18話
最近忙しくて少し放っていました。
すいません><
決勝を戦う1-7クラスは、シェリさんと同レベルの実力を持つと言われている剣の秀才がいるらしい。
前衛が3人、後衛が2人というオーソドックスなスタイルで、基本に忠実な戦闘が特徴とのこと。
シェリさんと同レベルの剣の実力ってのは凄そうだな・・・
俺も銃弾弾きはバレちゃったわけだし、これだけなら今更隠しても無駄な気がするし少しは応戦するか・・・
「サイカさん、期待しておりますわよ?」
「へーいへい。エリート様の足を引っ張らないように精々頑張りますよー」
俺が応戦するなら上級生との戦いだと思うんだけどね・・・
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「いよいよ始まりました、1学年の部クラス対抗戦決勝! 1-1クラスVS1-7クラスです!」
俺達が試合場に姿を現すと、教師、生徒ら全員が一斉に歓声をあげる。
おいおい、今日1日でどんだけ知名度上がっちゃったんだよ・・・
「はわわ・・・ 緊張します・・・」
ティアは落ち着かなさそうにそわそわしている。
奇遇だな、俺も逃げ出したい気持ちでいっぱいだぜ。
「相手の前衛、マルス・ソルドは剣の超一流らしい。前衛の2人は気を付けて」
モモの視線の先には、綺麗な青髪をした美少年が立っていた。
確かにあれは強そうだな・・・
それでいて美形とかもう人生勝ち組過ぎてヤバいな。
「勿論、負けるつもりはありませんわ」
「任せなさい。槍で突き刺してくるわ」
2人共意気込みは充分なようだ。
ただ、殺したら負けになるから突き刺すのはダメだからね?
サイカクン、トテモシンパイ。
「サイカ、この試合は本気でやって」
モモが俺を見ながら言う。
「なんだよ急に。俺は今まで全身全霊を尽くしてだな・・・」
嘘八百だった。
自分はこんなに嘘がスラスラ出てくる男だったのか。
自分で自分を褒めてあげたい。
「この試合、おそらく皆が全力で戦わないと負ける。相手の後衛2人に邪魔されながら3人の動きを鈍くさせるという任務は私1人じゃ荷が重い」
まあ、確かにそうなんだろうけど・・・
俺は変に注目されて、1年で卒業させられるのが嫌なんだよな・・・
「というか、サイカさんってなんで普段は手を抜いてるんですか?」
ティアが不思議そうに俺を見つめる。
「俺が冒険者志望じゃないって話はしたよな? だから内申を良くされて卒業させられたら困るんだ。だから実力は極力伏せてギリギリ卒業したくらいの生徒になりたいんだ」
「うわあ・・・ 清々しいほどクズですね・・・」
ほっとけ。
俺だってなんで今こんなことやってるか自分でもわかんねえよ。
「あれ、知らないのですか? サイカさんは」
「ん、なんだよシェリさん」
「単位が足りてない者が卒業を希望するのは出来ませんけど、単位が足りてる者が在学を希望するのは自由ですの」
・・・ゑ?
ゑ、なに嘘マジで?
「・・・えええええ!? 知らねぇよ!?」
「知らなかったの・・・? サイカは規則をちゃんと読んでないんだ・・・」
まあそれでも注目されたくないのは同じだし!
実力があるのにも関わらず在学する奴なんていないだろ普通!
「今の生徒会長も確か、歴代最強ながら未だに在学してるんですよね・・・ 上級生との試合怖いです・・・」
途端、俺の中で何かの辻褄が合ったような気がした。
そうか・・・ あの生徒会長も単位が足りていながら在学を希望しているのか・・・
「でも、冒険者志望なら一刻も早くライセンスが欲しいはず。どうして生徒会長は在学を希望しているの・・・?」
モモの言う通りだと思う。
俺みたいな例外は置いておくとして、冒険者学校に来る理由は冒険者になる為だ。
でもあの生徒会長が冒険者志望じゃないとも思えないし・・・
「まあ、生徒会長の話は後ですわ。今はクラス対抗戦の決勝を全力で戦いましょう」
シェリさんの一言で、皆は戦闘モードに切り替わった。
まあ、在学は出来るなら注目を浴びない程度に俺も参戦するか・・・
「さあ、試合開始です! 1学年の部の優勝クラスはどこになるのでしょうか!?」
試合が開始した。
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前衛の強さはほぼ互角といったところか。
シェリさんとマルスは1VS1でほぼ実力は変わらず。
残りの2人の前衛を、シーナさんが1人で相手をしている。
「前衛の強さが互角な場合、後衛の援護射撃で勝敗が決まる。サイカも気張って」
「おう、そうだな」
俺とモモは銃を構え、相手の前衛の牽制として、弾を散らす。
「そういえばさ、これって牽制限定とかじゃなくて、直接撃ってもいいんだよな?」
なんで皆、牽制しかしないのか気になっていた。
普通に砲撃すればいいのに。
「そんな制限はないけど、相手は斬り合いをしているから複雑に動き回るじゃない。それで仲間に当たったら逆効果」
「じゃあ当たりさえすればいいわけか」
俺は、数十メートル離れた相手に照準を合わせる。
確かに動き回る相手を狙うのは難しい。
しかし、幼い頃に親父に課せられた修行の難しさはこんなもんじゃなかった。
「まあ見てろ。すぐに終わらせる」