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ライジング ブレット  作者: カタルカナ
物語の始まり
6/60

六発目

 無色透明で正三角形のガラスのようなものを組み合わせた正八面体の中の中心部に親方の工房がある。工房から飛び降りたジントはその中を落ちていた。落ちると言ってもここには落ちるという概念はなく、吸い込まれると言った方が正しいだろう。吸い込まれる先は正八面体のとがっている先、ちょうど親方の工房の真下にある人が三人ほど通れるような穴だ。三人ほど通れると言ったがこの正八面体はなかなかに大きく全体から見ると小さいものだった。


「島から出るのも久しぶりだな」


 親方の工房から飛び降りた俺は、そんな独り言を言いながら落ちてゆく。


「島か、親方の工房も大きいほうに入るけどこれよりも大きいものがあるんだよな。それにしてもやっぱりこの景色はいいな」


 そう思いながら俺は落ちていく方向を見る。その方向には大小様々で、有色透明なガラスのようなものに囲まれた島が数多くあった。その形も様々で、球状の物からサイコロのようなものまである。それがステンドグラスの様に光を染めて幻想的で美しい光景を作り上げている。親方の工房は町の外れにあり親方の工房から見上げた先にはこのような光景は広がっていないのだ。だから、俺は親方の工房から出るときにはいつもその光景の美しさを噛み締めている。


「……そろそろだな」


 もうすぐ出口なので俺はそのための準備を始める。準備と言っても外に出るために何かだ必要なわけではない、俺の体はこの流れで外に放り出されるだろう。だが、その外というのが厄介でそこでは思ったように動けない。その動きずらさは水中にいるときに似ているが、そこは水中のように圧力はかからないし息もできないわけではないが、とにかく動きずらい。水中では流れがないのだが、外ではところどころ流れが変わるからだ。


 ガチャン……俺は、空中に手をかざし虚空から現れた銃を掴む。「最近は銃を持ち運ばなくていいから楽でいいな」と言いながら俺は、その銃に弾丸を込めるそしてその銃口を自分の真上に向けて……パンッ……引き金を引くと同時に乾いた音が鳴る。すると、銃から飛び出した物が次々と俺の手、腕、胴体、足という順に装備されてゆく。


「これで良しっと」


 全身に装備されたのは推進装置とその補助パーツだ。このように装備をすることで動きずらい外を動けるようになるのだ。他にも、自身の肉体を変質させ外でも動けるようにするものもあるが、俺は使っていない……戻れなくなる、なんて噂があるからじゃないからな。でも装備をしても流れがある外を進むのは大変だ。そこら辺の子供みたいに毎日使っているわけじゃないから流れを呼んでそれに乗るなんて俺には少し危ないことになる……他の島にぶつかるとか……子供なら軽くて少しぶつかるくらいはいいのだが俺の体格だとそうはいかない。そうこうしているうちに俺は外に投げ出された。


 ガシャッ……俺は、さっきとは違う弾丸をベルトから取り出し銃に込める。届け先の方向を確認して……パンッ、その音とともに俺の前方の流れが消えた。やっぱり弾丸の効果はすごいと思う。


「ながれが止まった……いや、流されてるな。うわっ……は、はえー!」


 俺は、撃った方向に流れを発生させる弾丸を撃ったのだがこれは早すぎる。だが、前方には何もなく方向も間違ってなかったのでそのまま流されている。よく考えると、今着ている装備が意味のないように思えるが……まあいいだろう。イチカという人の届け先は親方の工房から町を挟んで反対側だからまだ時間がかかるだろう。


 町というのは島の集合体だ。島とは、家や親方の工房の様、他には国王の城などのように人が一日の大半を過ごす場所の事を言う。そこには上と下という概念が一応はある。だが外にはその概念はなく上も下もないただの空間になっておりそこに足をつく場所はない。この空間の中に島があり人はその中でしか地に足はつくことができない。なぜそんな空間の中に人が存在していて足というものがあるのかはわかっていないが、とにかくそういうことだ。島も、もともとある物から人口の島からあり、島のの数や規模により町や国など呼び名は変わるが、その話はまた今度。


「はあー、しばらくは流されているか」


 全身を包む流れに身をゆだねながら俺は短い昔話を思い出す。


「この世界にはもともと陸地がありました。ですが、そこに住む人間たちが世界を壊滅させるほどの大きな戦争を起こし、それを見かねた神様が行動に出たのです。その神様は世界のほとんどを消し人間に試練を与えました。そして人間はその試練をクリアし……」


 これが、その話だがどうも続きがあるようだ。だが、その続きは誰も知らないようで俺は自分で考えたことがあった。


「その人間は神様となり……陸地を消しました」

『……せいかーい』

「ん? ……今何か」


 どこからか声が聞こえたが……気のせいか。そうしているうちに目的地らしき島が見えてきた。


「よし、ここからこの装備の出番かな」


 そう言い、俺はその島に飛び込むために装備の動力を確認していると……。


「あわわわわわ、あ、危なーい、よけてー」


 ドシーン……スクーター型の乗り物に乗った少女が突っ込んできた。

今回は少し読みずらかったかもしれません。

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