秘密の聞き出し
翌朝、町を出立して次の場所を目指す。
勇者が言っていた“面の旅人”が気になるため、少し魔王城に近づいてみようという話になった。
面の旅人が同じような場所をうろついているのだとしたら、出会えるかもしれない。
もしくは、その近辺に村を隠している可能性もある。
魔王城付近の村や町は魔物被害が酷いため、マーツェの目的とも大きく逸れない。
蹴散らした魔物をさばいて昼食にしている間、ダモンとじゃれ合っているヘフテに問いかけてみる。
「昨日“秘密”を見せていただろう。あれはなんだ?」
「あれは、あれはダメ!」
悪事がばれたかのように、隠し物を見つけられたかのように、焦りを含む声で叫ばれた。
口を引き結んで、魔具が入ってるのだろう辺りを服の上から抑えるヘフテ。
先ほどまで楽しく遊んでいたのに何事か、とダモンが眉を垂らす。
「大丈夫。取らないよ。ちょっと聞きたいだけ。話を聞かせてくれないか?」
宥めるようなマーツェの声。
ヘフテの毛を逆立たせた猫のような勢いが、少し納まる。
「“秘密”があったから怪我せずに旅できたんだね。子供2人だけでも。どうやって使うんだ?使うとどうなる?教えてくれるかな」
マーツェの目を見つめて数秒の沈黙。
口に出したら叱られるとでもいうように、躊躇いながら口を開いた。
「…魔力、流す。魔物に襲われなく、なる」
そんな都合のいい魔具が本当に存在するのだろうか。
一体どういった原理なんだ。
今すぐ魔具を調査したい欲求に駆られつつ、大人しくマーツェとヘフテの話を見守る。
「どうしてかわかる?なんで魔物に襲われなくなるんだ?」
「友達だよって、伝える。友達は襲わない」
全く以ってわからない。
魔物に仲間だと思わせるということなのか。
魔具に魔力を流すことでどうやって仲間だと思わせるのだろうか。
マーツェも理解できなかったようだ。
「魔具、見せてくれないかな。取ったりしないよ。絶対に返すから」
「だ、ダメ。これはダメ…」
柔らかい声色で伺うが否定されてしまった。
魔王城近くで見たという面の旅人も、似たような魔具を持っていたのだろうか。
だから魔物に襲われることがなかったのだろうか。
ダモンを抱きしめて、不安気にこちらを見るヘフテ。
マーツェは笑顔を作ってさらに続ける。
「そっか。残念。じゃあこれはどう?使ってるところを見せてほしいな。どう友達だって伝えるのかな。魔具の使い方を見せてくれないか?私たちは魔具に触れないからさ」
相変わらず押しが強い。
譲歩しつつも怯まないマーツェ。
躊躇いながらもヘフテは頷いた。
「…わかった。見せる」




