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お出掛け………お出掛け?

男女で出かけることをお出掛けじゃなくて……あれ?デートって言わなかったっけ…?

いや、大丈夫。デートは付き合ってる人達がする事だから、今回はデートじゃない。…ないよね?

もうすでに学園が終わる時間なんだけど、お家に帰っていいかなぁ。もう帰りたい。


「エレノア嬢。待たせてすまない」


王子がキラキラスマイルで現れた!!


逃げる←

たたかう

無視する

微笑む

返事をする


……たたかうと、微笑むはなんだ。

どんな選択肢だよ。

逃げれるなら逃げたいわ。

無視なんてしたらこの後どうなるか…。

…返事をするしか選べないじゃん。

てかなんだよこの選択肢 ドラ○エかよ。


「いえ。待ってませんわ」

私は微笑んで返した。

待つも何も同じ教室にいますけど?


「そ、そうか。なら良かった」

だからなんでちょっと赤くなるんですかね。


「で、何処に行くかは決まっているのですか?」

「え、あ、あぁ。ここに行こうと思うのだけれど、どうだろうか」

王子は一枚の紙を渡してきた。

メモ帳…?

字、綺麗だなぁ…。これ王子の字かな…じゃなくて。


「パティスリー ローズベリー…?」


……え、

ローズベリー?!


パティスリー ローズベリーとは、今話題の大人気スイーツ店なのだ。

予約は半年以上埋まっていて中々食べることのできないケーキ屋さん。

私も行きたくても行けないお店である。


「殿下…その…」

「え、あ、お気に召さなかっただろうか…」

王子は不安そうな顔をして下を向いてしまった。

「そうじゃなくて…予約は、取れているのでしょうか?」

「予約?あぁ。大丈夫だよ。このお店とうちの妹が懇意にしてね。毎日1テーブルだけ妹の為に席が空けられているんだよ。そこを妹に言って譲ってもらったんだ」


妹……。

王女殿下?

王女殿下なんてゲームで出てきたっけ…?

………まぁ、いいか。王女殿下のおかげで、ローズベリーに行ける!ありがとうございます!…名前知らないけれど。


「本当ですか?嬉しいです!是非、行きたいです!」


私はこの時始めて王子に心から微笑んだ。





昼の時間に急いで城に帰って、マリウェルにエレノア嬢の好みを聞き、妹に毎日の席を譲ってもらって本当に良かった。

そのおかげで、今、エレノア嬢の素晴らしい笑顔が見れたから。

「行きたいです!」と微笑まれた時、心臓が一瞬止まった気がした。

なんだこれ。

今、こんなに心臓の音が近くで聞こえるのに、これから二人で出掛けなんてしたら、俺の心臓 どうなるの…?


「そ、そうか。なら…行こうか」


俺は自然にエレノア嬢の手を取って歩き出した。

手を取った事で一瞬固まったエレノア嬢と教室にいる者達からの生暖かい目は無視することにした。




「私、すごく楽しみです!」


エレノア嬢は馬車の中、俺の正面に座って凄く楽しそうに笑っていた。

これが好みのケーキの力。凄まじいな。

しかも馬車だから異様に近い。


……無理だ。

エレノア嬢の笑顔をこれ以上見てられない。

……でも、見ないのも勿体ないので、俺は心臓に負担を掛けてエレノア嬢の笑顔を見つめていた。パティスリー ローズベリーに着くまで。






この学校の昼休みは1時間30分です。

お城が近いので、王子はお家に帰れました。

お兄さんは必死な王子に渋々妹の好みを教え、王女殿下は必死な兄が面白く、毎日ローズベリーに行くわけではないので、快く承諾しました。

王子、ちょー必死(笑

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