7話
この回で話は全く進みません(笑)
「じゃあおやすみなさい。サイカさん」
あの後、適当に駄弁っていたら猛烈な眠気が襲ってきて、今日はもう寝ようという話になった。
こんな脅威の胸囲を有する女の子が隣にいたら正直全然寝れない気がする。
「ああ、おやすみ」
出来るだけジェントルマンっぽく言ったつもりだが、少し声が裏返ってしまった。
ああ、くそ。シェリさんの時もよく眠れなかったのに、こんな非常時でさえ俺は満足に睡眠をとれないのか・・・
「寝ている間に、私に悪戯とかしないでくださいよ?」
ティアは般若のように怖い顔をしていた。
あれ、確か般若って恥ずかしがってる顔なんだっけ?
「当たり前だろ。ってか顔が怖い」
「か、顔が怖いってなんですか! 酷くないですか!?」
「なにもしてない俺に牽制してくる方が酷くないですか・・・」
紛れも無い俺の本音だ。
「もし私に悪戯とかしたら・・・ これから無視します」
「しないって・・・ しないからもう寝よう・・・ な?」
「もし私に悪戯したらサイカさんのことを害虫王者無視キングって呼びます」
「それはやめて!? ってかあだ名にするには長すぎない!?」
SE○Aもびっくり。
新になっても俺はやるぜ!
「と、とにかく悪戯したら無視するってことだけは心得てください!」
「つーか悪戯悪戯って・・・ 一体どんなことをしたら無視するんだよ・・・」
顔に落書きしたりとかか?
「そ・・・ そんなの私に言わせないでください! 兵士を呼びますよ!?」
「いや、なんでそうなるの!? つーか俺が悪くないことで兵士呼ばれても問題なくない!?」
「ふふふ・・・ 知ってますかサイカさん。世の中では冤罪で何人もの人が誤認逮捕されてるんですよ・・・?」
「俺が悪かったァ!」
これには白旗を上げるしかなかった。
「分かればいいんです。では、おやすみなさい」
そう言った次の瞬間、ティアはぐっすりと眠ってしまった。
コイツ・・・ 警戒心なさすぎだろ・・・
まあそれだけ疲れてたってことなんだろう。
「さて、ドラム缶風呂作るか!」
どうせ寝れないだろうし、俺はすっかり忘れていたドラム缶風呂の製作に取り掛かるのだった。
追記 寝言でティアが「本当は期待してなんてなかったんだからー!」と顔を真っ赤にして叫んでいたがあれはなんだったのだろう・・・
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「え・・・?」
「なっ・・・なあっ・・・!?」
翌朝、俺は裸のティアと対峙していた。
裸のティアは、まるで天使のようだった。
豊満な胸に、ツインテイルを解き濡れた髪がやけに官能的だ。
「こ・・・の・・・ 変態っ!!!」
すさまじい衝撃と、血の味が俺を襲った。
俺・・・ 女の子から全力でアッパーカット食らったの初めてだわ・・・
なんでこんなことになってしまったのか思い出してみる。
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「おはようございますサイカさん・・・ って、なんですかそれ?」
「おお、おはよう。これはドラム缶で作った風呂だ」
「えっ、お風呂ですか!?」
ティアが目を輝かす。
女の子はお風呂好きだし、サバイバルの中お風呂に入れてないだろうから無理はない。
「まあこれから試すんだけどな。火はそのへんの薪を持ってきて、水は徹夜して運んできた」
「そ、そうなんですか・・・」
・・・めっちゃうらやましそうに見てくるな。
でもこんな局面でお前も入る? とか言ったら即通報な気がするんだよなあ・・・
「えっと・・・ 入りたいの?」
「そ・・・ そんな訳ないじゃないですか! 馬鹿!」
うん、やっぱり違ったようだ。
女の子は扱いが難しいなあ・・・
「そっか。じゃあ俺は一人で試してくるわ。この拠点は自由に使ってていいぞ。1時間くらいで戻る」
「あっ・・・」
何か言いたげな目で俺を見るティア。
「いや・・・なんだよ・・・」
「その・・・ サイカさんがどうしてもって言うなら、入ってあげてもいいですけど!?」
なんで俺がティアにどうしても入ってもらわなくちゃいけないんだ。
「いや・・・ 別に入って欲しい願望ないんだけど・・・」
「いいから早く入ってくださいと頼まないと兵士を呼びますよ!?」
「入ってくださいお願いしますぅ!」
懇願だった。
というか土下座だった。
「ふん、分かりました。そこまで言うなら仕方ありません。入ってあげてもいいですよ」
と、満足げな顔をするティア。
やっぱ入りたかったんじゃん。
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「おお、中々いい感じだ!」
ティアには「先に一人で試すから」と言い拠点で待ってもらった。
ドラム缶の心地よい狭さや、熱めのお湯が気持ち良い。
そういえば、人間広すぎる部屋より狭いくらいの部屋の方がリラックスできるって聞いたことあるな。
胎児時代のなんちゃらとか。
「いやー・・・ しばらく風呂に入ってなかっただけあって極楽だ・・・」
色々な疲れを癒してくれるのが風呂という存在だと俺は思う。
寮にはシャワーしかないから、こうやってゆっくり湯につかるのも久し振りだ。
「サイカさーん! そろそろ変わってくださいよー!」
ティアの声が聞こえてきた。
いけね、もう1時間以上経ってる。
「悪い、すぐ上がる!」
俺は、すぐに風呂から上がり、持参していたタオルで体を拭き、急いで拠点に戻った。
「悪いな、時間かけて。もう行っていいぞ」
1時間で交代する、と言ったのに時間が過ぎていたので、一応謝罪する。
「あの・・・もし人が来たら大変なので、お風呂を拠点の中に持ってきてもいいですか?」
そういえばすっかり忘れていた。
俺は堂々と拠点外でマッパになっていた。
「ああ、そうだな。分かった。持ってくるよ」
「ありがとうございます!」
俺は、ドラム缶風呂を拠点内へ運び、拠点から退室した。
・・・あれ、そういえば俺が入った湯のままだけど大丈夫なのか。
替えの水あるって言っておかないと、「サイカさんは自分の残り湯を女の子に使わせる性癖があるんですね変態!」とか言われかねん!
「おい、ティア! 水を替えさせろ!」
拠点へ突入した俺を待っていたのは・・・
ということである。
冷静に考えれば俺が入浴中に勢いよく風呂場に入ってきたってのと同じことだよな・・・
真面目に通報されても文句言えないけどアッパーカットで済んで良かった・・・