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魔力の流れ

一度ですっぱり諦めさせるのを目的に応戦したのだが、逆効果だった気配。

根が負けず嫌いなのだろう、女も瞳の奥で闘志を燃やしていた。


百歩譲ってガキんちょである兄の諦めが悪いのは仕方ない。

だが女には、明確なこの差を受け止めてきちんとあきらめてもらいたいものだな。



苛立ちに舌打ちが飛び出る。







「舌打ちのくせ直そうよ。ねえ、せっかくだから訓練してくれない?魔力練るの見てよ。ユーゲンのときは全くだったけどこの体なら進歩するかも」

「…試してみるか」




魔力に関する知識が十分にあり、シュワーゼは魔力の流れも感じられる。

おそらく原因は、魔力の動かし方が体になじんでいないことだ。



差し出されたシュワーゼの両手首を握る。


魔力は血管と同じように全身をめぐっている。

他人の魔力の流れを感じ取るには、脈を取るときと同様に手首や首などに触れるといい。








「相変わらず吐き気がする魔力だな」

「酷いな。否定はしないけどさ」




固体が詰まってるのか、というくらいに流れの悪い魔力。




「まずは自分で動かしてみろ」

「うん」






ゆっくりと、ナメクジが移動するかのように流れる魔力。

私の魔力を潤滑材として流しいれてみる。


部分部分で流れがよくなるものの、流れを阻害する塊が残る。







「ユーゲンのときよりはましだが、ほんと流れ悪いな」

「もどかしいよ。動かせそうで動かせないから」




目をつむり、シュワーゼが魔力の流れに集中しているのがわかる。

動かそうと意識している部分は間違っていない。

やはり動かし方に体がなじんでいないのだ。




「このまま魔力を流してやる。試しに基礎魔法を使ってみろ」

「うん」




腕を伝って、魔力がシュワーゼの右手に集まっていく。

魔力を練ろうという動きはみられるがうまくまとまらない。

まとまらない魔力を丸め込むように私の魔力で包み、魔法発現を補助する。





右手から小さな水の塊が出現した。


かと思いきや、霧散して空気に解ける。







「惜しい。いい感じだったのにな。残念だ」

「ユーゲンのときと似て頑固な…」








ユーゲンのときと“似て”?











何気なく口にしていた自分の言葉に感じる違和。



魔力の質は個人個人で異なるものだ。


血縁関係があれば多少似るのも納得できるが、ユーゲンとシュワーゼに血縁関係はないだろう。

ないはずだ。







「おまえとユーゲンは、どこかで血がつながってたりしないよな?」

「全くないね。先祖がまるっきり違うよ」




それなのに、こんなにも魔力の質が似ている。







「おまえとユーゲンの魔力は、兄弟か親子かというくらいに似通っている。血縁関係はないのだろう?おかしくないか」


「言われてみれば…。個人的な感覚ではどれもぼく自身だから、気づかなかったな。…つまり、魔力の質も引き継いでいるってことか?記憶だけでなく」


「だが完全に同一のものではない。シュワーゼよりもユーゲンの魔力の方が、なんというか…、ざらつきがあった」


「…じゃあ、こういうことかな。今までの魔力を引き継いでいる。かつ、シュワーゼ個人の魔力が混ざっている」


「可能性は高い」







ノーラには全く魔力がなかった。

ユーゲンとシュワーゼの魔力を比べるだけでは情報が足りない。

が、今のところ他に考えられないだろう。








「なるほどね。面白い発見だ。相変わらず魔法は全然だけど」




その後も幾度か繰り返してみたものの、魔法をうまく発現させることはできなかった。

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