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女神は世界を救いたい  作者: 香草(カオリグサ)
7/9

1 初めての譲渡5

 情報の集まる街だけあってかなり有益な情報が手に入った

 もちろん有料だがウルハは教皇に大金をもらっていたので多少値の張る情報も難なく入手できた

 勇者であることは言っていない

 ウルハは騒がれるのが苦手であるため無為に名乗ったりはしなかった

 そのためか、荒くれのような冒険者に絡まれてしまった


「お嬢ちゃんたち、来る場所を間違ってねぇか?」


 そう聞かれてウルハは首をかしげて答える


「間違ってない、と思いますけど?」

「ここ冒険者ギルドでしょ?」


「お嬢ちゃんたちみたいな子は商業区の雑貨屋がお似合いだぜ」


 そんなことを言われプリシラはカチンときた

 こんなことで怒るとは彼女も女神としてはまだまだだ

 ゆっくりと立ち上がり、荒くれと話をすると、どこかへ連れ立っていくようだ


「ウルハ様、すぐ戻りますね」


 そう言うとプリシラは外へと出ていった

 心配したウルハもついて行こうとするがプリシラに止められその場にとどまる

 ドキドキしながらいざとなったら助けに行けるよう準備するが、数分後何食わぬ顔でプリシラが戻ってくる


「フェ、フェリシアちゃん大丈夫?」


「えぇ、問題ないですよ。お話したら分かっていただけましたから」


 よくよく見ると拳に血のような赤いものが付着している

 それに気づいたのかハンカチでそれをぬぐいニコリとほほ笑んだ

 ウルハは本能的に悟る。彼女に逆らうのはやめておこうと

 

多分だけど、私より強い…


 情報は無事手に入れることができた

 

 まず魔王の情報だが、この世界には魔王が複数人いることが分かった

 彼らはそれぞれが領地を持っており、お互い不可侵条約を結んでいるという

 その不可侵条約は人間とも締結されており、共通の敵である邪神との戦いのため今は手を取り合っているらしい 


ということは別に邪神の仲間というわけではないのね

まぁ他の世界では魔王と勇者が協力して平和を実現しようとしているところもあるし、一概に悪とは言い難いわ


 プリシラは自分の知りえた知識と共にそれらの情報を照らし合わせてみる

 

 次に邪神のことだが、邪神は居を構えることなく神出鬼没で、魔物や魔獣を操り世界各国を襲っているようだ

 襲うのも不定期、突如現れては思い出したように街一つ、国一つを滅ぼして消える

 少し前などは突如現れたと思ったら何もせずに消えるという不可思議な行動もとっていた

 

う~ん、まるで意思がないみたい

まるで何かに操られてるみたい


 そう思ったが現時点では判断できない

 しばらくは情報収集を主に活動することにした


「さて、情報も手に入ったし、まずは協力関係にある魔王の一人、カスタナって人に会いに行こう」

「魔王の中でも一番人間と仲良くしてるらしいよ」


「分かりました。ではそこに向かうとしましょう」


 そのときギルドが騒がしくなった

 あわただしく受付嬢たちが走り回り始め、冒険者たちも立ちあがり準備をし始めている

 何があったのか聞くと、街の近くで災害級の魔物ブラックドッグが現れたらしい

 ブラッグドッグ、それを見た者は必ず死ぬとまで言われている狂犬で、単体で1000人もの屈強な兵士を殺したこともある危険な魔物だ

 それがなんと大挙して押し寄せているらしい

 その数なんと500

 一匹だけでも脅威なのにそれが500ともなるとその危険度は災厄まで引きあがるだろう

 この街には幸い冒険者が多い、全精力をもって迎え撃つらしい


「私たちも行こう!」


「はい!」


 二人はその戦闘に加わるため受付嬢に話した

 自分たちが勇者であることと、その証として教皇からもらったペンデュラム型のネックレスを見せた

 受付嬢はそれを確認するとギルドマスターに話を通す

 ギルドマスターの男はあっさり承諾した

 勇者の戦力はそれほどに期待されているということだ


 それから三十分ほどで冒険者たちの準備は整った

 手練れが多く、臨戦態勢まで入るのが恐ろしく速かった

 それも今指導しているSランクの一人が優秀だからだろう


 その彼、ダルク・ハウゼンにギルドから勇者参戦の吉報が入った

 すぐに彼は勇者であるウルハに会いに行った

 

小さい、というより幼い

こんな子が勇者?


 一目見てそう思ったのだが、長年の経験から彼はウルハ達のとてつもない力を感じ取った


「では君たちには我々に加わってもらうがあくまで保険だ。我々だけで出来る限り食い止めて見せるさ」


 それは彼の見栄でもあったが同時に優しさでもあった

 確かに勇者だけでなく自分たちも実力があると示したい思いはあった

 だがそれよりも、こんな娘たちを危険にさらしたくないという思いの方が強かったからだ


 ウルハとプリシラを控えに置き冒険者たちが先陣を切って行く

 その後ろから一般兵たちが続くことになった

 


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