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悪役令嬢ものが書きたかったんです。
不定期更新になるかと思いますがよろしくお願いします!
私は生前、ただのしがないOLとして生きていました。
生きがいは乙女ゲーム。
いたって普通の人間でした。見た目も。
そんな私は、とある乙女ゲームを全クリした記念にケーキを買いに行った帰りに交通事故にあって死にました。
…もっと、ゲームがしたかった。
そう思って、重い瞼を開けたら、目の前に美形のお姉さんがいました。
「起きたのね!」
…誰?!
と黙って見つめているとお姉さんは「私の子が本当に可愛い」と頰に片手をつけて幸せそうにつぶやきました。
美形のお姉さんは私のお母様でした。お父様も美形なので、当然産まれた私も超美形。
未だに自分の顔だと思えません。
お母様は桜色の緩くウェーブがかった髪に蜂蜜色の瞳。
お父様はチョコレート色のふわっとした髪に紫色の瞳。
そんな2人から産まれた私はピンクブラウンのふわふわとした髪に赤紫色の瞳。
凄く綺麗な色ではあると思うんだけど、黒髪黒目だった私からすると、違和感でしかない。自分の色なのに。
わけもわからず5年を過ごしました。
美形の両親に囲まれて「あぁ、福眼♡」と、思いながら。
私はいわゆる生まれ変わり、異世界転生というやつをしたようです。
この国のメディンク公爵家の娘として生まれました。
名前はエレノア・メディンク。
この名前、何処かで聞いたことあるなぁってモヤモヤしながら生きてきましたが、本日5歳の少年少女が教会で受ける天啓を受けた時に、色々思い出しました。
わたしには、スキル「回避」「幸運」と、
称号"女神"
が
ありました。
この三つの言葉を見て、既視感を覚えていたら、ぶわぁっと、色々な情報が溢れてきました。
これ、わたしがあの時全クリした乙女ゲーじゃね?
と。
私ことエレノアは、その乙女ゲームの悪役令嬢キャラと瓜二つなのです。
あとスキル。
このスキルのせいで、攻略が大変だった。
なかなか、悪役令嬢を断罪できなくて……じゃなくて、
ここまでは、まぁ、大丈夫なんです。
称号が、称号が問題なのです。
女神。女神はその乙女ゲームのヒロインがもつ称号なのです。
悪役令嬢が持っていてはいけないのです。
なのに、私に、その称号。
………これ、大丈夫?
ヒロイン。ちゃんとヒロインできる?
私は悪役令嬢になんてなる気ないですけど。
断罪なんてされたくない。
のんびり暮らしたい。
女神なんて称号を持っているなんて知られたら色々な所から引っ張りだこなわけですが、そこは持ち前のスキルで回避しまくりました。
未だに家族以外は称号について知りません。
のらりくらりと躱し続けて早10年。
15歳になった私は立派な淑女?になりました。…両親に溺愛された。
未だに婚約者もいません。勿論仲のいい異性も。
まぁ、女神なんて称号を持ってるわけですから、気軽に婚約なんてむすべませんよ。
けして、溺愛された結果ではないですよ?多分。
この国の王子様も私という婚約者がいないため、未だに決まった婚約者がいません。
私は関わりたくないので早いところ私以外の誰かと婚約して欲しいところです。
攻略対象たる他の方々には元々婚約者はいません。
略奪愛は王子様ルートだけでよいそうです。
全てのルートで出てくる最強悪役令嬢が私です。
もう、攻略対象の方々とは極力関わらない方向で行きたいところですね。
そして明日は乙女ゲームの舞台となる学園の入学式。
ヒロインも入学しているはずです。
私は傍観者になるべく頑張ります。
私は、自分の見た目が注目を集めるという事をすっかり忘れて、明日の入学式に思いを馳せていた。
出来れば友達が欲しいなぁ…と、思いながら。
溺愛されて、全て自分の思うまま…と勘違いして転落していったのが、ゲームのエレノア。
溺愛されて、あまり外に出なかった為に自分の容姿の事なんて忘れて、のんびり暮らせると思っている楽観的な私。