かつて起こった惨事
「…その、制御の陣とやらを、見てもいいか?」
「おう。いいぞ!」
快くそう言って小像の中から出された紙には、間違いなく私の腕にある陣と同じものだった。
膨大な魔力量を制御しきれずに亡くなった友人。
それがきっかけになって師匠は制御の陣を作り出したのか。
「魔力が制御できなかった子が、どう亡くなったのかはわかるか?」
「聖人様についてと魔力が制御できなかったらどうなるのかは一緒に伝えられてる。ちゃんと残ってるぜ。でもむごたらしいぞ。聞くか?」
「聞かせてほしい」
これには少し嫌そうな顔をして、けれど詳しく話してくれた。
その子供は、突然爆発したのだという。
子供たちで集まって、魔法の練習をしている時だった。
いつものように魔力を練り、いつものように右手に基礎魔法を発現させようとしていた。
その子供が困ったように声を上げた、次の瞬間だった。
魔法は発現せず、大きな水疱でもできたかのようにぼこりと膨れ上がる右腕。
内側から押し出されるように目を見開き苦しそうな表情。
肺のあたりが大きく膨らんだ、かと思えば、その子供は居なくなっていた。
飛び散る血肉。
内側から爆発するようにはじけ飛んだ、人間だった物体。
もはやその子供だと容易に判別できる部位は無い。
顔に飛び散った、温かく滑る液体を手で拭って、それが血液だと気づいて悲鳴を上げる子供。
何が起こったのかをすぐに理解できた者などいなかった。
目の前に転がる、小さな手。
千切れて飛び散った、赤黒いどこかの内臓。
辺りを見回して、それらが我が子の物であるらしいと気づいた親が絶叫する。
我が子が死んでしまった。
突然のことだった。
何もできなかった。
ただ純粋に、魔法技術を上げようと練習していただけなのに。
正確な原因はわからないが、おそらく制御しきれなかった魔力が暴発したのだろうと考えられた。
自身で制御できないほどの魔力量を持つ子が産まれるのは稀である。
語り継がれることなどないのだが、偶然にもこの村では、この時の子の親が生きている間に次の魔力量の多い子が産まれた。
子供が成長したらいずれは訪れる未来かもしれないと親に話聞かせていた。
そして更なる有難い偶然。
老人が現れ、魔力の制御を補助する陣を授けてくれた。
魔力量が制御できない子はいずれ死んでしまうだろうこと。
魔力量を制御できるように補助する方法はあること。
これらは対として語り継いでいくことになっている。




