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前回の話から少しだけ時間が遡ります。

お兄ちゃんのターンです。




公爵家の俺が何故騎士になってんだ。と思った方も多いだろう。

10歳の頃父上に「妹を、将来出来るであろう大切な人を守れるようになりたい」と言ったら、騎士団にぶち込まれた。じゃあ社会勉強でもしてこいと。幸い、領地経営などの勉強は終わって暇を持て余していたので、よかったのだが。何故か俺は騎士団の上の地位まで上り詰めていた。15〜18歳の子供が行く学園に入っていたので三年間は騎士団に所属してなかったのに、だ。

学園を卒業してからアイザック殿下の護衛兼専属騎士に任命されたのだ。…領地を継ぐまでの期間限定であるが。

そんな俺が仕えるアイザック殿下が、今日帰城してからなんだかおかしいのだ。


「…………」

「………」


「アイザック殿下。何でしょう?じっと、こちらを見られても私には何もわかりません」

「…………」


埒があかない。

なんなんだ。

俺は男に見つめられる趣味なんてないのに。

今日帰ってきてからずっとこの調子である。

俺の愛しい婚約者と、可愛い妹も殿下と同じクラスにいるんだったよな…?

俺のことをじっと見てくるということは、二人のうちのどちらかが何かした、という事だろうか。

いや、あの二人に限ってそれはないか。

……じゃあ、殿下が?


「………なぁ」

殿下はこちらを見ながらやっと話しかけて来た。


「はい。なんでしょう」

俺は笑顔を貼り付けて答えた。

心の中で、「早くしろや」と思いながら。


「マリウェル。なんで、妹がいることを黙っていた」


何をいうかと思えば。


「聞かれませんでしたからね。それがどうしましたか」

俺はしれっと答えた。


何故、わざわざ可愛い妹の話を殿下にしなければならない。そのせいで気に入られて婚約者にでもなってしまったら、俺はどうすればいい。妹には王妃なんて苦労するような地位について欲しくない。今のまま、オリビエと仲良く父上に守られて過ごしていればいいのだ。…好きな人が現れるまで。


「…確かに、俺はお前に聞かなかった。でも、話くらい出しても良かったんじゃないのか」

婚約者候補の話としてか?そんなものクソ喰らえ、である。

「すみません。話す必要性を感じませんでした」

「…………」


「それに関しては、レオン様も同罪なのでは?」

ちらっと殿下の友達である、見目の良い少年を見た。


「え、僕ぅ?」

話を振られると思ってなかったのだろう。

読んでいた本から顔を上げ、すごく間抜けな声を出していた。


「幻の令嬢様でしょう?だって、ザックに聞かれなかったもん。わざわざ可愛い子の話をしないって。全部ザックにもってかれちゃうもん。それくらい自分で調べてよ☆」

レオンは軽くウィンクして本に視線を戻していた。


まぁ、そういう事である。


「殿下。殿下はまず、人に怒るのではなく、無知な自分を怒れば良いのでは?

私の妹…幻の令嬢を知らなかったのは、殿下が無知だった為でしょう。私の妹は一度しか社交界に出ていませんが、ずっと話題の令嬢でしたよ」

私は笑顔を貼り付けながら、ツラツラと述べた。

殿下がぷるぷる震えている。

悔しいのかな。

たまには可愛い所もあるじゃないか。


「うるさいうるさいうるさぁーい」

いきなり大声を上げた殿下を見つめた。


「仕方ないだろ。俺に会いにきてない令嬢なんていないと思ってたんだ。それなのに、今日見たことない令嬢が三人もいた!エレノア嬢と、一緒にいたレーガン嬢。あと目を引く空色をしたグレイシー嬢」

殿下はむくれた顔をしていた。


俺に会いにきてない令嬢はいないって……


「殿下、それは…うぬぼれってやつですね」


「わかってる。グレイシー嬢は男爵家だから、まだ分かるんだ。でも、エレノア嬢とレーガン嬢は公爵家なのに、何故社交界に出ていないんだ」


あぁ、なんだ そんな事か。


「エレノアもオリビエも、義務である社交界デビュー後はわざわざ義務ではない社交界に出なかっただけですよ。

エレノアにも、私の婚約者(・・・)にも、変な虫を付けたくなかったので」

殿下を軽く睨みながら言った。


「……婚約者?」

「オリビエ・レーガン嬢は私の婚約者です」

「……婚約者。…お前、婚約者いたのか?!」

「はい」

「何故「聞かれなかったからですね」

聞かれる前に先手を打っておいた。


「レオンは!」

「僕ですか?僕はまだ縛られたくないのでいないですよ。婚約者。エレノア嬢みたいな子だったら全然アリなんですけどねぇ」

「お前らにエレノアはやらんからな」


俺は少しドスの効いた声で牽制しておいた。

こんな厄介な奴らに俺の可愛い(エレノア)はやらん。


それから殿下はずっと、呟いていた。


「どうすれば俺のモノに出来る?」と。


……俺の(エレノア)の事を言っているのか、空色のグレイシー嬢の事を言っているのかわからないが。


とりあえず、今日は早めに帰宅して(エレノア)にアイザック殿下について、忠告だけはしておこうと思う。


マリウェルお兄さんは騎士団所属なため、基本公爵家に帰れません。お城に住んでます。


今回、エレノアと話したくて久しぶりに帰宅。

すると、家に最愛の婚約者がいたわけで…。


まぁ、騎士の誇り(剣)落としますよね。

誇りより最愛を取ったマリウェルお兄さんでした。

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