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8話

「そういえば、ティアのペアってどんな奴なんだ?」



あれから少しの時間が経ち、ようやくティアは俺と口を聞いてくれるようになった。


本当、1時間ずーっと土下座しっぱなしだった。文字通り。



「どっかの貴族の娘さんらしいですよ。普通に話す分にはとても楽しいです。ただ、負けず嫌いなところがあるみたいで・・・」



そっか、ティアのペアは同性なのか・・・ 羨ましいなあ・・・



「そっか、早く合流出来るといいな」


「サイカさんも、ずっとここにいるなんて言わないで、ペアさんと合流してあげてください。きっとペアの方も一人だと心細いと思います」



そうなのかな・・・


俺はシェリさんが心細そうにしているところなんて想像できないんだが・・・



「俺のペアは、一人でなんでも出来るんだよ。強いし。認めたくないけど滅茶苦茶可愛い。だから、偉そうにされるとかえって腹が立つというか・・・」


「えっ、・・・可愛い?」



ピクリ、とティアの眉が動く。



「失礼ですがサイカさんには男色の趣味が・・・?」


「ねぇよ!? 失礼なこと言ってんじゃねえよ!」



いきなり何を言い出すんだコイツは。



「え・・・ じゃあ可愛いっていうのは・・・?」


「俺のペアはシェリさんだよ。言ってなかったっけ?」



ぶん殴られた。


話している途中にいきなり自分が宙に浮かび、殴られたと分かったのは地面に激突してからだった。


遅れて激痛がやってきた。



「いってぇぇぇ!? 何すんだよ!?」


「ななななな・・・ なにすんだよはそっちですよ!? え!? ペアが異性!? じゃあ・・・ シェリさんと・・・どど・・・同棲してるっていうんですかー!?」


「え・・・ 何、部屋割りって出席番号順じゃなかったの・・・?」


「そうだったんですかー!?」



まあ確かに普通に同性のペアとなれたらその辺は当たり前の事情として飲み込むのか・・・



「いや、そうっぽいぜ? 先生曰く、冒険者なら異性と野宿するのなんか当たり前だから慣れろ、だとさ」



実は、俺もなにかの間違いではないかと先生に部屋割りについて問いたことがある。


返ってきた返答はこの通りだった。



「じゃ・・・ じゃあシェリさんはサイカさんと同棲・・・!? う・・・うらやまっ・・・ じゃなくて破廉恥ですー!」


「俺なんもしてねぇけど!?」



これは神に誓って本当だ!


天地神明に誓って本当だ!



「どうせそんなこと言って、シェリさんの裸も見たんでしょう!? 私と同じ手口で!」


「・・・」



あれ・・・?


これ否定できなくね・・・?


天地神明に誓ってって言う奴は大体信用しちゃダメだな。


俺とか、佐村河内とか・・・



「否定してくださいよっ!?」


「あれは事故なんだあれは事故なんだあれは事故なんだ・・・」



もう土下座しかなかった。




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あれから数時間後・・・


俺は、また必ず教室でお喋りすると約束をして、ティアと別れた。


もう2日目の夜だ。そろそろシェリさんは水晶を奪われている頃だろう。


単純計算すると、俺とペアを解消してから既に24時間以上経っている。


もし寝ずに、24時間の間38人もの敵に囲まれながら戦っていれば、体力と精神力が確実に持たないだろう。



「少し心配になってきたな・・・」



俺は、ほんの様子見の為にシェリさんの拠点へ戻ることにした。


・・・いや、ほんと様子見だよ?




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「ハァ・・・ハァ・・・」



息が上がってきましたわ・・・


まさか集団を相手に戦い続けることがこれほどきついとは思いもしませんでしたわ・・・



「シェリさ~ん、もうそろそろいいんじゃないの? これだけの人数を相手に丸一日持ったんだからさー」


「そうだよ~。水晶独占なんて酷くない? 俺達も1年で卒業したいんだよ~」



また一人じゃなにもできない雑魚達がうっとうしいことを言いますわね・・・



「この程度の疲労じゃわたくしはやられませんわ! 早くかかってきなさい!」



まだ動ける相手はパッと見て・・・ 20人くらいはいますわね・・・


正直、痩せ我慢もあと1時間くらいしか持ちそうにないですわ・・・



「みんな、相手はあと少しで限界だ! 数で押すぞ!」


「「オオーッ!」」



よくもまああれだけ酷いことをサイカさんに言えたものですわ。


戦闘では役に立たない?


賢い戦術をわざわざ教えてくれたのに、それにムキになって・・・


本当は、わたくし一人じゃ拠点だって作れずに地面で寝てたに違いありませんわ。



「どうしてもっと早く気付けなかったんでしょう・・・」



これで、1年で卒業出来るかどうか分からなくなりましたわね・・・


1日でも早く、お母さんを探しに行かないといけないのに・・・




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「うーん・・・ やっぱ見た限り超劣勢だよな・・・」



拠点近くに戻ると、昨日の俺が危惧していた状況そのものになっていた。


大勢の人数に囲まれている為、逃げれないし体勢も整えられない。


しかも、殺すなというルールが定められてる以上、全力の攻撃が出来ない。


全力の攻撃が出来ないとなると、相手を再起不能にすることが出来ない。


必然、一度倒した相手でも時間が経てば起き上がる。



「まるでゾンビに囲まれてる美少女って感じの絵面だな・・・」



でも、予想してたよりも人数は少ない。


20人前後くらいだ。あとカツアゲ少女がいない。


あの子も戦闘には全く向いてなさそうだったしなあ・・・





さて・・・ 俺はどうするべきだ。


見た感じ、学校側の監視はなさそうだ。


そして、俺の位置からじゃ誰も相手から俺を発見することは不可能だろう。


シェリさんもこの位置から俺が撃ったってことを見るのは不可能だろう。


つまり、この位置からなら誰からも見られずに、実力を隠しつつシェリさんを手助けすることができる。


・・・大体、1000mってとこか。



「・・・よし、峰打ちならぬ峰撃ちか。やってやろうじゃねえか」



俺は銃を構える。

























次回、主人公を活躍させる予定です。

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