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……………


……騒がしい。


何?気持ちよく寝てるのに。


あと、なんかずっと頭を撫でられている気がする。

悪い気はしないんだけどさ。


「……ん…」


私は瞼を開けた。


すると視界には整った顔の男の人が3人、私の事を覗き込んでいた。


「…ん?」


ここで私は瞼を開けた事を後悔した。


あれ?何?これ、どーゆう状況でしょうかね?

なんで私の推し様3人が目の前に、というか私の顔を覗き込んでるの?


「あ、起きたねぇ。君、なんでベットに寝てるのか覚えてるぅ?」


サティがとても可愛い顔して聞いてくる。

不自然じゃない…けど。


「サティ。今更猫かぶっても遅いぞ。もうすでにガラの悪い一言、聞かれてる」

サルニア先輩が呆れたように言った。


そう。倒れる前の「あ"?」という声を聞いているのだ。その声を出した彼と、目の前にいる可愛い彼はなんとなく結びつかない…。

それに今、サルニア先輩は"猫かぶっても"と言ったのだ。

あの、「あ"?」と言ったのが素とみて間違い無いだろう。


「ちっ。せっかく可愛い僕で彼女に好かれようと思ったのに……そうだ」

サティは「いい事思いついたー」と言いながら未だにベットに座っている私の顔を覗き込んで聞いてきた。


「ねぇ。出会ったばかりで悪いんだけどさ、可愛い僕と、口の悪い僕、どっちがいーい?」


「……え?」

どっちがいい?なんて。決まってるじゃ無いか。


「そんなのどっちも、に、決まってるじゃ無いですか。だってどちらもノーチェ先輩ですよね?私はどちらのノーチェ先輩も好きになれると思いますよ」

私は笑顔で答えた。

私の推し様だ。どちらかなんて選べないし、選びたくない。


返答がないなと思ってサティを見ると真っ赤になって目を見開いていた。


「……え」

「っ。あ、み、見ないで」

サティの掌が目の前に来て前が見えなくなった。意外と手が大きいなぁ…じゃなくて。


「の、ノーチェ先輩?どうしたんですか?」

なんで、真っ赤になっていたんだろうか。

すんごくきになる。


「煩い。黙って。あと、何?その、ノーチェ先輩って。サティって呼んで」


ん?えっと。

名前で呼んでいいんですかね?

サティの掌以外何にも見えないから、サティ自身がどんな顔をしているかなんて見えない。だからどう返せばいいのかわからない。

とりあえず、名前で呼んでもいいんだよね?

……やばくない?直々に許可、貰っちゃったよ?


「さ、サティ……様?」

「様 いらない」

「サティ先輩?」

「先輩もいらない。呼び捨てでいい」

「え、それはダメです」

「ちっ」


舌打ちが聞こえましたー。

でもダメでしょ。初対面で許可を貰ったとはいえ年上を呼び捨ては。


「……まぁ。仕方ないか」

サティはそう呟いて手をどかしてくれた。


「ねぇ。君、名前なに?なんて名前?」


あ。

サティに言われるまで気づかなかった。

やばい。私、名乗ってないじゃん。


「す、すみません!私の名前は エレノア・メディンク と申します。以後よろしく…お願い申し上げます…?」


ん?以後お世話になるのか?私。


「エレノア・メディンク……」


「あ、君 あれだ。アイザック殿下が猛アタック中の令嬢さんじゃないか」


ライアン様が、「思い出した!」と、そう言った。


「「え?」」


サティとサルニア先輩の声がかぶる。


「……、君、殿下のモノなの?」


サティから低い声が聞こえた。


「え?いえ。私にはそんなつもり御座いません。それに私は殿下のモノ?になるつもりは一切ございませんが…?」


殿下が私に猛アタックってなんだ。

殿下のモノってなんだ。

殿下が猛アタックするのはヒロインで。

私が殿下のモノになったら、私の断罪を意味するのだ。

誰が殿下のモノになんてなるか。


「そっか。なんだ…よかった。じゃあ、よろしくね?エレノア…嬢?」


サティがとびっきり甘い笑顔を私に向けた……気がした。





僕は倒れてしまった綺麗な女の子の頭を撫でながら目覚めるのを待っていた。

なんで頭を撫でてるのかって?なんかすごく気持ちいいし、撫でたいから。悪い?


「……ん…」


そんなことを思っていたら彼女の瞼がゆっくりと開いた。

長い睫毛に縁取られた瞳は、僕達を写して………固まった。


「あ、起きたねぇ。君、なんでベッドに寝てるのか覚えてるぅ?」


とりあえず猫を被って声をかけてみる。

可愛い僕は女の子達に評判が良いからね。

あわよくば彼女に好かれたいなと思ったのに、彼女は綺麗に整った眉を寄せた。


「サティ。今更猫かぶっても遅いぞ。もうすでにガラの悪い一言、聞かれてる」


ニアに呆れたように言われてしまった。

…うん。まぁ分かってた。僕言っちゃったもんね「あ"」って。

でも、"猫かぶっても"の一言は要らなかったんじゃね?


「ちっ。せっかく可愛い僕で彼女に好かれようと思ったのに」

と、当てつけのようにニアに言った。

それから僕は思いついた。

だったら彼女に選んで貰えばいい。

僕は「いい事思いついたー」と言いながら未だにベッドに座っている彼女の顔を覗き込んで聞いてみた。


「ねぇ。出会ったばかりで悪いんだけどさ、可愛い僕と、口の悪い僕、どっちがいーい?」


どっちかを選んで貰えばいい。

まぁ、可愛い僕なんだろうなとは、分かっているけれど。彼女の答えが聞きたかった。

そしたら、予想外の答えが返ってきた。


「そんなのどっちも、に、決まってるじゃ無いですか。だってどちらもノーチェ先輩ですよね?私はどちらのノーチェ先輩も好きになれると思いますよ」

彼女は笑顔で言ったので、僕は思わず目を見開いた。


初めてそんなことを言われたのだ。

こんなの、好きになるなって方が難しい。

自分の顔が赤くなっていくのが分かった。

でも、そんな顔を彼女に見られたくなくて。


「っ。あ、み、見ないで」


咄嗟に覗き込んできた彼女の瞳を僕の掌で隠した。


「の、ノーチェ先輩?どうしたんですか?」


彼女の声に呼ばれた僕の名前になんだか納得できなくて。


「煩い。黙って。あと、何?その、ノーチェ先輩って。サティって呼んで」


名前で呼んで欲しくて。


「さ、サティ……様?」

「様 いらない」

「サティ先輩?」

「先輩もいらない。呼び捨てでいい」

「え、それはダメです」

「ちっ」


結局呼び捨てでは呼んで貰えなかったけど。

名前では呼んで貰えて。嬉しくなって思わずニアの方を見て笑ってから気づいた。


あれ?僕、彼女の名前知らないんじゃない?

と。

今から聞けばいいや。なんて思ったわけで。


「ねぇ。君、名前なに?なんて名前?」


「す、すみません!私の名前は エレノア・メディンク と申します。以後よろしく…お願い申し上げます…?」


と、綺麗な声で言われた名前には聞き覚えがあって。


「エレノア・メディンク……」


名前をつぶやいてモヤモヤしていた所で先生が「あ、君 あれだ。アイザック殿下が猛アタック中の令嬢さんじゃないか」と、そう言いったのだ。


「「え?」」


思わず僕とニアの声がかぶる。


一つのモヤモヤがなくなったと思ったら、今度はもっと大きなモヤモヤが僕を襲った。


「……、君、殿下のモノなの?」


低い声が出た。

せっかく、好きになれる子を見つけたと思ったら、既に殿下のモノ?なにそれ気にくわない。

あぁ。彼女を怖がらせちゃったかな?と思って見たら、キョトンとした彼女が目に入った。


「え?いえ。私にはそんなつもり御座いません。それに私は殿下のモノ?になるつもりは一切ございませんが…?」


首を傾げていった。

なにそれ可愛い…。じゃ、なくて。


彼女は言ったのだ。

殿下のモノになるつもり一切ないと。


「そっか。なんだ…よかった。じゃあ、よろしくね?エレノア…嬢?」


じゃあ、遠慮はいらないよね?

僕の言葉を聞いてびくっとしたニアは見なかったことにして、


僕はエレノアに笑顔を向けた。





サティくんの性格が怪しい方向に……。

彼はあれですよ。小悪魔系腹黒男子的なあれですよ?


一番純粋なオトコはダントツでサルニアパイセンですよ。はい。

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