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敵対する村

ヘフテの説明は、今までの経緯は大まかに分かったものの、細かい部分が甘かった。


補填するために、マーツェが質問を重ねていく。






「ヘフテ、ありがとう。教えてくれて。詳しく話してくれて。その魔具は、幾つかあるんだね?他にも村に置いてある。その一つを、ヘフテは持ってきた」


「うん」


「ヘフテの村では、一緒に暮らしてるのか?その、ヘフテとダモンみたいな人たち。褐色肌の人も、面を被った人も」


「うん。一緒。どこもそうだと思ってた」






ベスツァフ達の村が褐色肌と異形とで別れて生活していたのとは違い、ヘフテの村では別れず同じ村で過ごしている。

一族の存在を知られないように、という警戒心も低い。



人が迷い込むこともないくらいの奥地に位置するのだろうか。







「敵対してる理由は?どうしてダモンの村と敵対してるのか。詳しく話せる?」


「えっと、…大昔は、一緒だったって言ってた。でも、考えが違うくなって、別れたんだって」


「考えって?どう違ったんだ?」


「人間が悪いか。魔物が悪いか」


「…どっち?ヘフテの村はどっちだった?」


「魔物が悪いって、言ってた」


「なら、ダモンは逆側なのか?人間が悪いっていう方?」






マーツェが顔を向けると、ダモンは小さく頷く。




ヘフテたちからこういった話を聞けるとは思ってもみなかった。

思わぬ話の展開だ。





人間と魔物の魔力を継ぐ一族が、大昔は同じ土地で生活をし、子孫を残していた。

何かきっかけがあったのか、徐々にだったのか、あるとき村が別れた。


人間に敵対心を持つ側と、魔物に敵対心を持つ側へと。



魔物と人間は千年以上もの間争い続けている。

その影響を少なからず受けるだろう。


相反する意見で分断された村は、顔を合わせれば命の危険も生じる程に敵対意識を持つようになってしまった。



その敵対する村にそれぞれ産まれ育ったのが、ヘフテとダモン。












「なんでかわかる?どうしてどっちかが悪いってなったのか。ヘフテの村ではどう教えてた?どうして魔物が悪いって言ってた?」


「全員を、一緒にしちゃダメだって。良い人もいるから、全員を倒す魔物は、悪いんだって」


「そっか。ダモンの方は?どう教えられてた?話せるか?」


「おじいさんが、ねえ、…死んじゃって。悲しいからねえ、えっと」






ダモンからも話を聞き出そうと試みるが、全く持って理解できない。


ひらめいたようにヘフテが声をあげる。








「ダモン、お歌!お歌うたえばいいよ」


「うたでいいの?」


「うん」





少し恥ずかし気に、ダモンが歌を口ずさむ。



大昔の、今とは言葉が異なる時代に作られた歌。







恨みを忘るるな

祖が泉下に行かれた

実りを分けたもうた

足を残したもうた

契りを交わした祖

祖と同じ人に泉下に送られた

祖は袖にされた


悲しみを忘るるな

祖が泉下に行かれた

人がため作り出した

乞われて作り出した

足を奪われた祖

祖と同じ人に泉下に送られた

祖は袖にされた


繋がりを忘るるな

祖が世に残した

魔法陣と我ら

祖の血を継ぐ我ら

祖の仇取らねばならぬ

祖と同じ人に泉下に送られた

祖を忘るるな

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