村で結界を張る人物
村の中心に建っている小さな小屋。
半面はその小屋に入り中の人物に声をかける。
「バリエレ、魔法使いを連れてきた」
椅子に腰かけて、魔力を放出し続ける人物。
この村に結界を張っている者だろう。
犬のように白目が見えない黒い目。
毛の生えた手足には獣のように鋭く長い鉤爪。
後ろには長くて太い狐にも似た尾が垂れている。
「結界の範囲を広げられるんだって?」
「うん。これを使う。方法は直接聞いて」
半面から物を受け取って、黒い目をこちらに向ける。
「やり方を聞いても?」
「簡単に言うと、結界範囲の端に結晶の欠片を撒いて、中心に置いた陣に魔力を流せばいい。こいつが結界を張れたんだ。お前なら楽にできるだろう」
「ベスツァフがか?そりゃすごいな?」
尻尾がぱたりと跳ねる。
「早速使いたいな?欠片を撒くんだったか? ベスツァフ、頼めるか?」
「うん。3軒くらい広げる形でいいのかな」
「いいんじゃないか?」
「じゃあ行ってくる」
再び袋を抱えて、半面は小屋を出ていった。
「魔法使いさんとは話がしたいな?話を伺っても?」
「ああ」
「来客用の椅子とかはないんだごめんな?適当にくつろいでくれ?」
人間が二人ほど寝転がってしまえば足の踏み場に困るような狭さの小屋である。
くつろぐも何もないだろう。
とりあえずその場に腰を下ろす。
「同族以外でこの村に入ってきたのはあんたが初めてだな?村民の姿を見て驚いたろ?」
「…ああ。生まれつきなんだってな。原因はわかっているのか」
「先祖が関係してるらしいが詳しくは知らんな?あんたも面を被ってるな?呪われてるんだって?」
「そうだ。普通の解呪方法じゃ解けないんだ。何か知っているか?」
「元始の呪いは性質が異なると聞いたことがあったかな?」
元始の呪い。
理論化・体系化され扱いやすくなっている現在の呪いではなく、古の呪いがかけられているということなのか。
「あんたは魔法知識が豊富らしいな?我々の魔法は、どれくらい遅れてる?」
「1200年程だと思う」
魔力の平均消費量や他者の魔法破壊などを知らない遅れた知識。
私が子供の頃でも学校で習っていた。
それよりも前の知識と考えていい。




