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イケメン系幼馴染みがいる私は恋をしてはいけない  作者: 鷹峰 蒼煌
第1章『幸か不幸かの出会い』
3/3

2話【出会えた幸福・出会ってしまった不幸】

______転校生。

それは千尋の言ってた通りに現れた。


皆の視線を釘つけにし、注目の的となっている少女。


否、美少女。


黒色の清楚で美しい髪を腰辺りまで伸ばし、彼女の動作に合わせて踊る。髪型は大和撫子系お嬢様。


瞳はパッチリとした黒色の澄んだ純粋な瞳。


雰囲気は柔らかく、一瞬で目を奪われてしまう。


可愛い。


その言葉で頭の中が塗りつぶされていく。


彼女は鈴のような心地よい声で言葉を発した。


_______「はじめまして。結城<<ゆいしろ>> 美琴<<みこと>>といいます。よろしくお願いします」


実に簡潔に済まされた自己紹介。


そして、癒されるような可憐な柔らかい微笑み。


だめだ、可愛い。可愛すぎる。可愛すぎてそれしか考えられない。


どうして。


どうして、まだ出会って数分の少女にこんなにも心を奪われてしまっているのだろうか。


可愛くて、抱き締めたくて、独り占めしたくて、心を甘く締め付けられて、鼓動が大きく早く高鳴っていく。


何故だろうか。


でもただ心地よく、どうしようもない気持ちになるのだ。



_____この感情を私は知っている。



昔、この感情を抱き、自業自得に勝手に傷つき、なにもかもを諦めた。そんなきっかけになったほろ苦い感情。


嫌な汗が背中をつたった。


さあぁっと血の気が引き、あの時を思いだし、鳥肌をたてる。



_____嫌だ。嫌だ嫌だいやだいやだイヤダ。



頭の中が真っ白になった。


そのとき、



「結城さん。あなたの席はあそこの窓際の列のあいてる席よ。隣はあの黒髪の新島さん。まぁ、窓際の席であいてる席は1つしかないし、わかると思うけど」



先生のこんな言葉が聞こえてきて、はっと意識を現実に引き戻した。


そうだ、あの子の席は私の席の隣だ。千尋がそういっていたのを思い出す。


そうして気づけば、彼女は私の隣の席まで移動していた。



「あなたが新島さんであってるよね。はじめましてこれからよろしくね」



ふわりと蕾が花開いた瞬間のような純粋で晴れやかで可愛らしい笑み。


ドキリとした。


あなたみたいな可憐な人と出会えた『幸福』


そしてあなたと出会い、


この感情をまた抱き始めてしまった『不幸』


その二つの矛盾した感覚を覚えながらも、それを内心にひた隠し、誤魔化すように微笑みを返した。



「はじめまして、新島 皐月です。どうぞよろしく」



_____不器用な私にはこれが精一杯。



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