心(もちろん悪役令嬢に対しても無関心)なんだけど、ヒロインと言う名の好きな子…執着出来る物を見つけるんだよねぇ。もう、俺だけの物になって。俺だけを見て。俺だけの名前を呼んで。俺だけに笑顔を見せて。って、それでヒロインが王子の気持ちに応えたらヤンデレ一直線。俺以外に笑顔を見せたら駄目。俺以外の男と喋ったら駄目って変わっていく。
最初はいいんだよ。王子も心の中で思ってるだけだから。気持ちに応えたらもうアウト。
まぁ、あの王子様が私に対してそんな気持ち持つ訳がないんだけどさぁ。念には念を入れて、ね。
あぁ、勿論最後は王子も改心しますよ?ヒロインの女神の力で。私、使い方知らないけど。…だって、ゲームだとご都合主義で力が使える時に選択肢が出るんだもん。『女神の力を使いますか?』って。
現在の私、宝の持ち腐れってヤツですね。女神の称号勿体ない。
「心から笑う…ふふっ。まぁ、応援してるよ。エレンが心から笑える異性が出来ることを」
オリビエがニコニコしながら言ってきた。
それはもう、素敵な笑顔で。
「お父様と兄様には、心から笑ってますよ?」
私も負けじと笑顔で返す。
「それは身内でしょ?身内以外でよ」
真顔で言われた。
「ごめんなさい」
私の負けでした。
王子が既に軽く属性を見せている事をエレノアは知らない。
誤字報告ありがとうございます!
ブックマークもありがとうございます!
異世界転生/転移 日間第10位になりました!
読んでくれてる皆様のおかげです。
拙い文章ですがこれからもよろしくお願いします。