4話
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「明日から皆さんにはサバイバル実習をしてもらいます」
あれから数日後のとある日の朝。
開口一番、担任教師はそう言った。
いやいや待て、いきなり過ぎる上にどんな実習かの説明すらない。
「サバイバル実習は、ここから少し離れた森で行います。現在一緒に生活しているペアと組み、一ペアに一つ配布される水晶を奪い合ってもらいます。殺しは無しですが、両者が認めた決闘の場合なら痛めつけるのはありです。3日間経った時点で一番水晶を多く持っていたペアが優勝です。ギブアップなどは受け付けていますが、内申は大きく下がると思ってください。でも上位入賞すれば1年卒業のエリート組にグッと近づけます」
教師がそう言った瞬間教室がざわめきだした。
上位入賞する為に頑張ろうと張り切る者、サバイバル実習を嫌がる者、企画のぶっ飛び加減に驚く者。などなど。
よし、俺はギブアップしよう。
なんか凄く面倒な実習だし、何より遅く卒業できるならそっちの方が好都合だ。
「では、詳しい説明が書いてあるプリントを配布します。明日の9時に教室集合ですので遅れないようにしてくださいね」
4ページくらいの冊子になっているサバイバル実習の説明プリントに目を通す。
「パートナーがギブアップした場合、そのペアは両方失格となる」
・・・なんじゃそのルールは
まあ寮に帰ったらシェリさんを説得するか。
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「納得いきませんわ!」
バァニ! と机を叩き憤怒するシェリさん。
なんで机を叩いてバァニって音が鳴るんだよ・・・ カ○ジ?
「ギブアップしたら単位がもらえなくなると言っていましたでしょう!? ならどうしてそんな結論になるのか聞かせてくださる!?」
「いや・・・ 俺は実は冒険者志望じゃないんだけど・・・」
信じられない、という目で俺を見つめるシェリ。
「貴方のような役立たず、ずーっと寝てるだけで構いませんわ! わたくしは参加して上位入賞しなければならないの! だからギブアップだけは認めませんわ!」
まあ、コイツの剣の腕なら多分一人でも平気か・・・
見た感じコイツがクラスで一番強いっぽいし。
それと、ペアの片方だけが活躍したって言えば俺もエリート組には行かない・・・よな?
「分かった分かった。俺も参加するよ・・・」
「分かってくれて何より、ですわ」
どうやら、シェリさんは冒険者にならなきゃいけない事情があるようだ。
半裸を見てしまったお詫びとして、勝負の場にだけは居合わせよう・・・
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学校から少し歩いて数分。
とてつもなく大きい森が見えた。
「今日から皆さんはこの森で3日間のサバイバルをします。僕はずっとこの入り口地点にいるので、ギブアップの宣告や、トラブルなどが起こった時は教えてください。どんな理由があろうと人を殺したら退学になるのでそれは気をつけてください」
その説明は過去に殺しがあったってことじゃねえのか・・・
3日間もあるんだったら、最初はずーっと身を潜めて、最終日に一気に半数近くの水晶を稼ぐって戦略の方が効率は良さそうだな。
まあ俺は何もしないわけだが・・・
「それでは各ペアに水晶を配ります。このクラスは40人いるので20ペア出来ます。つまり、11個以上の水晶が優勝の目安となります。それでは皆さん頑張ってくださいね」
各ペア専用の入り口から森へ入り、ゲームがスタートした。
この水晶、握りこぶし分くらいの大きさあるし結構重いな。
11個も手に入れたら結構持ち運びに苦労しそうだ。
「じゃあ早速他ペアの制圧をしてきますわ! 貴方はここでのんびり待ってなさい!」
「いや、待て。サバイバルなんだから最初は食料の確保とか飲み水の確保とか拠点作りだろ。いくら今水晶を奪いにいったって最終日近くに水晶0の奴らが徒党組んで寝込みを襲い掛かってきたりするぞ」
「正論ですわね・・・ じゃあ役割を分けましょう。実力で勝るわたくしが水晶を奪う係。実力に乏しい貴方がその他よ!」
その他って・・・ 多すぎるしざっくりし過ぎだろ・・・
「あー、もうそれでいいよ。じゃあ何個か稼いだら戻って来いよ」
「ええ、ではいって参りますわ」
学校指定の木剣を構え、全力ダッシュで森の奥に消えたシェリさん。
・・・さて、寝よう。
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この近くを色々歩き回って分かったことがある。
まず、飲み水に関してだ。
これは、近くに綺麗な川があったからOKだ。
次に食料に関して。
この森には結構色々なフルーツがあり、食用としても使われる動物がいて、結構快適な食生活を送れそうだ。
そして、拠点は近くに洞窟のようなところがあったので、まあ大丈夫だろう。
とりあえず、飲み水を確保して色々なフルーツを獲っておいた。
あとはシェリさんが帰ってくるのを待つだけなんだが・・・ どうも遅い。
時計がないので時間間隔が失われているが、おそらく6時間くらいは経っているはずだ。
まあ気長に待てばいいか。どうせ俺はなにもしないし!